inti-solのブログ

2024/06/08(土)20:09

やっばり「皇国の春」に甦りたくはない

戦争と平和(366)

<社説>HPに牛島司令官辞世 自衛隊は「皇軍」に戻るのか 自衛隊は、日本を再び「皇国」とし、自らを「皇軍」にしたいのか。「誤解を招く」ではすまない事態がまた明らかになった。那覇市に拠点を置く陸上自衛隊第15旅団が、ホームページ(HP)に第32軍牛島満司令官の辞世の句を2018年から掲載していることが分かった。 辞世「秋待たで枯れ行く島の青草は皇国の春に甦らなむ」は、沖縄を焦土とし多数の住民を死に追いやった責任者である司令官が、皇国において沖縄が甦ることを願う内容だ。それを今、自衛隊が掲げることは、日本国憲法の理念からも、県民感情からも到底許せるものではない。ただちに削除を求める。 この辞世は、HPの15旅団の沿革を紹介するページにある。1972年5月15日の日本復帰に際して、同旅団の前身の臨時第1混成群長だった桑江良逢氏(2010年死去)の訓示に続けて掲載されている。15旅団総務課は「訓示にはなかったが、桑江氏がこの言葉に強い思いがあったと聞き、載せたようだ」と説明した。なぜ桑江氏の死後、何年もたって掲載する必要があったのか。15旅団も防衛省も、その理由を説明する義務がある。 1月に陸自の陸上幕僚副長ら数十人が靖国神社を集団参拝したことが問題となった。天皇のために殉じた者を神(英霊)として祀る靖国神社は、東京裁判のA級戦犯を合祀しており、首相らの参拝を巡って中国、韓国が厳しく批判をするなど、外交問題にもなってきた。組織的集団的な参拝を「私的」としても、政治性を帯びざるを得ない。(以下略) --- 沖縄戦における軍人の言葉と言えば、海軍の 沖縄方面根拠地隊司令官太田実中将の 沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ 賜ランコトヲ があまりに有名です。この電文が有名なのは、限られた字数の中で、沖縄の一般市民の悲惨な状況について、軍部擁護や皇国史観の粉飾なしにその実相を送っているからです。 沖縄島ニ敵攻略ヲ開始以来陸海軍方面防衛戦闘ニ専念シ県民ニ関シテハ殆ド顧ミルニ暇ナカリキ 然レドモ本職ノ知レル範囲ニ於テハ県民ハ青壮年ノ全部ヲ防衛召集ニ捧ゲ残ル老幼婦女子ノミガ相次グ砲爆撃ニ家屋ト家財ノ全部ヲ焼却セラレ僅ニ身ヲ以テ軍ノ作戦ニ差支ナキ場所ノ小防空壕ニ避難尚砲爆撃ノガレ□中風雨ニ曝サレツツ乏シキ生活ニ甘ンジアリタリ~ 日本軍は県民に対して「ほとんど顧みる暇がなかった」事実をはっきりと認めています。 さらに言えば、太田中将をトップとする海軍の沖縄方面根拠地隊は、陸軍の作戦会議にも呼ばれず、作戦案に関与することがなかったため、県民に大きな犠牲を生んだ南部撤退の責を負っていないし、結果的に、南部撤退命令にも従わず、豊見城にあった根拠地隊司令部で戦って全滅しています。 それに比べると、牛島中将(自決3日前に大将に昇進)は、本人がどこまで作戦に賛同していたかは明白ではないものの、参謀の立案した南部撤退作戦をそのまま実行し、結果として沖縄県民に多くの犠牲を生んでいます。また、牛島本人ではありませんが、参謀長の長勇中将(南京大虐殺にも関与した人物)が、明らかに沖縄住民に対する差別意識を持っていました。 「一般県民が餓死するから食料をくれといったって、軍はこれに応ずるわけにはいかぬ。軍は戦争に勝つ重大な任務遂行こそが使命であり、県民の生活を救うがために、負けることは許されない」という発言が、沖縄戦直前の新聞に報じられていますし、「沖縄語で談話しあるものは間諜と見倣し処分す」というとんでもない命令を発しています。 更に、長参謀長の自決に立ち会って後に生還した八原参謀の証言によれば、長参謀長は「鉄の暴風」と言わるすさまじい戦いのさ中、いよいよ摩文仁の司令部壕が包囲されて自決の直前まで、強固な地下壕の中で連日酒宴を開き、女性を傍らに置いて気炎を上げていたと言います。実際、第32軍司令部壕からは多くのビール瓶が発見されています。 これらのことに、牛島司令官が個人としてどこまで関与していたかは分かりませんが、そのような日本軍部隊の指揮責任者が牛島中将だったことは歴然たる事実です。したがって、32軍の司令官としての牛島中将に対する沖縄での印象は、基本的に良くありません。その辞世の句がどのような内容であったにしろ、それを日本陸軍の後裔たる陸上自衛隊の沖縄駐屯部隊が掲げること自体、感性を疑わざるを得ません。不幸にしてもしまた沖縄が戦場になることがあったら、陸上自衛隊はまた第32軍と同じことをなるんじゃないか、という疑念を抱かれても仕方がありません。 しかも、内容自体もこれです。私も、失われた命が「皇国に甦る」なんて、真っ平御免です。平和の世に、民主主義の世に、甦ってほしい。私も、この文言は削除すべきであると思います。

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