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2015.12.15
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テーマ:戦争反対(1187)
カテゴリ:戦争と平和
それでもオスプレイを拒みますか~報道されぬ被災地支援の驚異的機能
東日本大震災の翌日の朝、我々は普天間から空中給油機KC-130、CH-46数機、士官が搭乗した小型機を第一陣として出発させた。震災当時に海兵隊が使用していたのはCH-46という古い中型ヘリコプターだった。海兵隊はこのヘリを1961年から使用しているが、オスプレイと比較すると速度が非常に遅く、空中給油もできない。航続距離が短いので奄美空港、鹿屋基地、岩国基地と経由し、1日半かけて関東にたどり着いた。ヘリ部隊が仙台空港に展開できたのは3月14日のことだ。~
「トモダチ作戦」の後、我々米軍関係者が一番残念に思ったのは、オスプレイがもっと早く日本に配備されていれば良かったのにということだった。ヘリで3日間もかけるのではなく、おそらく3時間程度で沖縄から展開できただろう。もしもあの時オスプレイがあったなら、米軍による初動はかなり違ったものになっていたはずだ。普通のヘリではないからだ。作戦を革命的に変える航空機なのだ。~
ヘリと比べると、オスプレイの速度は感動的ですらある。垂直離陸もできるが、搭載量が多い場合など、ごく短距離(約66メートル)の滑走後に離陸する形をとる。その滑走距離の短さ、急角度の上昇などからは、この機体の輸送機らしからぬ軽快な運動性が実感できる。~
従来のヘリコプター・CH-46の2~3倍のスピードを誇るだけでなく、航続距離が長く空中給油ができるのもオスプレイの特徴だ。空中給油は給油機KC-130が同時に飛行するか、指定された空域で給油機と合流することで行う。垂直離着陸可能なヘリコプターとしての能力だけでなく、ヘリよりはるかに速く飛べる飛行機としての能力を併せ持つオスプレイだからこそ空中給油が可能~。
輸送力も見逃せない点である。オスプレイはCH-46と比べ、搭載量は3倍に増えている。この能力は大型ヘリコプターであるCH-53ほどではないが必要十分なものだ。この搭載量を生かし、オスプレイは~補助燃料タンクを機内に搭載することもできる。諸条件にもよるが、3個の搭載で最大5時間近く飛行時間を延ばすこともできる。いずれにしても「垂直離着陸能力」「水平飛行時の速度」「航続距離の長さ」「優れた輸送力」といったオスプレイの特徴は、災害救援時に非常なアドバンテージとなるはずだ。~

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つい先日、「高価なオスプレイなどを買ったから弾薬を買う予算が減らされた」と記事を書いていた産経新聞が、今度はオスプレイ賛歌です。しかし、その内容は一読しただけで、かなり怪しいと思わざるを得ないものです。この記事には、他にも多くの疑問点があるものの、今回はオスプレイの性能に関する記述に絞って論評することにします。

まず、開発段階で事故が多発して、安全性に疑問が抱かれたことが、まったく触れられていません。そして、より即物的な面で言えば、値段が違う。自衛隊が購入するオスプレイの価格は、訓練費や予備部品等を含めた価格ではあるけれど、1機200億円以上の超巨額です。一方、陸上自衛隊で現用のCH47は、米軍の調達価格に比べて日本でのライセンス生産はきわめて高価と言われますが、それでも1機50億円あまり(米軍の調達価格はその半額程度らしいが)ですから、オスプレイの1/4の価格に過ぎません。オスプレイが仮にこの記事がいうほど優秀な飛行機だったとしても、オスプレイ1機がCH47の4機分の働きをすることは、明らかに不可能です。

そして、比較の対象がCH46というのもまた不可解です。確かに、CH46の後継機がオスプレイではあるのですが、もともとCH46というのはきわめて古いヘリコプターです。米海兵隊でこそ、2012年頃まで現役でしたが、陸上自衛隊では20年も前に退役しています。陸上自衛隊の現用大型輸送ヘリは、前述のCH47であり、米海兵隊の場合はCH53ですが、いずれも速度、搭載量、航続距離ともCH46をはるかに上回ります。「飛行機としての能力を併せ持つオスプレイだからこそ空中給油が可能」なんて記述がありますが、それは明らかに不正確な説明で、旧式のCH46は空中給油能力がないものの、現用の大型ヘリはCH47でも CH53でも、空中給油能力は持っています。

