2005/11/26(土)02:42
会計主体論について
マーケット様の活況にはご縁がなく、沈みがちなパフォーマンスで推移しそうな今月です。日記が遅れ気味なことが反省です。
さて、今回は「会計主体論」について書いてみたいと思います。
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<会計主体論>
「会計主体論」とは、企業とその利害関係者との係わり合いをどのように位置づけるかを考えるものです。
これには、「資本主理論」と「企業主体理論」という2つがあります。
(1)資本主理論
*会計の主体を資本主とみなし、会計を資本主の立場から考える
*資産は資本主の所有財産であり、負債は資本主の負担義務である。そして資産と負債の差額が資本主に帰属する持分である。すなわち、
(資本等式):資産-負債=資本
(2)企業主体理論
*会計の主体を企業それ自体とみなし、会計を企業それ自体の立場から考えるもの
*資産は企業の財産であり、負債と資本は企業活動に運用される資本の調達源泉である。すなわち、
(貸借対照表等式):資産=負債+資本
そして、資本主義の歴史的過程から、会計主体論は資本主理論から企業主体理論に発展してきたということになります。
これは、近代資本主義においては、所有と経営の分離、利害関係者の多様化、企業の社会的責任の重大性、などの背景から、資本主理論よりも企業主体理論のほうが適合しているという理由からです。
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要するに、貸借対照表をどのような観点で見ているのかということに関する学者様の哲学です。
私なんぞも含めて、多くの投資家からしてみれば、
「資産-負債=資本」でも「資産=負債+資本」でもどっちでもいいじゃん
と思うのですが、会計の学者様から言わせればそこは明確に区別すべきであるという話になっています。
したがって、投資で利益が上がることとは全く無関係なものですが、お手持ちの決算書関連の入門書について「どちらの視点で書いているのか?」見てみるのは知的興味としては面白いかもしれません。
「資産-負債=資本」(資本主理論)の立場で書かれている本もあれば、「資産=負債+資本」(企業主体理論)の立場で書かれている本もあると思います。恐らく、決算書の入門書を書いている著者の方々もこのあたりはあまり意識していないのではないのかもしれません。
やはり、本格的に会計の勉強をする以上は、学者様が書いた本でこのあたりのことを詳しく書いているものを一冊くらいは購入すべきなのかもしれません。
しかしながら、あまりにも学者様のような感覚で考えることに慣れてしまってしまい、本来の趣旨である「投資で利益を上げる」ということを忘れないようにしなければならないのは言うまでもありません。
「会計学者で個人的投資にも強い人が知り合いにいれば」と思う今日この頃です。