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2004年09月27日
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昨日の日記で

>めずらしく彼女は最初から最後までゴキゲンだった

と書いたが、実はこれは嘘である。

一度だけ、彼女は機嫌を損ねた。

ご丁寧に頬に一筋の涙まで流してくれていた。

それはいつ頃かというと、AM0:15、くらいだと思う。

「だと思う」というのはつまり、彼女が怒った理由に直結している。

彼女が怒った理由、それは、僕が、


ベッドに入るなり即爆睡してしまったから。


昨日の日記にも書いたが、僕は、彼女と会ってる間、ひどく眠かった。

確かにこの日僕は朝5時に起床して家を出てきた。けど、朝5時という時間は、普段の僕の起床時間と比べてもちょっぴり早い、という程度である。

しかもこの日僕はすごく冴えていた。基本的に乗り物ではすぐに意識を失ってしまう僕が、名古屋まで一睡もすることなく到着することができた。(いや、きっと、それがいけなかったんだろう)

とにかく僕はひどく眠く、わざとではないのだが、ベッドに入り電気を消してまもなく、意識はまるで掃除機に吸い込まれるかのようにすうぅっと箱の奥深くの方へと消えていった。


ふと気が付いて彼女の方を見たときには(AM2:00くらい)、彼女は僕に背を向けて丸まっていた。

彼女が起きていることは直感的にわかった。

すぐに彼女の肩に手を置いたが、すぐに払いのけられた。

やばい。怒ってる。。。


それから僕は、(たぶん)20分くらい、延々と謝り続けた。寝ちゃっててごめんなさい、放っておいてごめんなさい。いや、別に、かまうのが面倒くさかったわけじゃないんだよ、ただ、気が付いたら、意識が飛んでて…

彼女はその間に一言だけ「ずっとこの日楽しみにしてたのに…」とつぶやいたが、それ以外はずっと黙っていた。

20分めに僕はほぼ投げやり気分で『ごめん、許して、機嫌直してくれるならなんでもするから』と言った。

ちょっとの沈黙のあとに、彼女は言った。「なんでもする…?」

一瞬僕は、やべっ、しくじった、と思った。彼女の機嫌を20分で回復させたことはORどころかWR並みの記録的スピードである。金メダルの代償に、僕は無理難題を押し付けられるかもしれない。けれど今更「嘘でした」で失格になりメダル剥奪されるわけにはいかない。

『う、うん』と僕は、ドキドキしながら言った。たぶん、なんでもする。

「じゃあ…」と彼女は言う。

じゃあ…


****************************


そして今僕は、彼女にラブレターを書いている。

彼女のお願い。それは、彼女宛てにラブレターを書くこと。

予想外なことだったが、当然僕に、拒否権はない。『ハイル・ヒットラー!!』もしくは『ジーク・ジオン!!』と同等の忠義心を示さなければ打ち首である。

「長文で書いてね」


急いで実験を切り上げて、昼過ぎに僕は帰宅した。

机の上に便箋を一枚、置く。

……

……

……。


で、何を書く?


ラブレター。みなさん書いたことありますか??

今や携帯で告白する時代になりました。でもやっぱり、文字で伝えるなら手書きでないとね。淡い青緑色の便箋に、鉛筆文字の温かいタッチで、「あなたのことが好きです」って。

くぅーっ、青春やねぇ!!!!!!!!!!!!


…今からそれを、僕がやらなければいけないんだ。この僕が。


一気に気分がどんより。

とりあえず、書き出しの言葉だけ書いてみる。

『ラブレターなんか書かなくたってオレが君を愛してることくらい、君だって十分にわかってると思う。けれど……』

書きながら自分に問う。どーよ!?オレ!!『愛してる』なんて書いたぜ、オレ!!!!

一人でテンションが高くなってしまった。恋しちゃってんでーおいっ!!!

それから落ち着いて思う。十分にわかってんのやったら書かなくたってええやん。

せや、書かなくたってええやん。なんでこんなまわりくどいことオレにさせんねん…

それからちょっと、20年後のことを思う。

彼女は10代そこそこになった彼女の子供に向かって言うのだ。「ほらこれ、お父さんが20年前にお母さんに宛てて書いてくれたラブレター。今でこそあんないつもぶすっとして全然喋らないようなお父さんだけど、20年前はこんなくさいこと言ってたのよー」「うわぁーマジ!?きもーい!!」

うわぁーーーーーーーなんて屈辱!!!!こんなものが想いの移り変わりとは関係なく年月を重ね残り続けることを考えると、顔で目玉焼きが焼けてしまう!!

しかし、繰り返すが、このことに関して僕に拒否権はないのだ。常任理事国入りは認められない。

こうなればいつかもしも僕と彼女が2人で暮らす日がやってくるとなったら、彼女が外出している間に引き出し中をガサゴソあさって、見つけ出すやいなや秋刀魚と一緒に焼き上げよう。

…さぁ、とにもかくにも、急いで書かなきゃ。


とりあえず構成としては、

1.ラブレターの解説。僕は君への想いで溢れてるんだ。。。
2.過去の思い出。あのときは楽しかったね、嬉しかったよ、幸せだった。
3.彼女の容姿を褒める。目鼻口、手足といったパーツ一部分の細部に至るまで、とにかく褒めちぎる。
4.彼女の性格を褒める。優しい、安らぐ、ほっとする…つまりはすべて同じことでも、手を変え品を変えた表現で、褒める。
5.これからのことを書く。これからもずっと一緒にいようね。2人で幸せになろう。などなど。

といったところだ。うぅ…長いな。


ラブレターというよりは、だんだんとレポートを書いてるような気分になってきた。

ところが普通のレポートとは違って、友達と相談しあいながら書くことはできない。…というか、死んでも見せられない。

提出期限は明日である。

まだ1枚しか書いてない。

今夜必死でがんばろう。






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最終更新日  2004年09月27日 20時06分44秒
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