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テーマ:戦争反対(1194)
カテゴリ:戦争と平和
硫黄島星条旗の写真を削除 米国防総省、DEI認定か
18日付の米紙ワシントン・ポストは、太平洋戦争の激戦地、硫黄島で1945年2月に星条旗を掲揚した瞬間をとらえた写真を、米国防総省がウェブサイトから削除したと報じた。国防総省は多様性・公平性・包括性(DEI)重視を想起させる写真を削除する取り組みを進めている。米先住民の海兵隊員が写っていたため、該当すると認定したとみられる。 国防総省は、広島に原爆を投下したB29爆撃機エノラ・ゲイを削除候補に指定。男性の同性愛者を指す「ゲイ」が名称に含まれるため誤認した可能性があると既に報じられている。DEI重視政策を取りやめる中、戦争の重要な記録が消去される動きが再び表面化した。 星条旗掲揚の場面はAP通信カメラマンが撮影し、歴史的な一枚としてピュリツァー賞を受賞。東京の南約1250キロに位置する硫黄島では、45年2月19日に米軍が上陸し、3月26日に陥落するまで熾烈な戦いが続いた。 トランプ政権は黒人で米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長らの解任を発表。トランスジェンダーの兵士らを原則除隊とする方針も示した。 --- 先住民出身の兵士が写っているから歴史的に著名な写真を削除、というのは、どう考えても異常であり、唾棄すべき白人至上主義、人種差別主義そのものです。 ただ、そのことはそのこととして、偶然硫黄島の摺鉢山に星条旗を掲げた6人の兵士たちが写真にとられ、それが全米に配信されて、6人が一躍英雄と祭り上げられたことが、彼らにとって、とりわけ記事で取り上げられている先住民出身の兵士アイラ・ヘイズにとって望ましいことであったのかは、また別の話です。 20年近く前ですが、クリント・イーストウッドが監督した米映画「父親たちの星条旗」を見たことがあります。この摺鉢山の星条旗に写った6人の兵士たちを追った、史実に基づく作品です。 米軍が摺鉢山の山頂を占領し、星条旗を掲げた時、まだ日本軍が全滅していたわけではありません。米軍は摺鉢山の山頂を押さえただけで、周囲ではまだ激しい戦闘が続いていました。そのため、6人の兵士たちのうち3人は、その後の戦闘で戦死しています。 そして、生き残った3人の兵士は、一躍英雄として祭り上げられたのですが、そのだれ一人、恵まれた戦後を送ることはできませんでした。 英雄として祭り上げられていた間は「戦争が終わったら是非わが社で勤務を」と言ってくれた会社が、戦争が終わったらどこも雇ってくれなかった、というようなエピソードがあったように記憶しています。 特に悲惨だったのが、渦中の先住民出身のアイラ・ヘイズで、過酷な戦闘経験から戦場神経症を病み、アルコール依存に陥り、逮捕を繰り返して、30代にして野垂れ死にという最期を遂げています。 そのアイラ・ヘイズは、写真に写った兵士が自分であることを最初は頑なに認めようとしませんでした。英雄になってしまったら、そんな将来が待っている、とまで予想していたわけではないでしょうが、自分にとって良いことは何もなさそうだ、という程度の漠然とした予想はあったのかもしれません。 つまり、彼は自分が英雄として祭り上げることなんか、これっぼっちのも望んではいなかったのです。 戦争は、たとえ勝ったとしても、兵士の命は使い捨てであり、生き残った兵士の多くも、戦後の生活は悲惨極まりないものになる、ということです。 そして、余談ですが、この摺鉢山の星条旗を日本側から目撃して奇跡の生還を果たした兵士が、驚きのエピソードを書き残しています。 「17歳の硫黄島」(文春新書・秋草鶴次著)によると、著者は摺鉢山とは離れた戦場にいたのですが、摺鉢山に翻る星条旗は見えたそうです。 しかし、実は翌朝になると、その星条旗が日の丸に変わっていたというのです。 前述のとおり、このときまだ摺鉢山は米軍が山頂を押さえただけです。周囲には多くの日本軍が生き残っていました。その日本兵が夜陰に乗じて山頂に忍び寄り、星条旗を日の丸の取り替えたのです。 当然、朝になってそれに気づいた米軍は、すぐに日の丸を引きずり降ろし、また星条旗を掲げました。しかしびっくり、その翌朝には、もう一度、星条旗が日の丸にすり替わっていたのだそうです。 ただし、2度目の日の丸は、遠方から見ても、手作りで手描きの日の丸だと見て取れたそうです。そして、その翌朝、気付いた米軍は再度日の丸を引き下ろして星条旗を掲げます。そしてついに、3度目の日の丸が上がることはなかったそうです。 戦争で殺し合いなんかしなければ、彼らが命を落とすこともなかったし、生き残っても戦後にまで苦しみ続けることもなかったでしょう。その悲惨な事実は、彼らを英雄視したところで、浄化できるものではないと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.03.20 00:16:54
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