遅きに失したとはいえ
旧統一教会に解散命令 東京地裁 経緯は 今後の手続きは旧統一教会の高額献金や霊感商法の問題をめぐり、東京地方裁判所は「膨大な規模の被害が生じ、現在も見過ごせない状況が続いている」として国の請求を認めて教団に解散を命じました。法令違反を根拠に解散が命じられるのはオウム真理教などに続いて3例目で、教団は即時抗告するとしています。旧統一教会=世界平和統一家庭連合の高額献金や霊感商法などをめぐる問題で、文部科学省はおととし、宗教法人法に基づき教団に対する解散命令を東京地方裁判所に請求しました。一方、教団は「献金は宗教活動の一環だ。組織性、悪質性、継続性はない」と反論していました。これについて東京地方裁判所の鈴木謙也裁判長は25日の決定で、民事裁判などから2009年までに1500人、190億円を超える被害があったなどとして「膨大な規模の被害が生じた。コンプライアンスの指導をした後も大きくは改善されず、現在も見過ごせない状況が続いていて、教団に事態の改善を期待するのは困難だ」と指摘しました。その上で「献金や勧誘は教義と密接に関連している。教団は多数の被害の申し出を受けても根本的な対策を講じず、不十分な対応に終始した。解散によって法人格を失わせるほかに有効な手段は考えにくく、解散命令はやむをえない」と判断して教団に解散を命じました。法令違反を理由に解散が命じられるのは、地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教と、最高幹部が詐欺で有罪判決を受けた明覚寺に続き3例目で、民法上の不法行為が根拠となるのは初めてです。教団は決定を不服として即時抗告するとしています。(以下略)---旧統一教会については、遅くとも1980年代初頭には霊感商法や身ぐるみはがすような献金が問題化していました。それに対して批判を行うと、信者を動員してすさまじい攻撃が行われました。かつて統一教会批判キャンペーンを行った朝日新聞(主にキャンペーンを張ったのは朝日が発行していた朝日ジャーナルでしたが)は、本社のある築地管内全体で電話がつながりにくくなったと言われるほどのすさまじいクレーム電話攻撃を受けたと言われます。実は、我が家もこの問題とは無縁ではありません。私が中学生の頃だから1980年代前半でしたが、親戚の一人が統一教会に入信してしまった騒動がありました。最終的には脱会にこぎつけたらしいですが、わたしの父がその脱会に多少関わっていたらしく、実家が統一教会の電話攻撃の標的になった時期がありました。という事実は、後になって知ったので、当時は何故、どこから続々と電話がかかっているのかは知らなかったんですけどね。何年か後になって(多分大学生くらいの頃)に、何かの拍子に統一教会の話になったときに、「あのときは」と母から教えてもらった記憶があります。私の主義主張は親譲りたところが多分にありますが、私より両親の方がずっと気が強かったので、父は電話がかかってくると百倍返しみたいな感じで詰問を返していた記憶があります。そんなことがあったので我が家の個人的体験に照らしても、統一教会は親の仇(笑)であり、許しがたい存在です。引用記事が指摘するように、宗教法人に対して宗教法人法に基づいて解散命令が出るのは3例目です。民法上の不法行為を問われての解散命令は初めてのことですが、統一教会がやってきたことの内容自体は、明覚寺の事例と同じで、被害額はそれよりずっと大きいのです。更に言えば、刑事事件として立件され、教祖の福永法源が逮捕された「法の華」も同様の罪でしたが、それよりも統一教会の方が被害額は大きいのです。ちなみに「法の華」も、文化庁が解散命令の準備にかかっていましたが、実際に裁判に入る前に、民事訴訟で多額の損害賠償が認められ、破産に至ったことで解散になっています。宗教法人法第43条2項は宗教法人の解散について規定していますが、今回の事例である裁判所による解散命令の他に、破産手続きの開始決定による解散も規定されています。「法の華」の場合はこちらの規定によって解散となったわけです。そうなっていなければ、これも裁判所による解散命令となっていたはずです。この「法の華」よりも統一教会による被害額は多きいのです。これらのことを考え合わせると、遅きに失したとはいえ、今回の解散命令は、「当然のこと」であると私は思います。もちろん、宗教法人法による解散は、あくまでも宗教法人という法人格(およびそれに付随する権利)を剥奪するというものであって、任意団体としての存続を禁止するものではありません。とはいえ宗教団体としての権利を失うことは、信者からの収奪、新たな信者の獲得にかなりブレーキをかけると思われるます。それにしても、このような団体から長年にわたって、人手と資金の支援を受け、特別な関係を築いてきた政党、政治家がいたわけです。そんな党が与党であったり首相であったりしなければ、とっくの昔に解散命令が出ていたはずです。だって、やってきたことは、「法の華」「明覚寺」と同じで、もっと被害額が大きいのですから。明覚寺は2001年に解散命令が出ており、法の華も同じ年に破産開始決定によって解散になっています。それなのに、旧統一教会だけが2025年まで平然と生きながらえてきた(被害者と被害額を拡大し続けてきた)責任は、それらの政党、政治家、元首相らにある、と言わざるを得ません。