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2008.09.18
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カテゴリ:人類学
分子生物学による研究によると、人間にもっとも近縁な生物は類人猿のチンパンジーであり、両者が共通祖先から分離したのは500万年前から700万年前くらいのこととされています。かつては、人と類人猿の共通祖先からの分離は1500万年以上前と考えられていたのですが、分子生物学の進歩とともに、チンパンジーと人の間には、遺伝子的にはごくわずかの違いしかないことが分かってきたのです。

それに加えて、人(ホモ・サピエンス)という生物は、遺伝子的に均質な生物です。チンパンジーは人より分布域が遙かに狭く、アフリカの限られた地域にしか住んでいませんが、4つの亜種に分かれ、更に近縁ながら別種とされるボノボ(ピグミーチンパンジー)もおり。個体間の遺伝的な変異は、人間より遙かに大きいとされています。人間の個体数(人口)はチンパンジーの1万倍以上、分布域もチンパンジーより遙かに広いにもかかわらず、です。

この、遺伝的な変異があまりに小さいことから、人類の進化についての「多地域進化説」と「一地域進化説」の論争は、一地域進化説が広く受け容れられるという結果となりました。
かつては人類の進化は、ヨーロッパのネアンデルタール人の子孫が白人に、ジャワ原人や北京原人の子孫がアジア人にというふうに、世界各地で同時並行的に原人や旧人から現在の人類(新人)に進化していったと考えられていました。つまり、人種の起源はこれらの原人がアフリカを出て世界各地に広がった100万年ほど前に遡ることが出来ると考えられていたのです。(多地域進化説)
しかし、分子生物学の進展によって、現生の人類の共通祖先はわずかに十数万年前、アフリカで誕生したというというのが定説となりました。(一地域進化説)

一般的に「遺伝子」という場合は、生殖細胞の染色体を指しますが、上記のように人間の遺伝子は個体間の変異が少なくて比較が難しいので、個体間の変異を比較するには、通常ミトコンドリアDNAを使います。ミトコンドリアDNAは生殖細胞のDNAよりも遙かに変化のスピードが速いため、変異を比較しやすいからです。しかも、ミトコンドリアDNAは母親から子どもにしか伝えられないので、祖先をたどりやすいというメリットもあります。このミトコンドリアDNAを解析した結果、現生の全ての人類の祖先は、今から十数万年前のアフリカ人の、1人の女性にたどり着いたのです。(ミトコンドリア・イブ仮説)

その後、絶滅したネアンデルタール人の化石からもミトコンドリアDNAの抽出に成功し、彼らが現生の人類とは50万年くらい前に分岐したこと、従って十数万年前に誕生した我々現生人類の祖先ではないことも明らかになりました。

人の遺伝的な変異があまりに小さいことから、多くの人類学者は、我々現生人類の祖先は、非常に小規模な集団だったのではないかと推測しています。かつて、ある時期に絶滅寸前の状態に陥り、個体数(人口)が極端に減ったことがあるため、遺伝的な多様性が失われたのではないか、とも言われています。
とりわけ遺伝的多様性が乏しいのは、アジア人とヨーロッパ人です。つまり十数万年前の共通祖先に近い、古い時代に枝分かれしている集団は、全てアフリカ人(黒人)なのです。アジア人(黄色人種)とヨーロッパ人(白人)は、アフリカ人の1集団の中から、より新しい時代になって枝分かれした、新しい集団なのです。従って、アジア人とヨーロッパ人の遺伝的な変異は、アフリカ人に比べて遙かに小さい。それは、枝分かれの年代がより新しいということと、枝分かれしたときの集団(人口)がごく少なかったということを示唆しています。
現生人類の共通祖先の誕生は十数万年前(15-20万年前)で、そこからアジア人とヨーロッパ人の共通祖先が枝分かれ(アフリカから出た)のは5-8万年前、アフリカを出た集団の規模は百数十人程度、という説が言われています。アジア人とヨーロッパ人の分岐は、当然それより更に新しい時代のことです。

このように分析が進んだ結果、「人種」という定義がまったく無意味なものであることが明らかになりました。
一般に、アフリカ人を黒人(ネグロイド)、アジア人を黄色人種(モンゴロイド)、ヨーロッパ人を白人(コーカソイド)と呼んでいます。(北アフリカや中東のアラブ人、インド人なども人類学的には白人)
しかし、もともと現生人類は遺伝的に非常に均質なので、人「種」などという用語で区別することには無理があります。それでもあえて遺伝的な変異に従って人種をわけるとしたら、
黒人A人種
黒人B人種
黒人C人種
黒人D+白人+黄色人種
とでも分けるしかないのです。なぜなら、黒人A~D間の変異は、黒人Dと白人、黄色人種間の変異より遙かに大きいからです。黒人A~Dを一つの「人種」にまとめて、白人という「人種」、黄色人種という「人種」と対置させることの無意味さは、容易に理解できることと思います。

もちろん、生物学的な分類とは別に、社会的・文化的な意味での人間集団としては(つまり、「民族」と同じような意味での)「人種」には意味があるかも知れません。たとえば米国における黒人はそのような概念かも知れません。ただし、日本人とアメリカ先住民に同じ黄色人種としての社会的・文化的な意味での同一性があるか、ケニアのマサイ族とカラハリ砂漠のサン族ではどうかと考えると、いささか無理がある。

もう一つ、では十数万年前に登場した、現生人類の最初の集団はどんな肌の色をしていたのでしょうか。もちろん、肌の色が分かるような化石資料は発見されていないし、今後も発見されないでしょう。しかし、その場所がアフリカであったこと、古い時代に枝分かれしている人間集団がみんな黒人であることから考えると、最初のホモ・サピエンス集団も黒人(黒い肌の人間集団)であった可能性が極めて高い。
ということは、日本人だろうが中国人だろうが、イギリス人だろうが南アフリカの白人であろうが、遡ればご先祖様は黒い肌の人々だった、ということです。





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最終更新日  2008.09.19 20:14:14
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