森永卓郎さん死去
森永卓郎さん死去「私の生きざまは…」がん闘病を積極的に公表「モリタク」の愛称で親しまれ前日まで生出演がんで闘病中だった経済アナリストの森永卓郎(もりなが・たくろう)さんが28日、原発不明がんのため午後1時33分に自宅で死去したことが分かった。67歳。東京都出身。「モリタク」の愛称で多くの人に愛され、がんの診断と余命宣告を公表した後も闘病しながら自身の考えや言葉を発信しつづけてきた森永さんが、67歳の若さで旅立った。森永さんは2023年12月に「膵臓がん」のステージ4と診断を受けたことを公表。その後、詳細な検査で「原発不明がん」とされた。がん闘病中もメディアに出演し、自身の病状や体調、治療費などについても積極的に明かしていた。~当初、医師からは「桜は見られないだろう」と宣告されていたが、長男で経済アナリストの森永康平氏と初めて一緒に花見に行ったことを明かし「本当今年の桜は奇麗でしたね」としみじみと話していた。「標準治療やってると、お金はかからないし、高額療養費制度があるから実質せいぜい1カ月10万ちょっとで済むんですが、私がやってるのは自由診療。正直言っちゃうと、1カ月の支払い300万超えました」と説明していた。体調悪化を明かしたのは今年1月15日。最後のメディア出演は1月27日。「あなたとハッピー!」にリモート出演し、容体が悪化したことを告白。「がんの宣告されて以降、最悪の状態なんですよ。どうやら本格転移が始まっちゃったんじゃないかなという感じ」と話し、冒頭のみの出演にとどめていた。同じく27日にリモート出演した「ゴールデンラジオ!」では「実は1週間前から体調が急激に悪くなってですね。今ほとんど動けない」「この1週間ほとんど何も食ってないんですよ」と明かしていた。---森永氏の発言等については、時々ネットニュースで報じられることがあり、その度に「まだ生きているんだな」と思っていましたが、ついに、というところです。森永氏の闘病については、昨年3月に一度記事を書いたことがあります。2023年11月に病気が分かった時点で、「次の桜は見られないだろう」と医師に余命判断された、ということです。曖昧な言い方ですが、桜が咲くのが3月終わりと考えれば、余命4ヶ月あるいはそれ以下という見立てだった、ということになります。そこから、実際には1年2か月ほど生きられ、自宅からのリモート出演ではあったようですが、亡くなる前日までテレビ、ラジオに生出演をされていたわけです。私の父の場合は、がんが再発して再入院した際、医師に余命1か月くらいと言われて、本当にほぼ1か月で亡くなりました。それに、再入院の直前からは、譫妄が生じ、強い痛みに苦しみ、強い痛み止めに頼り、立って歩くことも難しい状態でした。なんとか話ができたのも、入院直後の譫妄がいったん収まってから、亡くなる前にまた状態が悪化するまでの間の、10日間か2週間、あったかな、程度です。父も、若い頃は「神童」と呼ばれた頭の良い人だっただけに、譫妄の症状が出た時は、「あんなに頭の良かった人がこうなるのか」と、正直なところ衝撃を受けました。マスコミに出るような立場の人ではありませんでしたが、亡くなる前日、どころか1か月前以降、そんなことが(自宅や病室での収録だったとしても)できる状態だったとは、とても思えません。それに比べると、ずいぶん頑張られた、がんの症状って、千差万別なんだなと思いました。もっとも父は73歳だったので森永氏より多少長生きではありました。それと、その差が標準治療と自由診療の差で生まれた、とは限らないとは思います。亡父の場合、膀胱がんの手術をしたものの、すでにガンは膀胱の外側に達しており、体内にばらまかれていたので、このままでは再発は必至ということで抗がん剤治療を行いました。後から考えると、この抗がん剤治療がまったく効かなかった。何しろ、抗がん剤治療が終わって退院した1週間後には再発していたと考えられるからです。その時点では、たまたま脊柱管狭窄が見つかってしまい、それによる痛みと診断差それてしまったため、そのことがまた死期を早める要因になりましたが、仮にがんの再発と正しく診断されていれば助かったかと言えば、その可能性はどう考えてもなかったでしょう。2~3ヶ月延命できた可能性はありますが。そう考えると、かつて「患者よ、がんと闘うな」という本がありましたが、結果論として言えば父の場合は抗がん剤治療をやったことによる効果は、まったくなかった、ということになります。ただ、それは結果から言えることであって、やる前に抗がん剤治療が効くか効かないかは、誰にも分からない。やれば効果があったのにやらずに死期を早める可能性もあったわけで、自由診療も効く場合もあれば効かない場合もある。なので、この選択は仕方がなかったものと思います。森永氏の主張のすべてに賛成だったわけではありません。特に晩年は、自民党総裁選で高市氏に期待を寄せるような発言をされており、「アンチ緊縮財政なら誰でもいいのか?」と思ったこともあります。とは言え、「年収300万円時代を生き抜く経済学」以来、競争原理主義、新自由主義経済に異を唱える主張に、ずっと注目していた方でした。御冥福をお祈りします。