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カテゴリ:医療・衛生
赤塚不二夫に横山やすし…「アルコール依存症」の悲しき末路
数多くの臓器のなかで、なぜこうも肝臓だけがアルコールと密接に関係しているといわれるのか? 酒の飲み過ぎが原因でで悲しい末路をたどった、4人の有名人の事例に学ぼう。 以下で紹介する4人は、酒がもとで体を壊したり、社会的信用を失ったりした。肝臓専門医は、「皆さん、いずれもアルコール依存症だった可能性が大きいと思います」と語る。 赤塚不二夫 『天才バカボン』などで知られる「ギャグマンガの王様」は、若いころならウイスキーのボトル2本、60歳を迎えても焼酎のボトル2本を1日で開けた。 肝臓を壊し入院しても、退院するとまた飲み始めるという悪循環を繰り返した。2008年8月2日死去(享年72)。 中川昭一 何度も断酒を誓ったがやめられず、財務大臣として出席したG7の会議後の記者会見では、ろれつの回らない姿を見せ、大臣を辞任。 2009年10月3日に死去(享年56)後、血中からアルコールが検出され、酒と睡眠薬を飲んだ結果の急性心筋梗塞の可能性が指摘された。 春一番 アントニオ猪木のものまねで知られるピン芸人は、16歳から毎晩、飲んでいた。テレビ番組の企画で「γ-GTP1500」という異常値を出し、栄養失調とアルコール性膵炎の診断も受けていた。酒を飲んで就寝後に体調が急変し、帰らぬ人に。2014年7月3日死去(享年47)。 横山やすし 仕事をすっぽかすなど、酒でのトラブルは数知れずの「伝説の漫才師」。アルコール性肝硬変を患い、腹水が溜まって緊急入院したこともあるが、じつは「水割り2杯でベロベロになっていた」との証言もある。1996年1月21日死去(享年51)。 --- 前部署にいたころ、アルコール依存症の人たちとはやり取りがあり、本当に手を焼くことが多々ありました。ある一線を超えると、アルコール依存は本当に治りません。 日本は社会生活を送る上で飲酒の誘惑がとても大きな国です。コロナ騒動で多少状況が変わりましたが、社会人になれば「歓迎会」「送別会」「忘年会」等々飲酒の機会は多々あり、更に街中のいたるところに居酒屋があります。そういう中で、酒について自省が保てなくなってしまった人間がそのような誘惑に勝つことは非常に難しいと言わざるを得ません。私自身はお酒が適度に好きなので、飲酒に対して極度に非寛容な社会に住みたいとは思いませんが。 中川昭一は、何回かアルコール依存の治療にも取り組んだようです。しかし、前述のとおり酒に対する誘惑の強い日本社会の中においても、政治の世界はとりわけ飲酒の誘惑が強そうです。しかもストレスの強そうです。そういう仕事をしながらアルコール依存を治す、というのはほとんど不可能なことではないでしょうか。 精神科病棟に入院しても、アルコール依存では、まず「自傷他害の恐れがある」ということにはならないので、医療保護入院には(まして措置入院にも)なりません。「酒が飲みたいから治療はやめた、退院したい」と言えば病院は退院させるしかありません。元々、永久に精神病院に入っているわけにもいきませんし。 よく言われるのは、アルコール依存のある一線を超えると、「底付き体験」をしないと本気で治療に向き合わない人が多い、ということです。つまり家族に捨てられ仕事も失い、酒を買うお金すらない、という状況になって初めて本気で治療に向き合う、というのです(ただし、異論もあります)。ここに名が挙げられている人たちは、完全に家族に家族に見捨てられることも仕事を完全に失ったりお金がまったくなくなったりすることもありませんでしたから、「底付き体験」に至る前に生命の方が底をついてしまった、ということなのでしょう。 ただ、私自身の経験に基づいていうと、「底付き体験」ですべてを失っていても、まだ治療には向き合えない人も少なくありません。 そうなると、あとはもう死ぬしかないのですが、そういう状況に至っている人は、肉体的な生命という意味では「まだ」生きていても、社会生活能力という意味ではすでに「ご臨終」状態になっていたりします。いや、ほんとにね、手の施しようがない人というのはいるのです。 アルコール依存から脱却するための自助グループがいろいろありますが、そういうところに通いながら飲酒が絶てない(本人はなかなか認めないけれど)人もいます。そういう人はいったいどうしたらいいんだろうかと、自助グループに聞いてみたことがありますが、回答はいたって簡単でした。「どうしようもありません」と。そんな人は大勢いる、というようなことも聞いた記憶があります。アルコール依存からの脱却の最前線にいる人たちからその言葉を聞いたとき、「ああ、一線を越えたアルコール依存は本当にどうにもならないんだな」と痛感しました。 引用記事には4人の名前しか出ていませんが(しかも、「春一番」という人は、私は知りませんでした)、芸能人や政治家など著名人でアルコール依存で亡くなったと思われる人は他にもいます。具体名を書くことは差し控えますが。 アルコール依存と切っても切れない関係にあるのが肝臓機能障害(行きつくところまで行けば肝硬変)、そして実は2型糖尿病(ひいては人工透析)の原因が酒、ということも珍しくはありません。そして、アルコール依存と親和性の高い病気に「大腿骨骨頭壊死」があります。大腿骨骨頭壊死がみんな酒が原因、ではありませんし、糖尿病も酒を一滴も飲まなくてもなる人はいますけれど。 私もお酒は好きですが、「酒は万病のもと」を肝に銘じておくことにします。「顧客」ばかりではなく、同僚でも、おそらく依存症と思われる人に何回か遭遇しているので、本当に気を付けなくては。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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