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2009年08月29日
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ハーレクイン・ロマンスか?精神病は魂の解放の印?

 最後まで、“乗れ(楽しめ)”ませんでした。
 よって、この感想は的外れなものだと思います(登場人物に感情移入していない訳だから。しかも斜め読みだよん)。
 最初に謝っちゃう。ゴメンm(_ _)m

 作者パウロ・コエーリョは神秘主義的小説で有名な方らしいですね。
 しかし、本作品は直接的には神秘主義を意識させません(根底にある世界観には反映されている)。

 ネタバレの可能性がありますから、ご注意を。


 粗筋、設定自体は「ありきたり」と言いえるもの。

 主人公ベロニカは平凡な人生に飽き飽きして、睡眠薬自殺を図りますが未遂に終わります。担ぎ込まれたのは精神病院。そこで彼女は医師から、睡眠薬の副作用によって、心臓がいかれ、残りの人生が数日である事を告げられます。
 で、(後は皆さんのご想像通り)、そこで他人(精神病患者という事ですね)との交流とか、恋とかで「真の人生」を発見するというお話。
 
 死を目前にして「真の人生」を発見するという話はよくありますね(無論、「ある」から「劣っている」という事ではない)。

 全体を読んだ印象は「ハーレクイン・ロマンス?」(^o^) (私は「ハーレクイン・ロマンス」を読んだ事はないので、正確に書けば「ハーレクイン・ロマンスを読んだ事がない人間が、このようなものが『ハーレクイン・ロマンス』なんじゃないかと思うような作品。あぁ、ややこしい)。

 
 この小説、一番の山場は多重人格症患者(という事になっている)のイケメン、エドアードに惹かれた主人公が、ピアノを背にして、彼の前で自慰して、「女の真の悦び」を人生で初めて感じるシーン。
 
 なんか、こう書くと馬鹿っぽいですね(無論、本小説では極めてシリアスな場面)。

 どーでも良いけど、そんなに大事な事か、Orgasmus(^O^)(このドイツ語初めて書いたわ)。
 あと、数日で死ぬという時、「Orgasmusを感じた事がなかった!!残念で死ねない」と思うものなのか。

 欧米の小説では、良く出てきますね。
 「Orgasmus」=「人間解放」の図式。
 
 無茶苦茶「即物的」(^O^)。
 一寸、子供っぽ過ぎませんかね。

 「恋人の手を握って死にたい(その延長としての性交)」(無論こっちも通俗的だけどね)じゃなくて、ずばりの「Orgasmus」。
 後者は単純に脳内快楽物質の問題だから、実は「死ぬ前に一度、シャブ打ってイッテみたかった」と言ってるのと変わらない。


 欧米人は世界を“実体論”でしか把握できない、そういう傾向が強いと思う。
 だから平均的日本人には、“子供っぽい”と感じられる程の“即物的”な方向に走るのだと思う。
 (この小説に登場する医師で、狂気の原因を「ヴィトリオル」なる物質が蓄積された結果だと、研究している人物が登場しますが、この考えは正に“実体論”でしょ。“関係性”から生じる“現象”と捕らえていない、捕らえられない訳。言ってみれば、「狂気」は「物体」なんですよ)。

 あと、もう一つ、作者パウロ・コエーリョの肩を持っていえば(「肩を持つ」事になるのか)、欧米の一神教の伝統は、平均的日本人が考える以上に、強烈で、長い長い、“性”に関しての抑圧の歴史があったのだろう、と思います。
 だから、「人前で自慰でOrgasmus」が衝撃的な「人間解放の姿」として成立するのでしょう。

 だけどさぁ~、やっぱり、凄げー馬鹿っぽいじゃん゚( ゚^∀^゚)゚。
 (このシーンで感動した人、ゴメンね)
 
 “無理”して変な事する事ないよね。
 まず、お友達からはじめませんか(^O^)。

 そういえば、この小説、全体通じて、「“普通”を恐れる“個性強迫症”」とでも言うべき志向が感じられます。
 当然、登場人物は皆“エゴイスティック”に見える(欧米では普通なのかも知れませんが)。
 登場人物の一人がボスニアにボランティアに行くのですが、なんだか、「自分の人生を輝かせる為に、難民が存在している」みたい
(結果として「輝く」のでなしにね)。
 自分の事ばっかり考えてたら、なかなか幸福にはなれないんじゃない。 


