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テーマ:ニュース(96233)
カテゴリ:戦争と平和
首相官邸筋「核持つべきだ」 安保担当、非公式取材で
高市政権で安全保障政策を担当する官邸筋は18日、「私は核を持つべきだと思っている」と官邸で記者団に述べ、日本の核兵器保有が必要だとの認識を示した。発言はオフレコを前提にした記者団の非公式取材を受けた際に出た。同時に、現実的ではないとの見方にも言及した。核保有発言は、唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」の実現に取り組む政府の立場を著しく逸脱するもので、国内外で反発を招く可能性がある。 高市政権は日本が平和国家として堅持してきた「非核三原則」の見直しなど、安保政策の大規模な転換を検討している。 非公式取材で記者団から核保有に対する考えを問われ、官邸筋は核保有が必要だとした上で「最終的に頼れるのは自分たちだ」と説明した。一方「コンビニで買ってくるみたいにすぐにできる話ではない」とも話した。 核保有は、核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」とした国是である非核三原則との整合性も問われる。官邸筋は三原則見直しについて「高市早苗首相とは話していない」と述べた。国論を二分する課題だとも指摘した。 --- こんな政権ですから、いずれこういう類の発言が飛び出すんだろうなとは思っていましたが、とんでもない発言と言わざるを得ません。例によってヤフコメなどには擁護論に満ち溢れていますが、そもそも「安全保障政策を担当する官邸筋」が、オフレコだろうが何だろうが、言って良いことと悪いことの区別がつかないのかとびっくりです。 官邸筋というのはそもそも誰か、通例は内閣官房副長官を指すようです。 議論は自由だとか、タブーを作るな、などと叫んでいる人もいますが、あえて言います、内閣官房副長官に、内閣の政策、方針と離れた「言論の自由」など存在するはずがありません。それは、別の例で想像すれば容易に分かることです。今の自民党政権の下で「個人の見解としては、日米安保なんか破棄すべきだ」という官房副長官(でも大臣でもいいですが、政権の中枢メンバー)が発言する「自由」があると思いますか?言ったら大騒ぎになって辞任に追い込まれるのは明らかです。 もちろん、私個人としては日米安保は将来的に解消すべきと思っているわけですが、個人の主義主張がどうこうという問題ではありません。大臣とか官房副長官といった政権の中枢にいる人間は、自分が言ったことが政策の一部になる(可能性がある)のだから、政権の方針、政策と異なる「言論の自由」はないのです。 少なくとも表向きは、高市政権は非核三原則を見直すとは言っていない(「持ち込まず」の緩和を検討しているとの観測もありますが、今のところは「持たず」「作らず」を破ろうとはしていないようです)のに、それと正反対のことを言うのは、政権中枢にいる人間のやるべきこととは思えません。 しかも、結局は、「持つべきだと思うが実際には困難」と言ったというオチです。鉄の意志と計算に基づいて発言したのではなく、出来ないと自分で分かっていながら、その場の勢いと気分で発言した、というだけではないのか。こんな重大な発言をそんなノリで口にしてしまうような人間に、政権幹部が務まるのか、と思います。 さて、もちろん私は、日本が核兵器を持つことなど、あってはならないと考えているわけですが、そもそもこの「官邸筋」が図らずも認めたように、日本が核兵器を持つことは実際には不可能です。 端的に、日本は核拡散防止条約の加盟国です。核兵器を保有することは、条約によって禁止されています。そして、国内法的にも、原子力基本法によって、原子力を武器として使うこと禁止しています。 では、核拡散防止条約から脱退して原子力基本法を改正すればよいのか? そのように、核拡散防止条約から脱退して核兵器を開発した国に、北朝鮮があります(それ以外の核拡散防止条約非加盟の核兵器保有国、つまりインド・パキスタン・イスラエルは最初から核拡散防止条約に非加盟で、途中で脱退したわけではありません)。その北朝鮮を、日本を含む国際社会がどれほどの非難を浴びせて、経済制裁を加えてきたか、覚えていませんか?そのことだけが理由ではないにしても、核兵器保有と裏腹に北朝鮮がどれほど貧しく、自由にない国かも、知らない人はいないでしょう。 日本も、北朝鮮と同じような国になりたい、ということでしょうか。世界の孤児となって、国民は貧困に苦しみ、でも核兵器は持って世界に誇示できる、そんな国になることが幸せでしょうか。 また、日本が核兵器を持てば、もはや北朝鮮の核保有を批判できる道義的根拠も失われますし、当然韓国も核保有しようとするでしょう。台湾もです。そうなれば、インドネシア、オーストラリアも持つかもしれません。また、原発導入計画のあるタイやベトナムも、ということになるかもしれません。 核兵器を持てば安心だ(私はそんな感覚は持ち合わせていませんが)という主観的安心感と引き換えに、周辺国も核保有国ばっかり、という現実としての安全保障環境の劣悪化を招くことは確実です。 他にも日本が核兵器を持つことが現実的でない理由は様々ありますが、要するに日本が核兵器を持つことは、極めて割に合わないし、国際秩序の壊滅的な激変を招くので、日本にとってまったく得にならないということに尽きます。 件の「政府筋」氏の発言の全文が報じられているわけではないので、全体として何を言ったかは分かりませんが、報じられている限りでは、「核を保有することは困難」という現実認識だけは同意しますが、その理由が、「政治的な体力が必要で国が二分する議論になる」とか、国内の政治的都合しか報じられていません。言っていないのか、言ったのに報じられていないのかは分かりませんが、なんとなく、国内の政治的都合しか念頭に置かずに発言したとしか(核拡散防止条約のことまで考えれば、そもそもこんな発言をするはずがないので)思えません。すべて内向きの政治的都合しか考えていない、多分高市首相の存立危機事態を巡る失言と同根なのでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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