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つきあたりの陳列室

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2007.09.16
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カテゴリ:Horticulture

秋祭の最終日,激しい雨があがって間もない夜九時頃,私は露店の並ぶ通りを歩きはじめたのですが,あいにく丁度良い店じまいのタイミングだったとみえ,多くの店は商品をしまったり運んだりしていて落ちつかない雰囲気でした。

しかし,私は風情を味わいに寄ったというよりは,目当ての店を探していたのでした。植木屋です。七歳でソテツを買って以来,夜店と言えば植木や貝殻,またはハムスターやクワガタを思い浮かべます。

間もなく辿りついた植木屋の並ぶ一角も,商品をつぎつぎと奥へ運びつつある最中でした。しかしそこは商売人,もう客がこないと信じていたところにカモっぽい男がサボテンを凝視し始めたのを見て,声をかけてきました。

私は写真でしか見たことのないサボテンを目の当たりにして,気取られない程度に興奮しました。あるものは,針の先まで透き通るような白をしていて,ホームセンターなどでは望むべくもない,きわめて状態の良いものでした。

*

私は一鉢だけ買うつもりで,候補をいくつか選んでは一と所に集めておきました。しかし向こうは当然,それを全部買うという前提で交渉を始めます。「3つで2千円!」そこそこの値引き率です。しかし私は無視しました。そもそも金をそんなに持っていないはずだったからです。

婆の必死の掛け声を生返事であしらいつつ,アストロフィツムは滅多に買えないがどれも状態が悪そうだとか,烏羽玉はさほど欲しくないが子吹きしてるから得かもしれないとか,無言で考えているうちに相手は焦れてきました。

ついに婆は花芽のついている一鉢を加えて「4つで2千円」などと言い出しました。私は,そもそも2千円も持ってないし,と思って一応財布を開いてみると,3千円ありました。あっ,買えるじゃん。あとで考えると,ここでやや平常心を失っていました。

しかし,いくら蕾がついていても,欲しくない種類は買いたくなかったので,最後に付け足された鉢を脇によけて,「3つでいいから,2千円より安くして」と言ってみました。婆はひっこみがつきません。この売り買いをまとめたいという信号を,続けて発したのは向こうですから,ここで向こうが突っぱねるというのは,ほぼ有り得ない流れでした。ウッズに対して直球を10球つづけた藤川が,変化球のサインに首を振ったようなものでしょうか(ぜんぜん違う)。

婆は心なしか悔しそうな声で「1700円」と小さく答えました。30秒前まで2千円だったものが,今は300円安くなっているのです。私の勝ちだ,と思ったのも無理はありません。

*

しかし,本来一鉢しか買うつもりがなかったのに,割安とはいえ予定の2倍以上の出費をした点は失敗でした。しかも,私の窓辺の空間は,ティランジアの増加と成長により限界に達しています。今はいいけれど,冬にどうやってその空間問題を解決するかは頭の痛い問題です。

また,私は半年も前から,慣れないサボテンなどではなく,栽培のコツをつかみつつある可愛いリトープスの種類を増やしたいと思っていたのでした。どうしよう。困ったもんだ。

でも『趣味の園芸 別冊 サボテンと多肉植物』を開き,「エキノフォスロカクタス」「有星類」といった種類ごとの栽培方法のページを読んでは,植え替え計画を練りはじめたりしていると,わくわくしてきました。まあいいじゃないか。こんなつやつやしてるサボテン見るのは初めてだ。1日でも長くこの状態を保つためにがんばってみようか。







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Last updated  2007.09.16 22:28:18
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おお♪   ふゆゆん さん
お祭りのお店では、ホームセンターは目じゃないつやの良いサボテンが売られているんですね?

私は子どもの頃、母の実家のある市の駅前にあるバスターミンルの前の広い歩道で、沢山のサボテンが売られているのをバスから見るのが好きでした。

高校生になって、そこの高校に通い出し、あのサボテンを買おう!と心に決めて行ったのに、その頃にはもうサボテン売りはいなくなっていて、酷く残念に思ったのでした。
それに大人にサボテン売りの話しをしても誰も憶えていませんでした。

その後、高校生で買ったサボテンは育て方を知らずに3年くらいで枯らしました。花も咲かせた事が無いです。

シャコバサボテンはサボテンて気がしません。
今うちには本当のサボテンがありあせんねぇ。 (2007.09.16 22:51:53)

Re:おお♪(09/16)   inalennon さん
ふゆゆんさん

>お祭りのお店では、ホームセンターは目じゃないつやの良いサボテンが売られているんですね?

 どこでもそうかはわかりませんが,要チェックです。でもピンとキリの差が激しいので,要注意です。赤っぽい裸電球の下なら,色つやの見極めも見誤りやすいです。

 私は今年できませんでしたが,お勧めする戦術は,同じ店に何度か通うことですね。最初の日は,どうしても欲しくて,数も少なくて,確実に良い状態のものだけ買えばいいでしょう。

 それでも日が経つと,再入荷があったり,安くなったり,顔見知りになって思いがけぬ良品を勧められることもあるかもしれませんから。来年はリベンジです(というか,思う壺ですね。。)。


>その頃にはもうサボテン売りはいなくなっていて、酷く残念に思ったのでした。

 昔の祭には蛇女の見世物とか,バイクの曲乗りとかがあって良かったです。サボテン売り屋が無くなって残念でしたね。


>その後、高校生で買ったサボテンは育て方を知らずに3年くらいで枯らしました。花も咲かせた事が無いです。

 わたしもサボテンは苦手にしてます。最近は本を読んで,基本をおぼえはじめています。欲しいときが始めどきと信じて,やる気を盛り上げています。


>シャコバサボテンはサボテンて気がしません。

 気持ちはわかります。それでも咲くと嬉しいでしょう。うちではシャコバも失敗しがちです。

 100円ショップにもサボテンよく売ってますよね。ホームセンターも,入荷したてのものは元気な状態のが多いですから,狙い目です。


(2007.09.16 23:25:29)

Comments

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フィンち@ Re:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子 「人生のままならなさ」への強烈な疑問と,…
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