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カテゴリ:政治
「増税派政治家」らの不見識と傲岸不遜さ 安倍氏の遺言を踏みにじり国民を殺す気か 結論は岸田首相交代
【有本香の以読制毒】 今週は先週末からの台湾出張の話を書くつもりだったが、防衛力強化をめぐって世論が沸騰しているので、こちらを書くことにする。~ いま世論を騒然とさせているのが、岸田文雄首相が先週末、突如言い出した「防衛増税(岸田増税)」である。この策がいかにバカげたものかは、本紙「夕刊フジ」ではすでに多くの記事があるので概要は省くが、本件をめぐって筆者が驚いたのは、首相周辺を含む増税派政治家らの不見識と傲岸不遜さだ。~ そもそも国防は、他の福祉のように個人の自助努力でどうにかできることではない。従って国家が最優先に取り組まねばならず、本来、税の使い道(つまり国家予算)として最優先で確保すべきものなのだ。その最優先費目を今日まで散々脇に追いやってきたのが、わが国だ。しかし、そのツケを、いまさらどの面下げて、国民に転嫁するというのか。 「男女共同参画」などという費目に、防衛費の何倍もの予算を割く国が世界にどれほどあるのか知らないが、敵に攻められて国がなくなれば、男女共同参画もへったくれもなくなるのだという、当たり前の理屈を理解しない議員が多過ぎる。(以下略) --- フジサンケイグループの夕刊フジによるお決まりのネトウヨ言説です。それ自体は「いつもの論調」なので、今回は取り上げません。結果的には私も岸田はとんでもないし、増税もとんでもないと思っています。ただし、有本は「防衛費を増やせ、でも増税は反対(国債でやれ)」というものですが、私は「防衛費を増やすな、従って増税にも反対」ですから、根本的なところで正反対です。 が、その話も過去に何度か書いたので、今更繰り返しません。 私がひっくり返りそうになったのは そもそも国防は、他の福祉のように個人の自助努力でどうにかできることではない。 「男女共同参画」などという費目に、防衛費の何倍もの予算を割く国が世界にどれほどあるのか知らないが という二つのヨタ話に関してです。 「他の福祉」は個人の自助努力でどうにかなるものなんでしょうか? もちろん、福祉にもいろいろなレベルがありますが、個人の自助努力じゃどうにもならないから福祉、なんじゃないですかね。例えば、重度重複障害とか、個人の自助努力でどうにかなるの?不安定雇用の末に失業して収入も貯蓄もない状態は?有本も公的年金には加入しているはずですが(会社員時代は厚生年金、フリーになっても国民年金には入っているはずです)高齢で仕事がなくなった時に生きていくのは、年金制度ではなく自分で貯蓄しておけと? 確かに、現下の国際情勢で「自衛隊解散して完全非武装国家になる」と言っても、それは無理なのが現実です。ただ、戦争や紛争は自然現象ではなく人間が起こすものです。台風や地震の発生を人間の力で止めることはできません。しかし、人間が引き起こすものである戦争は、人間の力である程度は回避することが可能です。もちろん、すべての戦争を完全に回避することは、残念ながら今の人類社会の知恵では不可能です。でも、ある程度までなら、そのリスクを軽減することはできます。 それに比べれば、人が福祉を要する状態の方が、はるかに人間の(少なくとも個人の)努力では回避しにくいものです。人が老いる、ということは自然現象であり、誰一人そこから逃れることはできません。病気になったりケガをしたり失業したりも、ある程度は個人の努力(健康的な生活に努める)でリスクを軽減できますが、完全になくすことはできません。 まあ、この人が、福祉など全部個人の自助努力に任せて、公的な支援などやめてしまえ、というホンネをお持ちであるとだけは透けて見えます。 そして、更に噴飯なのは、 「男女共同参画などという費目に、防衛費の何倍もの予算を割く」 という、ネット上のデマを検証もせずに垂れ流していることです。 