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2017.02.02
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カテゴリ:政治
対米従属の謎:どうしたら自立できるか (平凡社新書)

非常に興味深く読みました。著者の松竹伸幸氏は、元々共産党で安全保障政策を立案する担当者だったとのことです。しかし、共産党の安保政策に疑問と矛盾を感じて退職し、現在はかもがわ出版の編集長です。こういう経歴の共産党離党・除名経験者(松竹氏が共産党を離党したかどうかは知りませんが)には、そのまま極右に走って、産経新聞などの御用メディアお抱えになる例も少なくないのですが、松竹氏はそうではありません。
氏の立場を極めて簡潔に説明するなら、武装中立を志向する護憲派、というところでしょう。自衛隊は日本の安全保障上必要だが、日米安保は将来的にはなくしていくべき、しかし日本国憲法(特に9条)とその精神は大事にすべき、というものです。実のところ、私自身の現在の主義主張に、かなり近いのです。

で、その松竹氏の最新作がこちらです。
非常に考えさせられる内容でした。日本は、戦後一貫して米国の言いなりになってきたわけですが、その中でも特に象徴的な出来事が本書で紹介されています。

2004年8月13日、沖縄国際大の校舎に米海兵隊ヘリが墜落する事故がありました。このとき、米軍は墜落現場を封鎖して、日本の警察、消防、行政関係者、被害を受けた大学の関係者すら立ち入りを拒んで自分たちだけで捜査を行い、その状態が機体の残骸搬出まで数日間続きました。
墜落現場は、いうまでもなく日本の領土であり、米軍基地内ではありません。たまたま夏休み中なので大学には人が少なく、人的被害は日本側には出ませんでしたが、大学の校舎という財産が破壊される被害が生じているにもかかわらず、日本側に一切何の捜査も行わせない。およそ独立国における出来事とは思えませんが、日本政府は日米地位協定に基づき、問題ないと言っています。

しかし、それから27年前の1977年9月27日に横浜で起きた海兵隊のRF-4ファントム墜落事故の際は、経過は異なりました。この事故は、住宅地の真っ只中に、離陸直後で燃料を満載した偵察機が墜落し、民家20戸が炎上、幼い兄弟が翌日に死亡、その母親も全身やけどの重症から、4年後に亡くなりました。兄弟が亡くなる直前、「パパ、ママ、バイバイ」と言ったという逸話は、私も子どもを持つ(もう幼児じゃないけど)親なので、ちょっと胸が塞がれる思いです。
その経過はともかく、この事故の際も沖縄国際大のときと同様、事故直後は米軍が墜落現場を封鎖して、日本側官憲の立ち入りを拒み、住民を追い払っています。しかし、この米軍の態度が報じられると世論が沸騰、米軍による封鎖は1日で終わり、翌日には日米合同の現場検証が行われています。(ただし、機体残骸の搬出が当日のうちに終わったことも、米軍が翌日の合同検証に応じた理由かもしれませんが)

更にその9年前、1968年6月2日には、福岡の九州大学電算センターに米空軍のRF-4ファントム※墜落事故が起こっています。このときは、たまたま事故が日曜日だったこともあって、墜落現場に人はおらず、人的被害はありませんでした。
この当時は学生運動華やかなりし時代で、九州大はただちに抗議声明を出し、大学の自治を理由に米軍の校内立ち入りを拒絶しました。日本政府は、国立大学である九州大学の姿勢を、渋々かも知れませんが黙認し、結局機体の搬出し事故の5ヵ月後、米軍ではなく、日本の警察機動隊の手によって行われました。

※余談ですが、F-4ファントムは本来戦闘機であり、製造・配備されたうちの大半は戦闘機型ですが、どういう偶然か、日本で墜落事故を起こした米軍のファントムは、2機ともレアな偵察機型でした。

つまり、米軍機が日本で墜落事故を起こした際の米軍による日本の主権無視は、1968年→1977年→2004年と、時代を経るにしたがって酷くなる一方なのです。巷間いわれるのは日本は戦争に負けて米軍に占領されたんだから対米従属は仕方がない、ということです。確かに対米従属の原点はそうでしょう。しかし、それだけが理由なら、敗戦から時間が経つほど対米従属の度合いは多少なりとも減少していくはずです。自衛隊の装備・能力だって、1968年→77年→2004年を比べれば、どんどん強力になっているんだから。
それなのに、事実は正反対で、時を経るほど従属状態は酷くなっていくのです。本書によれば、かつては官僚や与党(自民党)の中枢に、対米自立を志向する人が少なからずいたのに、それがどんどん減って、対米従属を是とする人ばかりになった、ということが少なからぬ理由を占めているようです。

皮肉なことに、安全保障面の対米従属を是とする人に限って、「日本の誇り」だのなんだのと言いたがる傾向があるように私には思えます。「大東亜戦争は正義の戦い」なんて言っている人が「米軍基地は出て行け」というのを聞いたためしがありません。口では「対米自立」なんて言う人ほど、総論賛成各論反対で、具体性のないイメージだけの「対米自立」を掲げつつ、安全保障面の個別具体的な部分では、てんで対米自立ではないのです。産経や産経お抱え文化人の大半がそうです。それでいて、相手が中国韓国だとやたらと威勢の良い攻撃姿勢をとるのは、米国に対しては何もいえないのでそれを中韓に向けようという、ある種の代償行為でしょうか。安倍政権なんて、その典型例ではないかと思います。





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最終更新日  2017.02.02 22:34:26
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Re:対米従属の謎(02/02)   おっちゃん さん