 もう一点、“乗れ”なかった理由。
 基本設定。

 精神病患者さんの設定が根本的におかしいのだ。

 あたかも、精神病を患っている患者さんは、「他人の目を気にせず、自由に振舞っている」自由人であるかのようなのだ(この小説では、そうした「解放された」人々の中で暮らす事によって、主人公が「解放」されていく、という設定になっているのだが)。

 作者自身、精神病院にいたらしい(?。病気の種類や症状の程度で随分違う筈)のだが、「(ある)精神病院の中が外の世界と違って、解放的ですごしやすい」のと「精神病患者自体が望ましい『解放』された人間の姿である」のとは違う。

 精神病って肉体の病気と変わらないでしょ。患者さん当人は辛いの。病気だから。

 玄関に鍵を掛けたか、気になって何回も何回も確認せずにおれない人。
 何者かにずっと追跡されているように感じる人。
 頭の中で「お前は馬鹿だ」というような声がずっと聞こえる人。

 「解放」されている訳ないだろ。寧ろ健康な人よりずっと不自由だろ。直った方が良いに決まっているだろ。

 足の不自由な方が歩いているのをみて「あぁ、他人の目を気にせず、変な個性的な歩き方をしている。解放された人間の姿だ。素晴らしい」と感心する奴がいるか。
 ところが、「精神の病」となると、「他人の目を気にしていない、解放されている」なる珍解釈が出てしまうのだ。


 寧ろ「肉体の病気と変わらない」という点から話の基本設計を始めた方が良かったのではないか。

 「大病が、その人の人格を陶冶した話」なんて聞いた事あるでしょ。
 明日をも知れぬ命だから、「人生とは何ぞや」と深く考えて、人間的に成長した話。
 自分が酷く苦しんだ経験があるから、他人に対して寛容になったり、思いやり深くなったという話。
 他人からの励ましに助けられて、深く人と人の結びつきについて思いを致すようになった話。

 こういった話、何故か「肉体の病」限定なんだよね。
 でも、本当は誤り。

 当然、「精神の病」でも人間は成長する契機を与えられます(“精神”と“魂”は違うから、とでも言っておきましょうか)。
 「精神病を患っている、立派な人格者」というのは形容矛盾でもなんでもない訳です。

 だからこの小説でも、何か長く精神病と戦っている患者さんを「人生の“導師”」の役回りにして、主人公の人間成長の契機とする、そこに重点を置いた方が良かったのではないか(一応、パニック障害の“導師”らしき役回りの人物が登場するけど、そのパニック障害と、“導師”ぶりは無関係だからなぁ)。

 
 おまけ。
 (p174)作中の医師の台詞「そして乱交だ。全ての人が、人生で一度は乱交してみたいと思っているようだ。イゴール博士は、一瞬ペンを置いて、自分の場合について考えてみた。自分はどうなんだろう?そう、自分もやってみたかった。彼の想像では、乱交は、快感と混乱だけで、もはや所有欲などは存在しない、どこか完全な無法状態で、快楽に満ちたものだった。」

 ここで昔の先輩の言葉を、私は思い出しました。
 「乱交?!そんなモン、気が散って、ええ事ないやろ」。

 私は「含蓄がある(?)言葉だな」と感心した事を覚えています(^O^)。

邦画になっている。やっぱり見せ場はあのシーンらしい(^_^)。






最終更新日  2009年08月31日 19時46分23秒
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 Re:パウロ・コエーリョ『ベロニカは死ぬことにした』を読んだ(08/29)   山川豊 さん
筆者さんは他人の目や社会通念を一切考えず、「ただただ自分のことだけを考える」という時間を持ったことがありますか
他を混じらせず、自分だけで、自分のためだけに、深く自己を掘り下げていくという作業です
瞑想とも言えるかもしれません
実際日本人は集団意識が強く、他人の目や常識を重んじるので、実感は伴わないかもしれませんが…
この作業はやりはじめると非常に苦しく、かつ快感です
この本は、自分が知らなかった自己を発見するお話で、私は豊かな精神世界を感じましたよ (2018年08月20日 16時42分05秒)


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