第2話第2話 互いが互いを自覚出来ないまま運命の歯車は回り始めるトン、マネー、オカネ。金があれば全て許される世界 ソ・ギョンア、ナンバン派、アン・ギョンテ、チェ・ウンス、そしてチェ・ドウ。各自別の所を眺めているが、彼らは互いに結ばれている。 兄を死に追いやった言論に対抗するために放送局に突入したキム・シンは、結局その意を遂げられず、刑務所に収監される。そして拘置所で自身が暴力を行使した人が、分かってみればナンバン派のボスだと知る事になる。 ただ刑期を延ばそうとして行っただけの事だったが、それによって命の危険に晒される事になったシンは、その危険な刑務所の中でくじけそうになるが、自分の位置を守っているアン・ギョンテに生き残る事が出来る生存方法を尋ねる。 'トン、マネー、オカネ'があれば困難から抜け出す事が出来るという答えを聞いたシンは虚脱してしまう。自身の兄を失わせた存在、だが今シンを生かす事が出来る存在もまた金なのだから。 そんなある日、生きる事を持て余しているシンを兄の死について謝罪しようとチェ・ウンスという女性が訪ねて来た。 初めは、開いた口がふさがらないような彼女の話に、シンは兄の死がメディアの過ちのせいであるだけではなく何か別の陰謀が導いて行ったという直感を感じる。 目的なく生きて来たシンに、新しくすべき事が生じたのだ。 解かなければならない事が生じ、自分の立場を整えるため、まずナンバン派から反撃を始める。 一方、前回ではただキム・ウクの死に若干の関連があるように描かれただけだったチェ・ドウの個性がもう少し浮かび上がって出る。 自身が必要ならば自尊心を曲げる事が出来るドウの姿(デニーにアッパと言う姿)からは、手段や方法を選ばない冷徹な事業家の面貌を見る事が出来る。 特に、ドウが周囲の人々から事業家として認められているのと同様、この回で見られるが、友人たちから、いくら金額が大きくても全幅的な信頼を受けているという点だ。 '彼に投資しても損をしない'という評判はそれを浮き彫りにさせてくれる。 しかし、面白い点は、ドウに対する友人たちの態度は若干事業的ではあっても、ただ普通の友人に対するものと特に変わらないが、ドウにとって友人たち(と表現する人間関係)は徹底して事業的な投資者でしかないという点だ。 そしてそれと反対に、他人たちに冷情なドウが、妹であるウンスが自身が計画した事で監獄に行ったキム・シンを訪ねて行ったという事実に関心を持つが、今後の彼らの展開が期待される。 シンに失望し、シンから去ったギョンアは、自分が冷たく突き放したシンが心配で、ミョンソンの家を訪ねて行く。 久し振りに成された逢瀬も束の間、ギョンアの後を追って来た金融業者たちがミョンソンの家をめちゃくちゃにする。 意図しなかったが、金融業者たちにミョンソンの居所を知らせる事になったギョンアの立場は難しくなり、そんな自責感でギョンアは極端な決心をする事になる。シンの借金を代わりに返そうと。 新しい人物がたくさん登場する2話だが、その中でもいきなりシンに謝罪しようと訪ねて来たウンスと個性的なキャラクターギョンテの登場が最も目立っている。 陰凶で事業のためなら自身の娘も政略結婚させる事が出来るチェ会長をはじめとし、自身の望みのためならどんな事も出来る冷情で冷酷なドウと同じ血筋とは全く想像出来ない、純粋で環境に埋まらないウンスは、父と兄に傷付けられた人々に謝罪する事が全ての弱い存在として描かれている。 彼女が出来る事は、頭を下げて謝罪する事だけ。彼女が知っている世界は、屋根裏部屋の世界が全てだ。 曖昧で善人であるだけのウンスの姿は、ともすれば現実性がないほどだが、にもかかわらずウンスが愛らしいのは、彼女が弱い自身の力で出来る最善を尽くしている点だ。 真心で家族を愛し、彼らの過ちを自身を通して浄化させ、傷付いた人たちを治癒しようとする最善の能力。 勿論、その能力が、頭のおかしい女がふざけているという怒りの反応を受けてもいるのだが。 そしてもう一名、面白いキャラクターアン・ギョンテ。 自閉的気質を持っていて、いつもヘッドフォンを着用し、首を15度ほど傾ける独特の行動、一種のティック障害を見せるギョンテは常に、さながら聞きたい事だけ聞き、話したい時だけ話すようで、自身が望む時だけ指先で壁にコードを挿すような行動で話をする。 ギョンテは初めはシンを怖がっていたが、彼との反復的な出会いを通して、シンと曖昧な関係を形成するようになる。 あたかも世の中と断絶しているようだが、金があれば保護を受ける事が出来るという助言を通して、そんな面でギョンテは、自閉気質を持つが現実をきちんと直視し把握出来る洞察力を持っているという事が分かる。 ウンスを通して新しい世界に会う事になったシンが、これから、自身の世界に閉じこもっている天才ギョンテに出会い、どうやって骨まで奪ったドウと対するようになるのか、期待するばかりだ。 |