絶対ないと断定できないところがタチが悪い
日本沈没”の予言日まで「あと3日」…減便の航空会社まで現れた 地震予知の専門家の見解は1999年に出版されたコミック本の中で、2011年3月の「東日本大震災」を“言い当てた”として話題になった女性漫画家・たつき諒氏。そのたつき氏が2021年に出版した著作の中で、「東日本大震災の3倍の津波が押し寄せる」と“予言”した2025年7月5日が刻一刻と迫っている。その根拠はたつき氏が21年7月に見た夢だそうだが、既に香港の航空会社が日本への定期便の減便を発表するなど、影響が――。地震予知に詳しい専門家の見解は? 「“何月何日何時何分”と特定の日時を指定した地震や火山噴火の予測は、現在の科学では絶対にできません。これは地震学者・火山学者の共通認識です。観測網の高密度化により、10分〜1時間前など直前に異常な電磁気現象など、何らかの前兆を観測できることはありますが、数ヶ月や数年先の日時を指定する予知はできません」「たとえば、甚大な被害を及ぼす可能性が指摘されている『南海トラフ巨大地震』も、平均して100年に1回程度は起きています。前回が1946年の『昭和南海地震』です。今後20年で必ずそうした地震が起きるというわけではありませんが、起きる確率が日に日に高まっている状況です。政府も30年以内に80%の確率で起きると言っています。ですから、7月5日に大地震が起きる可能性自体はゼロではありません。しかし、それはもはや確率論の話で、仮にその日に本当に地震が起きても、結果論的な偶然と言うほかありません」---この人の本の広告を、地下鉄の車内などで見かけますが、こんなものの宣伝に公共交通機関が手を貸していいのかな、と思わないではありません。まず、「7月5日に大災害が起こる」という話がデマであることは論を待たないでしょう。引用記事にある長尾教授の発言「何月何日何時何分と特定の日時を指定した地震や火山噴火の予測は、現在の科学では絶対にできません。」これに尽きます。根拠に欠ける予言なるものは、デマと呼んで差し支えないものです。2011年3月に大地震ょ予言したという話もそうです。わたしもその現物の記述を見たわけではありませんが、例えば下手な鉄砲数うちゃ式に、いろんな予言をばら撒けば、その1つや2つは当たることがあるかもしれませんが、それは偶然としか呼びようがないものです。しかも、更に腹立たしいことに、では7月5日に大災害が「起こらない」と断定できるかというと、これまた引用記事にあるとおり、「何月何日に大災害が起こる」と日時を限定した予想が絶対不可能なのと同じく、「何月何日には大災害が起こらない」と断定することもまた不可能なのです。例えば、南海トラフ地震は前回(1944年と46年)から約80年を経過しており、これから100年以内(つまり前回から180年以内)には100%確実に次の南海トラフ地震は起こります。実際には70年以内に99%起こるでしょう。と考えると、25000分の1から36500分の1の確率、言い換えるなら宝くじで1等に当たるよりはよほど高確率で、7月5日に超巨大地震が起こることは、「あり得なくはない」ということしか言えません。実際には、7月5日でなくても7月中にでも災害が起こった日には「当たった」と言われるであろうことは想像に難くないので、そう考えれば800分の1から1000分の1まで発生確率が上昇しますが、これも「ありえなくはない」以上のものではないでしょう。「予言」を振りまく方は、科学的な装いを纏う必要もないので、どんな無根拠な断言でもできてしまいます。しかし、それを否定する側は、科学的知見に基づけば、どうしたって「絶対にない」という言い方はできません。その非対称が、この種のデマをのさばらせることになるわけです。でも、改めて言います。科学的根拠が示せない予言(当然ながら将来南海トラフ超巨大地震が起こるであろうことは明白に科学的根拠がありますが、何月何日に起こる、と特定することに科学的根拠はありません)はデマです。千分の一、万分の一でそれが当たったとしてもただの偶然です。親しい家族、友人の間だけでの与太話なら仕方がないですが、これを書籍販売という形で商売の種にすることには、言論の自由があるので禁止しろとは言いませんが、より多くの批判的な言説があってしかるべき、と思います。