b.とその愛人(山川健一)
愛人から「b」と呼ばれている主人公は、絵に描いたような「最低の不倫男」。
「共感出来ない主人公」という意味では昨日読んだ「九月が永遠に続けば」と同じなのだけど、こちらは作者に最初から共感させるつもりがないのか、あるいは男の目から見た「男」というものに対する自虐的と言うか自己反省的視線があるからなのか、主人公に対する拒否感はあっても作者に対する拒否感がない。
おかげで、とても面白い作品でした。
主人公が魅力的でない作品を面白くするには、作者の筆力はより必須なのだと思いました。