2008/03/02(日)18:33
株式市場への資金の流出入とは
「株式市場から資金が流出したため、株価が下落した」 とか、
「資金流入が続いているため、株価が上昇している」
などと解説されることがあります。
しかし売買が成立するということは、購入金額と売却金額は常に等しいため、株式市場内部への資金の流出入はプラスマイナス・ゼロです。
それでは資金の流出とか流入とは、どういう意味なのでしょうか?
今日はこのあたりの話を、整理してみようと思います。
市場参加者(あるいはマネー)の構成要素としては、次の4種類あると認識しています。
1.現在の株式保有者(=狭義の株式市場内部のマネー)
2.株式を買おうと待機しているマネー
3.投資先を求めて彷徨う、現在は当該市場以外にある、余剰マネー
4.実体経済のマネー
先ほど株式市場内部への資金の流出入は、プラスマイナスゼロだと申し上げたのは、上記1の部分です。
株価が上昇したり下落したりする理由は、需給関係に依存します。
上記の構成要素で説明すると、1と2の関係です。
より厳密にいうと、1の中で売却しようとしている人(株数)と、2の買おうとしている人の関係が需給になります。
2が増えれば株価は上がり、減れば株価は下がります。
こちらもご覧ください。
冒頭で述べた、株式市場に資金が流入しているとか流出しているというのは、2の資金量の増減を表現した言葉だと考えます。
2の資金量が増加すれば株価は上昇するわけですが、その資金は3か4から移動してくることになります。
3については、銀行預金や商品市場、不動産市場、債権市場などがあります。
また同じ株式市場の中でも、日本/アメリカ/欧州/中国などの新興国、などの株式市場間での資金移動もあります。
現在の状況は、商品市場と安全資産である国債に多くの資金が流れています。
4については、成長が著しい国においては、インフラや設備投資に多大なマネーが必要ですが、成熟してくると投資機会が少なくなり、実体経済からマネーが溢れてきます。
またここ数年の商品市況の高騰により、オイルマネーなど資源国に大量の余剰資金が積みあがり、投資先を探し求めています。2月27日の日経新聞によると、中東のオイルマネーは毎日1000億円増えているそうです。
4からマネーを意図的に引き出すべきではないと思いますので、3のマネーを如何に日本株式市場の2に振り向けられるかを、金融行政担当者には考えてもらいたいです。 (現実には、日本に来ないようにするにはどうすれば良いかを、一生懸命に考えているように感じられます。)