カテゴリ:雑記
いうまでもなく吉野せいさんの名作。 昨日、読売新聞のコラム「編集手帳」で一部が紹介されていて、あらためて読んでみたくなり、本棚の隅から引っ張り出した。 この本を最初に読んだのはもう20年ぐらい前だったと思う。そのときはあまり感じなかったが、今読むと、あまりの文章の切れ味の鋭さに驚く。自分の感性が鋭くなっているのか、それとも今の自分の環境がそう感じさせるのか。 吉野さんは70歳を過ぎてから著作活動を開始し、76歳で大宅賞を受賞している。いわゆるプロの作家と違い、これを生活の糧にということもなかったろうし、文学の世界に自分の足跡を残そうという野心もなかったに違いない。 そんな素人っぽさが気負いのない、それでいて勢いのあるシャープな筆致を生み出したのかと思う。 文庫本「洟をたらした神」にはほかに15編の短編が収録されているが、それもまた読んでみたい。というより、16編の短編すべてを読んではいなかったと思う。 それにしても、今の紙というのはどうしてこうすぐに黄色くなってしまうのだろう。20年たっているとはいえ、陽の当たるわけでもない本棚の奥のほうに入っていたというのに。
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最終更新日
2009年07月31日 09時02分36秒
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