inti-solのブログ

2023/07/10(月)19:00

死者にすがり続けても

政治(943)

「安倍さんなら…」幻影に縛られる自民 妥協許さぬ空気、神格化懸念 2022年参院選の街頭演説中に安倍晋三元首相が銃撃され死去してから、8日で1年となった。政界では「安倍氏だったら、こうしていたはずだ」との言葉が飛び交う。安倍氏の「幻影」はいまも政治に影響を与えている。 この日は東京都港区の増上寺で一周忌法要が執り行われた。その後は近くのホテルで安倍氏をしのぶ食事会があった。いずれも非公開だった。 岸田文雄首相(自民党総裁)は食事会のあいさつで「政権運営に当たれているのも、安倍元首相が築かれた基盤があってこそだ。受け継いだバトンを、しっかりと次の世代へと引き継いでいく」と語り、安倍氏の遺志を継ぐ考えを強調した。 安倍氏の「幻影」が姿を見せた最近の例は、性的少数者に対する理解を広めるためのLGBT理解増進法だ。 5月12日、自民党本部。G7広島サミットを控え、成案化に向けて党内議論を重ねていた。「安倍さんは、この法案によって社会が分断されることを懸念していた。私は最後まで反対する」 約60人が集まった会議室は熱を帯び、保守系議員が声を強めた。とりわけ目立ったのは安倍氏が率いた安倍派(清和政策研究会)で、20人ほどが詰めかけていた。 やりとりは2時間以上におよんだ。取り仕切る新藤義孝政調会長代行らが最終案のとりまとめに向けた了承を得ようとすると、数人が「認められない」と机をたたき、新藤氏らに詰め寄った。 --- たまたま土曜日に芝増上寺の前を通る機会があったのですが、物々しい警備をしていたので「何だろう?」と思い、「ひょっとして安倍の一周忌?」とは思ったのですが、わざわざ確認しようとも思わず通り過ぎてしまいました。やはりそうだったようです。 殺人という蛮行は非難されるべきであることは論を待ちませんが、1年経ってもまだ亡くなった人物に拘泥しつづけ、「錦の御旗」として利用し続けるのは、どんなものでしょうか。 類似の事例を以前にも紹介したことがあります。 この人たちはなぜこうもかたくななのか ~安倍晋三元首相は2年前、同法案について「皇室の機器=皇位継承問題にかかわる憂慮」をしていたという。麗澤大学の八木秀次教授に改めて聞いた。~ --- この記事は今年5月のものですが、安倍の死から10ヶ月経ってまだ、LGBT法案反対の理由として「安倍元首相がこう言っていたから」などという話を堂々と持ち出しているところに、私は救いようのなさを感じます。政界に限らず、保守業界でいまだに「安倍元首相が~」というのがセールストークであり続けている、というわけです。 私は安倍の政治的主張、信条を一切評価しない人間ですが、彼が生きて権勢を誇っていたときに、支持者が大勢いたことは確かです。しかし、亡くなった後も、「安倍元首相がこう言っていたからそのとおりにしなければならない」と叫ぶ人が大勢いる状態は、正常とは思えません。 安倍には言っていることとやっていることの乖離が少なからずありました。いや、安倍に限らずどんな政治家にもそれは付き物でしょうが。多分、その多くは権力維持のため、不本意ながら渋々嫌々妥協した結果でしょうが、ともかくそのような臨機応変さが安倍政権が長く続く要因であったことは確かです。 しかし、亡くなったあとの偶像は、妥協しません。安倍がなにを言ったにしても、そのとおりの政策を実行したかは別問題なわけですが、保守とされる連中の脳内に「生き」続ける安倍元首相は、言ったこと=やったことで、妥協を知らない純粋な存在になっているのでしょう。 そんなものを基準に現実の政策を決められたらたまったものではありません。 ただ、別の見方をすれば、安倍死後1年経っても安倍以外の「物差し」を見つけられない人たちは、やがて政治的影響力を失っていくでしょうね。さっさとそうなってほしいところです。

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