頭の中のふわふわしたもの

2009/02/21(土)20:50

1-1

フィクション(13)

私の名前を呼ぶ声が聞こえる。 誰かが私を呼んでいる。 それは小さな、私が聞き取れたことが不思議なほど小さな声。 私はその声に応じるように玄関へと急いだ。 私が玄関のドアを開けると、そこには誰もいなかった。 しかしほんの少し前まで扉の先からは声が聞こえていたのだ。 どこかへ行く時間などない。 しかもそこには人が移動した痕跡すらないのだ。 私が不思議に思って扉を閉めようとすると、背後から声が聞こえた。 先ほどの小さな声。 私は驚いて振り返った。 すると突然、目を疑うような事が起きた。 私の周りの"色"が無くなったのだ。 全てが線で描かれた世界。 奥行きが無くなり、私が今どこに立っているのかさえ分からなくなるほどであった。 そのまるで2次元世界へ来たかのような感覚に私が驚いている時、また背後で私を呼ぶ声が聞こえた。 私は再び振り返った。 するとそこには

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