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2012.01.16
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カテゴリ:戦争と平和
数日前の記事に高田純という「学者」の名を出したら、何というタイミングか、この「学者」が賞を受賞したのだそうです。

あの田母神氏、渡部氏も激賞 「真の近現代史観」放射線論文が最優秀賞 「福島県民は誰も甲状腺がんにならない」

元航空幕僚長の田母神俊雄氏が第1回の最優秀賞に選ばれて騒然となった「真の近現代史観」懸賞論文。第4回の選考では札幌医科大の高田純教授(57)による論文「福島は広島にもチェルノブイリにもならなかった~東日本現地調査から見えた真実と福島復興の道筋」が最優秀賞(賞金300万円)となった。理系論文での異例の受賞で、現地調査を積み重ねた上での大胆な結論は世間に衝撃を与えそうだ。田母神氏も激賞する論文の中身とは…。(溝上健良)
昨年12月8日、日米開戦70年の日に開かれた表彰式では、主催したアパグループの元谷外志雄代表が「今回の論文はすばらしいが、近現代史という観点から(受賞は)どうか、という話もあった。ただ戦後の歴史は核をめぐるせめぎ合いの歴史であり、核を抜きにして歴史を論じることはできないのではないか、ということで審査員が全員一致で最優秀賞に選出した」と選考経緯を明かした。選考にあたっては氏名、経歴などは伏した上で論文の中身だけで判断したという。核をめぐる現代史の裏面を描いた論文も見事だが、審査委員の見識が光った選考結果だったともいえる。受賞論文はアパグループのホームページで全文を読むことができる。(以下略)

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あの、アーパー、もといアパグループの懸賞論文ですか。右翼的イデオロギーと、それなりの肩書き(航空自衛隊幕僚長とか)があれば、中学生の作文レベルでも300万円の懸賞金をくれる懸賞ですね。
で、問題の論文の全文は、こちらに掲載されています。

アパグループ 第4回「真の近現代史観」懸賞論文 最優秀藤誠志賞

いや、もう何というか、この人の致命的な問題はダブルスタンダードである、という点です。
つまり「中国の核は悪い核だから、核実験で数十万人死んだ、日本の原発はよい核だから誰も死なない」簡単に言うとそういうことなんです。
そんな馬鹿な話があるわけなかろーが。

当然のことながら、放射能の人体への影響は中国でも日本でも同じであり、中国の核実験でそれほどの被害が生じているなら福島第一原発の放射能も危険であり、福島第一原発の事故が人体への影響がないなら、中国の核実験の被害もたいしたことがないはずなのです。

実際問題として、中国の核実験による被害は当然あったでしょう。しかし、この「学者」が主張するような規模だったとは、とても思えないのです。
ちょっと考えれば分かることです。中国の核実験場は新疆ウイグル自治区のロプノール湖なのですが、このあたりは人口希薄な砂漠地帯です。ロブノール県の面積は5万9千平方キロ、日本の四国と九州を合わせた面積よりも広い。そこに人口は10万人しかいないのですから、全員が死滅しても数十万人の死者にはなりません。

それに、論文の中で高田純は

「私は大学院博士課程時代の広島黒い雨の調査を原点に、チェルノブイリ原子炉核分裂暴走災害、カザフスタン・ビキニ・楼蘭での核爆発災害を調査した。そのなかで世界最悪の核災害は、NHKが長年古代ロマンのみを報じてきた楼蘭周辺のシルクロードである。
(中略)
昭和三十九年十月の東京オリンピックの開催中に始まった中国の核爆発は、平成八年まで続いた。NHKの大型番組に誘導されてシルクロードを観光した日本人は二十七万人と推計される※6。日本人旅行者たちの被害は甚大にちがいない。」

と、いかにも自分で調査したように書いているんだけど、実際には本人が中国で現地調査を行ったわけではないそうです。(だいたい、核実験場周辺の放射能測定を。中国が外国人に認めるわけもないのですが)

タモさんと高田純教授 その2。より
高田純教授の著作『中国の核実験』(ちなみに、高田教授は、中国の核実験に関しては実際に現地に行って計測したわけでなく、推測に基づいて計算をしています。参考資料には自著がずらりと並んでいます。)ですら、(強調は引用者)

ところで、本当に日本人のシルクロード観光客への被害は甚大なのでしょうか。
中国の核実験は1996年まで行われましたが、大気圏内核実験は1980年までで、それ以降は地下核実験です。地下核実験でも放射能は漏れ出しますが、格段に少ない。そして、高田がやり玉に挙げるNHKのシルクロード特集は同じく1980年のことですが、この当時のシルクロードは、まだ一般旅行者が容易に近づけるところではなく、シルクロードへの旅行が増えたのはバブル期以降だろうと思います。言うまでもなく、核実験場の近くなんて、外国人旅行者が近づけるわけもありません。それでもなお日本人観光客の被害が甚大だとしたら、当然福島第一原発の事故の被害も甚大に決まっているでしょう。