何でも、防衛関係費は5兆円なのに「男女共同参画」に投入されている予算が9兆円だから、それを削れば増税なんかしなくても防衛費は倍増できるんだそうです。 へえーーーーーーーー(笑) そんな美味しい話がそこらに転がっているわけがない、くらいのことは気付かんものかねえ。 そもそも内閣府の男女共同参画局が、兆の単位の予算など持っているわけがないのです。男女共同参画局が直接持っている予算額は、15億円です。 9兆円というのは、「国のあらゆる予算の中から、『男女共同参画』という名目に紐づけられるものをすべてかき集めれば、このくらいの予算額になります」というものに過ぎません。 具体的には男女共同参画局のホームページによれば、 「男女共同参画社会の形成を目的とする施策・事業」の予算規模は2200億円程度に過ぎず、9兆円という予算の大半は、 「男女共同参画社会の形成に効果を及ぼす施策・事業」であることが分かります。これは、言い換えれば「国の予算のうち『男女共同参画』という視点に関連するものを集計した」というようなものです。 具体的な内容は 令和2年度男女共同参画基本計画関係予算額(分野別内訳表) によると、 2 高齢者,障害者,外国人等が安心して暮らせる環境の整備中の ・日本学生支援機構の大学等奨学金事業の充実 約8千億円(リンク先13ページ) ・高等教育の修学支援新制度 約5千億円(同14ページ) ・年金生活者支援給付金 約5千億円(同14ページ) ・良質な障害福祉サービスの確保 約1兆2千億円(同15ページ) ※障害者福祉サービスのうち、施設整備、障害者医療、手当などを除いた障害者福祉サービス全般に要する費用 ・子どものための教育・保育給付等 約1兆5千億円(同15ページ) ※幼稚園、保育園の費用 ・児童手当制度 約1兆3千億円(同15ページ) ・介護給付費国庫負担金 約3兆円(同16ページ) ※介護保険制度は、介護費用のうち、自己負担分を除いた分を、大まかに言って被保険者と公費で半分ずつ負担し、公費負担のうちの半分(つまり全体の1/4)を国が負担します。この部分の費用 等が金額の大きなものになっています。これらを「男女共同参画関係予算」と称するのは、やや拡大解釈とも言えなくはない気がしますが、広い意味では女性の負担軽減や経済的安定、地位向上にも無縁ではないことも確かです。 有本は「男女共同参画などという費目に、防衛費の何倍もの予算を割く国が世界にどれほどあるのか知らない」のだそうですが、これらの事業や制度の内容、国庫負担の割合などは国によってまちまちですが、これらの制度、事業に要する費用が防衛費、国防費より多いのは、先進国と呼ばれる国では普通じゃないでしょうかね。北朝鮮とかアフガニスタンなら違うかもしれませんが。 介護保険、保育園や幼稚園、児童手当、障害者福祉サービス、奨学金、こういったものを止めて防衛費に回すことなど可能かどうか、5秒考えればおのずから結論は明らかだと思うんですけどね。もっとも、そのうちに「介護保険制度などやめて要介護高齢者は姥捨て山に捨てて、その費用を防衛費に回せ」「保育園など廃止して、母親は全員専業主婦になれ」などと言い出すような連中も現れかねない昨今ではありますが。 いずれにしても、名前は「男女共同参画関連予算」でも、その内容はこういったものだ、ということは、内閣府男女共同参画局のホームページをちょっと調べればすぐに分かることです。 にもかかわらず、「男女共同参画予算が防衛費より多い、これを削れば増税なしで防衛費を増額できる」なんてヨタ話が目についた瞬間、「それ、本当のこと?」と検証することもせずに飛びつく連中が大勢いる、まさしく「人は事実を信じるのではなく、信じたいものを信じる」生き物なんだなということが、よく分かる出来事です。
最終更新日
2022.12.25 22:06:03
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