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カテゴリ:素朴な疑問
日銀の利上げ観測が高まると、銀行株が上昇すると言われます。本当かな?
金利が上昇するということは、銀行にとっては2つの影響があります。 ひとつ目は調達金利の上昇で、2つ目は貸出金利の上昇です。 調達金利の上昇は、コストアップを意味します。 コストアップは、一般に企業にとっては悪材料ですよね。例えば製造業の場合、原材料価格が上昇すると、売値が変わらなければ、利幅が減少します。 通常はすぐに値上げはせず、効率化などの企業努力で乗り切ろうとします。安易に値上げすると、競合に市場を奪われるからです。 企業努力では吸収できない限界まで来ると、値上げ交渉を始めますが、相手も簡単には了承しませんので、価格転嫁は思うようにいくとは限りません。一部の価格転嫁にとどまったり、価格転嫁できるまでタイムラグがあったりします。 いずれにせよ、コストアップは企業にとっては、一般的には悪材料です。 これが好材料となるためには、コストアップ以上に売値を値上げする必要があります。競争が無いなど、よほど売り手の立場が強くないと、成立しません。 金利上昇観測により銀行株が上昇するということは、調達金利以上に貸出金利が上昇することが期待されていることになります。調達金利と貸出金利の上昇率が同じであれば、利鞘は広がるからでしょう。すなわち、調達金利の上昇幅以上を、貸出金に上乗せすることになります。 利鞘 = 貸出金利 - 調達金利 なお、貸出金利 > 調達金利 貸出金利と調達金利が同率(A)で上昇すると、 貸出金利 x A - 調達金利 x A = (貸出金利 - 調達金利) x A = 利鞘 x A となり、利鞘が増加する 銀行業界って、タイムラグもなく、貸出金利に価格転嫁できるのでしょうか? つい先日まで、オーバーバンキングなんて言われていたのに、簡単に貸出金利を上げて、優良な貸出先を確保できるのでしょうか? 私は銀行業界に詳しくありませんが、そんなに競争のない業界なのか疑問です。 単純に、金利上昇は好景気のサインなので、貸出先が増えるということかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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初めまして。いつも勉強させていただいております。
少なくとも私の働いている支店では、金利上昇には 楽観視してはいません。 すでに預金金利は少しですが引き上げておりますが、 貸出金利はようやく上げようかというところです。 しかし、その交渉も大変そうです。 今の35歳くらいまでの行員(私はペーペーですが) は金利下降局面しか経験しておりませんのでどうやって 交渉すればよいか分かりませんし、お客さんにとっても 10年以上金利が上がったことなんてなかったの だから、反発も強いでしょう。 大体今の貸出金利でさえ高いと文句を言うお客さんの ほうが多いのですから、金利上げるのは大変です。 世の中のコンセンサスとして、銀行は儲かっている のだから・・・という風潮が強いことも逆風だと思います。 ちなみに、貸出先が増えるのも疑問です。 景気が良くなったらいい中小企業は返済しますから・・・。 (2006.09.01 21:58:22)
kamemusiさん
コメントいただきまして、ありがとうございます。 >初めまして。いつも勉強させていただいております。 勉強だなんて、とんでもない。特に最近は、思いつくまま書いているだけで、内容はあやふやです。 私の方こそみなさんからのコメントで、勉強させていただこうと思っています。 リアルな情報、ありがとうございました。やはり銀行員の方々も、現場ではいろいろと苦労が多そうですね。株式市場だけが楽観視しているのかもしれませんね。 でもほとんどの人が、金利が上がった経験をしていないというのも、異常な時代でしたね。金利は景気とともに循環するものなのに。 今後とも、最先端の金融情報を、よろしくお願いします。 (2006.09.01 23:26:08) |