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テーマ:ニュース(100804)
カテゴリ:外国人の権利
カルデロンさんを巡る問題の更に続編になります。
ご両親に関して言えば、不法入国、不法滞在を行ったという事実は(それが犯罪とまで呼ぶに値するかどうかはともかく)確かにあります。 しかし、こども(のり子さん)には何の罪もありません。人間は、自分の親も生まれる境遇も選ぶことが出来ません。不法滞在者の子どもに生まれるという選択を、彼女自らが行ったわけではありません。にもかかわらず、子どもの学校までデモ隊が押し掛けるとは、どういう了見かと思います。 さて、私はできることなら3人に在留許可が出ればいいと思っていたわけですが、しかし結果としては、のり子さんだけに特別在留許可が出て、両親は出国命令によって帰国しました。 この件についてはモトケンブログのエントリに詳しい説明が出ています。 特別在留許可とは、そもそも「密入国や不法滞在などで入管法に違反して日本に滞在している人」を対象に在留の許可を与える制度なのだそうです。従って、のり子さんに特別在留許可を出すことは、まさしく制度の主旨に則った運用なのです。 もちろん、不法滞在者の誰にも特別在留許可が認められるわけではありません。実際にどのような事例に特別在留許可が出るかについては、法務省のサイトに出ています。いずれもやむを得ない事例であり、カルデロンのり子さんの場合も同様です。 日本で生まれて日本で育ち、一度も日本を離れたことがない、彼女の「国籍」はフィリピンかも知れないけれど、「母国」はどう考えても日本でしょう。しかも、不法滞在者の子どもに生まれたというのは本人の選択でもなんでもない。 それらの点を考慮して、法務省は彼女に特別在留許可を出したわけです。 一方、両親の方は、残念ながら在留許可は出ませんでした。ただ彼らも強制送還されたわけではありません。 入管法第25条の3に、出国命令という制度が規定されています。強制送還だと、入管の収容所に何日間か放り込み(維持費がかかる)、送還のための飛行機代も法務省が立て替え払いします。あとで本人に請求は行くのですが、本人に支払い能力がないなどの事情で結局は踏み倒しになってしまう可能性が高い。 そこで、「悪質度」の低い不法滞在者については、所定の手続きによって身柄を拘束しないので、自分のお金で帰国の航空券を買って帰って下さい、という制度です。 カルデロンさんの両親は、この出国命令によって、身柄を拘束されることなく(いったんは入管に出頭して拘束されたのですが、自費で帰国することを確約して、その日のうちに釈放されている)みずから帰国したわけです。 ちなみに一連の問題については、カルデロンさんをよく知るであろう地元の人は、一家に好意的で、在留許可を求める嘆願書が6000通集まった上に、彼らの住む蕨市議会も、特別在留許可を求める意見書を全会一致で採択しているようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.04.19 13:36:42
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