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2006.07.10
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全28件 (28件中 1-10件目) 投資手法
カテゴリ:投資手法
昨日が上場初日となったポーラ・オルビスホールディングス(4927)ですが、1800円の公開価格に対して、初値は1693円でした。公開価格に対して6%下回りましたが、寄付後は急反発しました。
![]() 私は当初から1693円という値に注目していたのですが、メジャーSQで多数の銘柄が大きく動いたことに目を奪われているうちに、チャンスを逃してしまいました。 なぜ1693円という値に注目していたのかと言うと、証券会社の引受価額が 1693.80円だったためです。 詳しくは、「公募価格割れIPO後の大口買い」 をご参照ください。 私は1693円に大口買いが入ることを想定し、公開価格を割れた場合には、初値が1693円になる可能性が高いと予想していました。そして1693円を割れたら、ある程度下落したところで購入する計画でした。 寄り付き直後に1666円まで急落後、すぐに急反発しているので、計画通りに行動していれば、成功していたはずです。SQなどに目を奪われずに、ポーラ・オルビスに集中すべきでした。二兎を追うもの一兎をも得ずですね。 Paltac(8283) の時 もそうだったように、オーバーアロットメントがあるIPOの場合には、引受価額に大口買いが入る可能性があるため、この価格で株価は一旦下げ止まる傾向があります。 今回は引受価額割れから引受価額までの反発を狙っていましたが、引受価額が抵抗線になるとわかっているのであれば、引受価額で買いに入って急反発を狙う方がよいかもしれません。もしも反発しなければ、引受価額を割る前に撤退すれば、リスクは少なそうです。 ただしトランザクション(7818)のように、初値が引受価額と同じ1295円で寄り付いた後、反発することなく更に下げ続ける場合もあるので、確実に撤退することが重要です。 次のチャンスは、12月15日に上場する大塚ホールディングス(4578)です。 引受価額は2003.4円です。 2004円と1973円あたりの2段構えで注文を入れておこうかな。 大塚はIPOの抽選に当選したので、公開価格割れしないで上がってくれた方がうれしいですけどね。
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2010.12.11 09:02:51
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2010.06.12
カテゴリ:投資手法
ひと頃、バリュー投資のブログがブームになったことがありました。
私自身はあまり分類にはこだわりが無かったので、積極的に議論に参加しませんでしたが、グロース投資とバリュー投資の優劣を競ったり、投資と投機の議論が盛り上がったりしていました。 グロース投資というと、成長性に主眼を置いた投資というイメージがあります。 一方バリュー投資は、主に資産価値と比べて割安な株に投資するというイメージがあります。 私の場合は複数の戦略を使ってはいますが、収益バリューを評価基準として割安感のある株に投資するのが中心であり、成長性のある株の方が夢を見られるので好きです。 資産価値は高いが、それを有効活用できずに業績が低迷している株は、好みではありません。(投資対象としてだめだと言っているわけではなく、単なる好みの問題です。) これって、グロース投資とバリュー投資、どっちなんでしょうね? 自分としては成長株志向のバリュー投資家というように思っているのですが。 それ以前に、ゲーム感覚でやっているという時点で、バリュー投資家として認められないという意見もあるでしょう。投機家と言われれば、その通りです。 まあ分類なんてどうでもいいのですが、自分がどういう理由で投資しているのかを明確にし、投資手法がそれにあっているのかを考えることは、重要だと思います。 グロース投資とバリュー投資の特徴について、よくまとめられている記事 がありました。広瀬隆雄さんが書かれた5回シリーズです。 それによると、投資するにあたって、4つのチェック項目があるそうです。 1.業績 2.マーケットは強気相場か弱気相場か 3.株価モーメンタム 4.バリュエーション グロース投資家は、1.業績の成長率と 3.株価モーメンタムに特に注目し、2.マーケット動向にも注意を払います。 4.バリュエーションはあまり気にしないそうです。 順張り型の投資になることが多く、またベータ値が高い為ハイリスク・ハイリターンです。 これに対してバリュー投資家は、4.バリュエーションに最も注目します。価値判定基準は、資産バリューだけではなく収益バリューも重視します。 1.業績については、一時的に低迷して株価が急落した時に、将来業績が回復するかを検討します。 回復すると判断した場合に買い向かうので、逆張り型の投資になります。 2.マーケット動向や 3.株価モーメンタムは、気にしません。 グロース投資とバリュー投資を比較すると、グロース投資の方が回転率が高く(売買頻度が高い)、銘柄の集中度も高いことが多いようです。 グロース投資では、将来性に賭けることになります。将来を見通すことは難しいため、現在うまくいっている会社に投資し、しばらくの間好調が持続することに賭け、陰りが見えたらすぐに降りる(これが重要)という投資行動になります。 そのため、投資タイミングとしては順張りになり、旬な銘柄に集中する傾向が強くなるのだと推察します。 一方バリュー投資の場合はこれとは対照的に、現在誰にも見向きもされないような割安銘柄をひっそりと買い付け、いずれ正当に評価される時が来ることを信じて、何年も待つことになります。 そのため、いつ報われるかわからないものを、逆張りで幅広く仕入れておき、じっと待つ(=回転率が低い)という投資パターンになるのだと思います。 自分の投資スタイルをこれに照らし合わせてみると、次のようになります。 投資対象の選別には、4.バリュエーション(主に収益バリュー)を用い、その評価をするために1.業績動向に注目します。 このようにして選定した投資対象に対して、2.マーケット動向により、投資タイミングとポジションサイズを決定します。 同じ銘柄を何度も売買することも多いのですが、3.株価モーメンタムはあまり気にしておらず、むしろ逆張り的な投資の方が、心理的な抵抗感は少ないです。 銘柄は分散させており、ここ数年は売買頻度は高くなっています。 うーん、やはりグロース投資とバリュー投資の特徴が混在していますね。 特にグロース投資なら、成長性と株価モーメンタムの勢いに乗って、順張り投資で一気に資産を増やすというのが合理的なようです。 私の場合は、バリュエーション評価において成長性を加味していますが、買い出動は割安であることが条件であり、タイミング的には逆張りのことが多いです。追っかけ買いには抵抗感があります。 ただし一度保有した銘柄は、成長が続くうちは(割高にならない限り)とことん保有し続けることはできます。(一部の回転売買により、株数は変わります。) 大きく伸ばすことはできるのですが、大きく伸びると愛着を感じて、売れなくなってしまう事が欠点です。 株価モーメンタムを意識して、順張り投資の方が良いのだろうか? 成長性を加味してバリュエーションを評価することに、無理があるのだろうか? バリュエーション評価に確実性はないけど、評価が変わったらポジションも変えれば良いと、柔軟に考えているのですが。 なんか、もやもやするなあ。 どこかに矛盾があるのでしょうか?
