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カテゴリ:会計
やまさんがよく、新聞記事のいいかげんさについて、指摘されています。
私もたまに、不正確だったり誤解を生む表現だと思うことがあります。 たとえば今日の日経新聞1面にある、「企業の株含み益7兆円に半減」という記事を見てみましょう。 「上場企業が保有する株式などの含み益が大きく減少している。 : 含み益の減少は、同期間の日経平均株価の下落(28%)を上回る。」 含み益の増減が、時価の増減よりも大きくなることは当たり前です。 たとえば100円で買ったものが200円になっているとしましょう。 この時点で含み益は100円です。 時価が30%下がり140円になると、含み益は40円になります。含み益は60%減少することになります。 含み益が減少していることを強調したいのでしょうが、なぜ当たり前のことを大げさに書くのか不思議です。 この文章の後に、持ち合い株の低迷について書かれている部分もあるので、持ち合い解消を促すことを目的として書いているのでしょうか? (ただ誇張したかっただけのような気がしますが。) また次の文章も気になります。 「会計ルールでは、投資有価証券の含み損益を自己資本に参入するほか、株価が簿価を大きく下回れば損失計上が必要になる。」 有価証券の時価評価については、その分類により以下のようになっていると理解しています。 ・売買目的の有価証券(流動資産) 時価評価しB/Sに計上。評価差額の処理はP/Lに計上。 ・満期保有目的の債権 取得原価のまま。 ただし価値が著しく下落し、回復の見込みが無い場合には、減損処理をする。 ・子会社および関連会社株式 取得原価のまま。 ただし価値が著しく下落し、回復の見込みが無い場合には、減損処理をする。 ・持ち合い株式などその他有価証券(時価のあるもの) 時価評価しB/Sに計上。 評価差額の処理は、P/Lには計上せず、B/S純資産の部の「評価・換算差額等」に計上。 ・その他有価証券(時価の無いもの) 取得原価のまま。 ただし価値が著しく下落し、回復の見込みが無い場合には、減損処理をする。 記事の前半の「含み損益を自己資本に参入する」というのは、B/S純資産の部の「評価・換算差額等」に計上することを言っているのだと思います。 この場合には、損失計上はありません。 一方記事の後半部分の「株価が簿価を大きく下回れば損失計上が必要になる」というのは、減損処理のことを言っているのだと推測します。 この場合は、B/Sの自己資本に直接反映させるわけではありません。 すなわちこの記事は、2つの異なる事象を混ぜて書いていると思われます。 完全に間違っているわけでは無いかもしれませんが、誤解を生む表現だと思います。 今日の記事の例は、大した問題ではないかもしれませんが、新聞記事の特徴が現れていると感じます。 新聞記事は、事実を知ったり世の中の流れなどの方向性を理解するのには適していますが、解説文などについては100%鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えたり調べたりすることも必要だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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