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テーマ:政治について(19780)
カテゴリ:政治
「投票の効力判定事務の手引き」というものがあります。
東京都選管の出している疑問票の有効無効を判定する手引きです。中身は過去の判例や国の通達などを集めたものですが、なかなか面白いです。 衆院選立候補者 辻政信 とか 立候補者名 若槻礼次郎 とか、歴史上の人物(笑)が、判例の上では「生きて」いるのです。 それにしても、有効無効の判断基準として、「他事記載は無効」だけど「敬称は有効」なのですが、これって見れば見るほど判断基準が不可解です。 たとえば仮称「選挙花子」候補への票とすると ひらがなカタカナ せんきょはなこ→有効、センキョハナコも同じ かっこ付け、罫線、傍点 「選挙花子」(カギかっこ、()【】なども同じ)→無効 選挙花子→傍線を付けると無効 選挙太郎 →枠で囲むと無効選挙花子候補と選挙太郎候補がいたとしても、「花子」に罫線、かっこ、枠囲みをすると無効 敬称など 選挙花子さん→有効(様、先生も同じだが、先生については後述) なんと 選挙花子親分→これでも有効 選挙花子。→句読点がついても有効、ただしローマ字の場合は後述 しかし 選挙花子の馬鹿野郎→無効(これは、まあ分かりますが) 選挙花子宛→無効(「御中」「へ」「に」も無効) 必勝 選挙花子→無効 名字だけ、名前だけでも有効、ただし按分については後述 屋号他肩書 選挙の奥さん→実際に既婚者であれば有効 仮称選挙花子さんの職業が和菓子屋さんだったとして 和菓子屋の選挙さん→有効 ××区××1丁目 和菓子店店主選挙花子様→有効 選挙花子候補の経営する和菓子店の屋号が仮称「玉屋」だった場合 玉屋花子→有効 玉屋→これでも有効 だけど 和菓子屋さん→さすがに無効 ところが、市長選挙の場合 市長さん→なんと、現職市長に有効(知事選での「知事さん」も同様)。ただし、他の候補者に元市長がいる場合は混同の可能性ありで無効 所属党派、選挙区 日本無産党選挙花子→所属党派があっていれば有効、間違っていれば無効だが、日本無産党推薦の無所属候補なら有効 東京第△区 選挙花子→有効 どこに書いても有効 投票用紙は縦長ですが、横書きしても有効、候補者名を書く枠の外に書いても有効、裏面に書いても有効(ただし、表裏両方に書いたら無効)、上下さかさまに書いても有効→つまり、田中候補と中田候補がいる場合などは、苗字しかない投票の判定は、「どちら向きに書いているか」を慎重に判断する必要がありそうです。 ローマ字他外国語 Mrs. Senkyo Hanako→有効(ローマ字で書いても、そこにMr.などの敬称を付けてもOK) Senkyo Hanako.→有効(ピリオドを付けてもOK) しかし Senkyo Hanako。→無効 日本語では句読点がついても、ピリオドを付けても有効だけど、ローマ字に日本語の句読点を付けると他事記載になり無効 ハングルでの投票→有効(通常使用されている文字と認められない場合又は当該記載が特定の候補者の氏名であることが明らかでない場合は無効、とあるので、おそらく朝鮮語ネイティブではない日本人が「ネタ」で書いていることが明らかに分かる場合や判読不能な場合は無効、ということでしょうか?) ローマ字とハングルしか手引きにはないけれど、ということはアラビア文字やキリル文字も有効?選管職員が読めなければその場は無効扱いでしょうが、裁判になれば勝てる、かも? 訂正した場合 でも 按分など 同じ姓、同じ名の候補者が一人しかいなければ 選挙→全票が選挙花子候補に有効 花子→同上 ですが、選挙花子候補と議会花子候補がいる場合は、 花子→按分 選挙花子候補の得票が60票、議会花子候補の得票が40票の場合、花子という票は選挙花子候補に0.6票、議会花子候補に0.4票で按分します でも、 和菓子店主の選挙花子候補と元学校の先生の議会花子候補がいた場合は 花子先生→議会花子候補の有効投票 誤字脱字他 選挙はな→選挙花子候補に有効 選花子→同上 は こ→同上 選挙ハナコノ→有効 選挙は<なこ(脱字の間に<を入れて補正した場合)→有効。写真の若槻礼次郎の事例 せ→「せ」で始まる苗字の候補者が一人しかいなくても無効 選挙太郎候補の場合 センキョタロ→有効 ところが センキョタロ~→なんと無効、~は他事記載。書いてないけど多分タローなら有効ではないか 選狂花子→無効(「不まじめな記載」) 自書でない場合 ゴム印で選挙花子→無効 選挙花子印(候補者名を自書しても投票者の印鑑をついたら)→無効 まあ、色々ありますが、ネタで無効票前提で投票するのでなければ、自分の票を有効投票として生かしたいなら、みなさん、真面目に候補者氏名(比例区においては政党名)以外は一切何も書かずに投票しましょう。傍点とかは特に要注意です。 とはいえ、国政選挙ではさすがに疑問票の1票や2票で大勢が変わることはありません。1000票差でも大変な「僅差」ですから。 しかしこれが市区町村議員選挙となると、最下位当選と次点の差が1票とかは、全然珍しくありません。疑問票1票の取扱で当落が変わる、血みどろの裁判闘争、なんて話も、よくあったりします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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