山(動かざること山の如し)-利食いを早まるな
山(動かざること山の如し)が、もっとも重要な心得です。どんなに値上がりしても、売却条件を満たすまでは、決して利食いしてはいけません。中核銘柄でのうねりとりも厳禁です。何もせずにいることこそ、大きな利益を得ることにつながります。1~3割程度利益が出たら、利食いを薦める意見も聞きます。短期売買で小さな利益を積み重ねていくやり方であれば、そのような手法もあるとは思います。しかし私の実績では、中核銘柄にはトコトンついていった結果、数倍~数十倍になっており、これが運用資産増加の大きな部分を占めています。買値から何割上がったかは、売却タイミングとは関係ありません。売却するのは、以下の場合に限られます。・株価がバブル化し、明らかに割高となった場合。(中核銘柄の場合)・株価が適正価格に達した場合。(通常の銘柄の場合)・短期売買において、仕掛け時(購入時)の計画に従っての売却。(時期など)・状況が変化し、有望と判断した理由がなくなった場合。特に中核銘柄においては、上記以外の場合には決して売却してはいけません。私は過去に2度、中核銘柄のうねりとりに失敗し、大きな利益を逃した経験があります。例えばアーバンコーポレイションは、長年に渡って私のエース銘柄です。2004年4月頃に、株価が2000円を超えたあと、再び2000円を割り込んできました。まだまだ割安であり、将来的な株価の上昇には全く疑いを持っていませんでしたが、短期的には下落する可能性が高いことも、感じていました。既に買値から数倍になっていたこともあり、一部だけとりあえず売って、下がったところを買い戻そうとしました。(これは買値を意識した悪い例でもあります。うねりとりをするという判断と、買値から数倍になっていることは全く関係ありませんね)案の定株価は下落し、5月17日には1,365円をつけました。ここを底に反転を開始することになります。5月18日の終値は 1,510円でしたが、これを見て買戻しの成り行き買い注文をいれました。翌19日、仕事が終わって株価を確認したら1,810円になっており、いくらで買えたか楽しみに帰宅しました。なんとストップ高で、一株も買えていないではありませんか。その翌日にでも買い戻せばよかったのですが、反転の読みはあたったのにも関わらず、成り行き買いが成立しなかった事が悔しくて、押し目を待ってしまいました。(ここでも悔しいという感情で、売買の判断を変えるというミスをしています)結局買い戻せないまま上昇を続け、2005年末には、株式分割を考慮するとその後更に10倍以上になっています。(今年は大幅に下落していますが)同じようなミスを、この数年前にも当時の中核銘柄だったヤフーでやっています。これ以来、絶対の自信を持っている中核銘柄では、小さなうねり取りは厳禁としました。アーバンコーポレイションは、上記で売却した分以外は現在でも保有しており、結果的に数10倍になっています。(自慢話です)しかし当初から数10倍になることを予測していたわけではありません。単に売却条件に達しなかったため売却しないでいるうちに、会社の業績が急成長し、それに伴って株価も上昇していっただけです。たとえば、現在の株価が600円で、適正価格は1000円だと思っているとします。期待通り株価は上昇していきますが、適正価格の1000円になる前に、業績の上方修正(あるいは翌期の業績予測)が発表され、新たな業績予測に基づいて再計算した適正価格は 1300円になります。そして株価は1300円に向かって上昇していきます。この繰り返しが数年続き、株価はかなり上昇しても適正価格に達しないので保有し続けていると、気がつけば数倍になっているというパターンがよくあります。ここで大切なことは、ただじっとしていられるかです。売却条件を満たしているわけではないのに、売却したくなった時には、「山(動かざること山の如し)」を思い出すようにしています。