核兵器も原発も、ウラン235の反応によってエネルギーを放出している、という限りにおいて原理は同じです。当然、発生する放射能も同じです。違うのは、核兵器の爆発は、あらゆる種類の放射能(半減期の長いものも短いものも)が大気中にまき散らされるのに対して、原発事故では、半減期の短い放射能は外気中に放出される以前に減衰しているという点です。だから、原発事故では半減期の比較的長い放射能による被害が中心になります。

が、これを逆に言えば、核兵器も爆発から日数が経てば原発事故同様に半減期の比較的長い放射能しか残っていない、ということでもあります。つまり、爆発から日数のたった核爆発の放射能被害と、原発事故の放射能被害はかなり似通ったものになるということです。
さて、広島の原爆では、「入市被曝者」という方が数多くいます。広島に新型爆弾投下という報により、救援のため広島に来て被曝した人々です。原爆投下から2週間後に広島に来て、被曝によって健康被害を受けている人もいます。このことから考えて、原発事故による比較的半減期の長い放射能も人体に危険であることは明らかです。

論文ではなく、産経の記事によると、高田純は

「広島でセシウムによって死んだ人はいない。広島の死者は熱線、爆風、そして半減期の短い強力な放射能によるもの。セシウムの放射線はそれほど強いものではなく、今の日本で起きているのは集団ヒステリー状態だといえる」

と言っているそうです。広島でセシウムによって死んだ人はいない、などと、どんな根拠に基づいていっているのでしょうか。何の各種による被曝が直接の原因かなんてことが、分かるわけもないのに。少なくとも、前述のように原爆投下から2週間も経って入市して被曝した人の被曝原因は、半減期の長い放射能であることは間違いありません。
「セシウムの放射線はそれほど強いものではなく」というのも、メチャクチャな話です。そもそも、シーベルトという単位は、放射能の人体(生物の体)への放射線の影響大きさを測るための単位ですから、1シーベルトの放射能というのは、それを発するのがプルトニウムでもストロンチウムでも、もちろんセシウムでも人体への影響は同じです。
ただし、内部被曝に関しては、その物質を体内に取り込みやすいか否かという違いはあります。たとえばラドンは体内に取り込んでも、人体にとって異物なので比較的すぐ排出されますが、ストロンチウムやセシウム、ヨウ素などは人体が必要とする元素と区別できないため、長く体内にとどまります。
セシウムの生物学的な半減期(体内にとどまっている時間)は100日程度といわれます。生物学的半減期については、私も過去に記事で紹介したこともあります。ただ、そのときは気がついていなかったのですが、100日経ってセシウムが体外に排出されたとしても、そのとき環境中にまだセシウムがあれば、結局は次々と体内に取り込んでいるわけだから、結局は環境中のセシウムが減らない限り、体内のセシウムも減らないわけです。

そのセシウムが、今回の事故では広島原発の168倍も大気中に放出されました。広島原爆は10キロトンから15キロトンの規模ですから、おおむね2メガトンの核爆発と同等のセシウムということになります。それで何もないわけがありません。

「筆者自ら行った調査時の個人線量計の積算値から推定する現地の三十日間線量は、四~五月、六~七月で、それぞれ、二十km圏内と周辺が一・〇ミリシーベルト以下、会津~福島が〇・一〇ミリシーベルト以下であった。以上から福島県民の平成二十三年の年間外部被曝線量は、十ミリシーベルト以下、多くは五ミリシーベルト以下と推定する。」とも書いてありますが、数日前の記事で紹介した、文部科学省の放射線量等分布マップによれば、20km圏内から、一部その範囲を超えて、空間線量が毎時19マイクロシーベルトという地域が広がっています。毎時19マイクロシーベルトというのは、年間に直すと166ミリシーベルトです(風雨によって流されたりして、実際はこれよりもう少し減るでしょうが)。この数値は、被曝によって健康被害が明らかに起こると証明されている数字(100ミリシーベルト)よりずっと上です。ましてそこに継続して何年も住み続けたら・・・・・・。

もちろん、文部科学省の数字だって、絶対に正しいかと言われれば、それは分かりません。
だけど、高田純という「学者」の言う「安全だ」という念仏と、どちらの方がより信用に足るかといえば、言うまでもないでしょう。私は少なくとも、こんなでたらめなことを言っている人の言い分を信用する気にはなりません。





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最終更新日  2012.01.17 00:42:02
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