No7 橋本 真也橋本真也が死んだ。早すぎる突然の死。 橋本とは同年代。 彼も新弟子の頃から見続けてきたレスラーの一人。 真のプロレスファンというのはどのジャンルのファンよりも思いが深く、そして熱い。 プロ野球やサッカーなど表の舞台はいい。 色眼鏡で見られることはほぼないから。 我々の特色というのは、世間から蔑まれ続けても見続ける。 そんな汚れた世界だけど、俺達はあなた方を信じ続けているんだよと。 極端に例えるなら、家族が死んだということに近い。 私の現在のプロレスラー橋本への評価は正直終わっている。 99年1月4日の対小川戦でシュートの力のなさを露呈してしまってからは。 厳密にはあの試合本当のシュートマッチではない。 でも限りなくシュートに近いものであった。 あの惨めなクワガタタックル。 グランドになれば新弟子の如く遊ばれる。 俺達が新日の強さの象徴に掲げてきた男の実力なんてこんなものだったのか? 本当に悲しくなった。 決して器用でなかった橋本。 彼がプロの中で生き残るためには、強さを売る以外残されていなかった。 そのために会社が用意した路線。 「なんちゃって異種格闘技戦」これは×だった。 器用でない彼がやると、あからさまにおかしな動きになった。 一度トニー・ホーム戦で間違ってパンチをモロに食らい、ブックが崩れたこともあった。 同じ強さを売るにしても、彼の良さが本当に光っていたのは、ベイダーをはじめとする、スーパーヘビー級との真っ向勝負のプロレスだった。 90年代の新日本黄金期を支えたのはそんな闘いだった。 そんな彼が小川との一連の抗争を経て、長州・永島の陰謀により新日本を追放される。 長州・永島から離れた最初の彼のプロデュース大会は久々に胸を躍らされるマッチメイク。 その後のZERO-ONEに期待を抱かずにはいられなかった。 自由に羽ばたける土俵を手に入れたのだが、自由になったのはプロレスの事だけでなく、遊びにもたがが外れ狂ってしまう。 練習は元から嫌い。 それが余計練習しなくなる。 長州が良く彼に使っていた言葉、「なまくら」になってしまった。 今回の件はこの自分の不摂生もたたっていると勝手に解釈している。 会社の金での豪遊が元で、選手との間に亀裂が発生。 (詳しくはそれだけではないですが。) 個人的にも多額の借金を抱えた。 その後御存知の用にZERO-ONEを追放となった。 借金返済のために、己のポリシーを売り渡し選んだリングは「ハッスル」。 禁断の芸の世界へ足を踏み入れてしまった。 度重なる怪我との闘い。 こんな経緯で俺の中の彼はもう終わってしまっていた。 しかし、若手の頃の彼のトンパチっぷり、素敵だった。 若手時代、猪木さんがブッチャーにセルさせてるとき、本気で猪木さんを守ろうとして蹴りを入れていった。 はたまた、一度出ていった長州軍が帰ってくると、ヒロ斉藤にシュートを仕掛け、 試合後に長州&マサからリンチを受けた。 アメリカ修行時代、プロレスが下手で相手を壊しまくっていた彼。 プロモーターに嫌われ、試合に干されギャラが入ってこない。 そんな時猪木さんが彼を訪問。 「これで好きなもの買え!そして外人レスラー達にもなんか食わせてやれ。」 アメックスのゴールドカードを渡される。 そのカードで100万円使ってしまう。 まさに豪快なプロレスラーだった。 そんな頃からずーっと見続けている。 だから本当に悔しい。 チンケなプロレス界であるが、チンケであるがゆえにその死への思いは深い。 世間は明日になればもう忘れるだろう。 でも私の中の彼は生涯消えない。 心から冥福を祈ります。 ジャンル別一覧
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