55年前とは比較にならない
大阪万博、初日の来場予約14万人超 混雑解消など課題も大阪・関西万博が開幕した13日、来場予約者は14万人超に上った。機運の伸び悩みを指摘されてきた中で会場がにぎわいを見せた一方、日本国際博覧会協会が目指す「並ばない万博」に向けては課題も浮上した。準備が間に合わずオープンできなかった海外パビリオンもあった。---初日の来場者(見込み)14万人だそうです。それだけ聞くとすごく多いように見えますが、果たしてどうでしょうか。大阪万博の想定来場者数は2820万人と見込んでいるそうです。開催期間183日間で2820万人ということは、割返すと1日平均15万4千人が来場しないと、その目標は達成できません。14万人は、それを下回っています。開催初日(かつ日曜日)なんて、全開催期間中でも来場者数が一番ではないにしても※、トップクラスに多い日であることは間違いありません。※70年の大阪万博では、もっとも期間中入場者数が多かったのは初日ではなく終了1週間前の日曜でした。どう考えても平日に、初日の日曜日を超える来場者数が期待できるはずがありません。従って、現時点では、観客動員目標をクリアできない気配が濃厚、というところではないでしょうか。ちなみに、前売りチケットは目標販売数1400万枚に対して実際に売れたのは906万枚と報じられています。しかも、このうち700万枚は企業に割り当てられたノルマであり、従って一般には差引200万枚余しか売れていない計算になります。この割合から類推すると、実来場者は1800万人程度と予想できます。ひょっとするともっと少ないかもしれません。企業が購入した分の中には、義理で購入しただけで使われないものも一定数ありそうだからです(それでも、入場券として販売済なので収支上は問題ないんでしょうけど)。1970年の万博は、来場者数6421万人、1日の来場者最高記録は、前述のとおり閉幕1週間前の日曜日で、なんと83万人だそうです。驚くべき数字で、今回の万博とはまるで比較になりません。今回の万博の来場者数がそんな数字に達する可能性はない、と断言しても差し支えないでしょう。ところが、その一方で「並ばない万博」を打ち出していたのに、実際は入場に長蛇の列ができたと報じられています。想定を上回る入場者のために長蛇の列ができたなら、うれしい誤算かもしれませんが、実際には前述のとおり、想定入場者数の1日平均を下回る入場者数にもかかわらず長蛇の列になったわけです。ということは、計画が甘かった、ということになるんじゃないでしょうかね。始まってしまった以上は、大赤字を出す惨憺たる結果で、税金で巨額の赤字を補填するような事態にならないよう願うばかりですが、どうもその願いは実現しないのではないかな、という気がします。東京オリンピックだって、やっている間は盛り上がったように見えても、終わってみたら2兆円ともいう大赤字と、汚職で逮捕者続出という惨憺たる結果に終わりました。万博に、それと違う未来を予見するのは難しい気がします。