搭載量についての説明も、かなり眉唾っぽいものです。オスプレイのカタログデータ上の搭載量ですら、現用の大型ヘリ、CH47やCH53より少ないことは、引用記事でもさりげなく認めていますが、オスプレイの場合、ヘリと違って、離陸の形態によって最大搭載量が変わってきます。つまり、飛行機のように滑走して離陸する場合とヘリのように垂直離着陸する場合では最大搭載量が変わります。当然、垂直離着陸時のほうが最大搭載量が少ない。オスプレイの最大離陸重量は、垂直離着陸時は24トン弱、短距離離着陸時は27トンあまりですから、燃料搭載量が同じなら、登載できる荷物の重量は3トン以上の差がある、ということになります。また、垂直離着陸はかなり燃料を食うので、燃料と貨物の量が同じなら、垂直離着陸を行う場合の航続距離は短距離離着陸の場合より短くなります。
もちろん、最大離陸重量という上限の中で何かを増やせば何かを減らさなければならない、つまり燃料搭載量と荷物の搭載量はトレードオフの関係にあります。引用記事にあるように、3個の補助燃料タンクを搭載すれば、荷物の搭載量は相当に減ります。また、ヘリコプターがよく行う、荷物を吊り下げての飛行は、オスプレイの場合、垂直離着陸時には行えるけれど、短距離離着陸時には不可能です。
沖縄から仙台まで、従来のヘリコプターでは3日かかったがオスプレイなら3時間、という話も、きわめて怪しい。沖縄から仙台まで、距離は1800km、オスプレイの巡航速度は450km/h足らずなので3時間では着くはずがありません。CH46が3日かかったというのも旧式機だからであって、現用のCH47やCH53なら、CH46より航続距離ははるかに長く速度もはるかに速く、空中給油も可能なので、オスプレイよりは時間がかかるにしても、3日もかかることはないでしょう。具体的にどれだけの時間で到着できるかは、ヘリでもオスプレイでも、貨物の搭載量次第ですが。

結局、オスプレイは確かに速度と航続距離は従来のヘリコプターより優れているものの、搭載量に関しては従来のヘリコプターのほうが優れています。そして、航続距離の差は、空中給油を活用すれば、さほど大きな意味はありません。垂直離着陸と短距離離着陸時という異なった航空機の性質を1機で兼ね備えているのがオスプレイの最大の特徴ですが、滑走路からの離着陸なら、通常の輸送機の方が、速度も航続距離も搭載力もオスプレイよりはるかに優れています。もちろん、価格もずっと安い。2種の航空機の能力を一種で済ませられる、その程度の差に、従来のヘリコプターの4倍の価格の価値があるのか、ということに尽きます。ヘリと輸送機をそれぞれ1機ずつ買うほうが、オスプレイ1機を買うよりずっと安価なのです。(海上自衛隊はC130輸送機の中古を6機150億円で導入している。6機合わせてもオスプレイ1機より安い)

加えて、騒音の問題があります。産経をはじめとする右派系メディアによると、オスプレイの騒音は従来のヘリコプターより小さいのだと言います。ところが、搭乗経験者の話を総合すると、巡航飛行中は従来のヘリコプターより静かだが、離着陸時にはうるさい、というのが真相であるようです。そして、軍民問わず、航空機の騒音被害は離着陸時に起こるものです。航空機が超低空を飛ぶのは離着陸時だからです。巡航飛行中は静か、というのは、搭乗者にとってはともかく、下界の人間にとっては特段関係のない話と言うしかありません。
こうして見ると、オスプレイに、その価格ほどの価値があるようには、私にはとても思えないのです。





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最終更新日  2015.12.23 10:22:07
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