あら、私も同じようなことを思っています。

対米従属関係を断ち切ることと、この国に本物の民主主義が成立すること。
この二つの条件がきちんと整うならば私の場合は「護憲」にもこだわりません。
(現憲法からは「精神」を受け継げばいいわけです)
(2017.02.03 00:46:15)

Re[1]:対米従属の謎(02/02)   inti-sol さん
おっちゃん

お久しぶりです。返事が遅れて申し訳ありません。

>あら、私も同じようなことを思っています。

もちろん、遠い将来の理念として、非武装国家でありたいとは思うのです。ただ、それを現状の国際情勢の下、日本だけが単独で行うのは無理ですけど。全世界、あるいは少なくとも東アジア諸国が同時にやるしかない。

>対米従属関係を断ち切ることと、この国に本物の民主主義が成立すること。
>この二つの条件がきちんと整うならば私の場合は「護憲」にもこだわりません。

護憲にこだわらない人がすべて「敵だ」とは私も思いませんが(改憲にも色々な主張がある)私自身は、現憲法を守るべき、と思っています。見果てぬ夢であるとしても、強力な武力を備えるのが国家として目指すべき理想、とは思わないので。 (2017.02.04 08:44:05)

Re:対米従属の謎(02/02)   Bill McCreary さん
これは面白そうな本ですね。私もぜひ読んでみたいと思います。

>米軍は墜落現場を封鎖して、日本の警察、消防、行政関係者、被害を受けた大学の関係者すら立ち入りを拒んで自分たちだけで捜査を行い、その状態が機体の残骸搬出まで数日間続きました。

これもすごい治外法権ぶりですよね。68年と77年と比較すると、たぶん沖縄国際大学の隣が普天間基地で、まさにすぐのタイミングで大学に乗り込んだという側面はあるでしょうし、また沖縄なので米軍が本土より傍若無人な態度に出たという側面もあったとは思います。それにしてもですね。

68年の事件は私は知らなかったのですが、今日同じ事件が起きたらどういう対応を九州大学は示すのか、非常に興味がありますね。

>相手が中国韓国だとやたらと威勢の良い攻撃姿勢をとるのは、米国に対しては何もいえないのでそれを中韓に向けようという、ある種の代償行為でしょうか。安倍政権なんて、その典型例ではないかと思います。

たとえばこんな記事がありますね。

//headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170202-00000000-jij_afp-int

>米入国禁止令は「誤り」 メイ英首相が批判

英国の首相ですら批判しているのに安倍晋三は黙りこくっていますからね。なんとも無様な姿です。

それで、安倍が中国の国家主席に囚人の釈放を要求したなんてことを嬉しそうに書いている手合いがいましたが、で、あんたたち、この安倍の態度についてどう考えるのと聞いても、たぶんまともなお答えはいただけないでしょうね。これまたなんとも無様な光景です。

//blog.goo.ne.jp/mccreary/e/c7fc57b318e56872b390dedcbcf5c0ba (2017.02.04 21:38:11)

Re[1]:対米従属の謎(02/02)   inti-sol さん
Bill McCrearyさん
>これは面白そうな本ですね。私もぜひ読んでみたいと思います。

お勧めします。

>これもすごい治外法権ぶりですよね。

しかも、その状況を日本政府はまったく同然のものとしています。まったく植民地根性としか見えません。

>また沖縄なので米軍が本土より傍若無人な態度に出たという側面もあったとは思います。それにしてもですね。

おそらくそうなのでしょうね。
いっそのこと、国会議事堂か首相官邸近辺にでも米軍機が墜落したら、米軍がどう対応し、それに日本政府がどういう態度をとるのか、見てみたいもの、という気すらします。

>68年の事件は私は知らなかったのですが、今日同じ事件が起きたらどういう対応を九州大学は示すのか、非常に興味がありますね。

大学当局もさることながら、学生運動が激しかった時代なので、さすがの米軍も、何千人もの学生を排除して現場を封鎖することは、できなかった(逆に学生側が現場を封鎖した)ということです。今、学生運動なんて、ほぼ影も形もありませんからね。
仮に大学当局が68年と同様の態度をとっても、当時とは違って政府が大学当局を潰しにかかるでしょうね。

>英国の首相ですら批判しているのに安倍晋三は黙りこくっていますからね。なんとも無様な姿です。

同じ言葉を繰り返すことになりますが、植民地根性、ということでしょう。政治家だけの問題ではありません。官僚もです。 (2017.02.04 23:48:32)

Re:対米従属の謎(02/02)   Bill McCreary さん
あ、すでにお読みでしょうが、こちらの記事もなかなかすごいですね。

//this.kiji.is/462301651321406561?c=39546741839462401

うんなもん、米兵起訴が法相マターなら、どこの馬鹿な検察官が米兵なんかを好んで起訴するかです。嫌がるに決まっている。

1954年の段階なら、まだこういうことで米国側に日本政府が服従するのも理解できなくはないですが、自称「先進国」だったり、GDP世界2位だか3位の国がこんなことを今日まで続けているのではお話にもなりませんね。 (2019.01.28 20:38:46)

Re[1]:対米従属の謎(02/02)   inti-sol さん
Bill McCrearyさん

おっしゃるとおりです。サンフランシスコ講和条約から間もない1954年から、既に65年経過しているというのに、まさしく本文に書いたように、時間が経てば経つほど対米従属がひどくなるという不思議な状態です。
つまり、日本は事実上米国の属国と言わざるを得ないでしょうね。 (2019.01.28 22:58:22)


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