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2010.06.12 23:13:17
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2010.03.20
カテゴリ:投資手法
普段はIPOには手を出さないのですが、昨年SHO-BIでおいしい思いをしたこともあり(私にとって初めてのIPO銘柄で、2倍以上になりました)、何となくPaltacのIPOに応募したところ、100株当選しました。
正直言って、SHO-BIほどおいしいとは思いませんでしたが、うまくいけば30~50%程度の利益、はずれれば5~10%程度の損失といった、賭けのつもりで買ってみました。 結果は見事にはずれ。公募価格2200円のところ、2079円で寄り付きました。 一般的に、大きな出来高の後に株価が下がると、しこりができて上値が重くなります。公募割れも同様に考えて、すぐに売却しました。(これまでIPO銘柄には興味がなかったので、公募割れIPO銘柄の実際の値動きは知りません。) 売却後もしばらく板を見ていると、定期的に15万株強の大口買いが入っていました。最初に気付いたのは、2079円です。それがすべて売り崩されると、数10秒後にまた15万株強の大口買いが入りました。これが何度も繰り返されます。 大口買いの価格自体は、2078円2077円と少しずつ下がっていきました。 大口買いが売り崩されると、一時的に6円程度株価は下がりますが、すぐに元の株価(あるいはその1円下)に次の大口買い注文が入ります。 これはチャンスです。 大口買い価格の6円程度下に買い注文を出しておけば、大口買いが売り崩された時に買えます。その後再び大口買いが出たら、その1円上に売り注文を出しておけば、誰かが買ってくれます。最悪誰も買ってくれなくても、大口買いが売り崩される寸前に大口買い注文にぶつければ、確実に鞘を抜けます。 私は3回程度様子を見た後、2回転儲けることができました。したがって最低5回以上は、大口買いが入っていたと思われます。 上場2日目も、やはり大口買いが入っていました。(ただの厚い買い板だった可能性もあります。) 前日に味をしめた私は、少し大きめのポジションをとりました。 ところが今度は2度と大口買いは入らず、株価は一気に急落しました。 あの継続的な大口買いは、いったい何だったんだろう? 売り出し期間中に安定操作取引として、株価を買い支えるのは理解できますが、IPO後に買い支える必要はありません。 もしかしたら、オーバーアロットメントの買い戻しだったのかもしれません。 オーバーアロットメントでは、創業者などの大株主から借りた株を、応募した一般株主に売り出し、後に第3者割当で公募価格より少し安い価格で割り当てを受け、それを貸株の返済に充てます。 しかし今回は割り当て価格よりも市場価格が下がってしまったために、第3者割当は受けずに市場で買い戻した方が、証券会社にとっては利益が増えます。 今回の大口買いは、貸株の返済用に市場から買い戻した可能性があります。 もしも私の推測が正しければ、公募価格割れ初日にはチャンスがあります。 だけど何株オーバーアロットメントがあったのかわからないと、大口買いがいつまで続くかわかりません。大口買いが途切れると急落する危険性もあるので、薄利の割りにリスクが高いかもしれません。 しばらくIPO銘柄の初日の値動きに注目しようと思います。 追記: ・2079円というのは、証券会社の引受価額です。この株価以下であれば、第3者割当を受けるよりも、市場で買い付けたほうが有利になります。 引受価額かその1円下あたりに、大口買いが入るのかもしれません。 ・また、初値も2079円であったことが、意味深です。 チャートによれば、初値後に2010円まで急落し、すぐに2079円に戻っています。 その場を見ていたわけではありませんが、大口買い注文が入っていたところで一旦寄り付いたものの、それが突破されたら一気に売り物に押されて急落し、再度次の大口買いが2079円に入ったために、すぐに戻した可能性があります。 この瞬間を取れれば、大きいです。 ・大口買い売り崩し後の株価の下落幅は、当初のほうが大きく(10円程度?)、徐々に小さくなっていったように記憶しています。
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2010.03.20 19:29:59
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2010.01.22
カテゴリ:投資手法
昨日、信越化学が決算発表をしましたが、期待はずれな内容で、本日は6%も急落しました。
一般的に素材産業は景気変動の影響を受けやすいため、業績変動も大きいのですが、信越化学の場合は非常に安定しており、過去10年以上赤字決算はありません。減益すら2009年3月期が初めてです。 さすがに今回の世界的な不況では減益になりましたが、それでも1四半期たりとも赤字にはなっていないという、優良企業です。 自己資本比率は8割と財務も強く、安心して保有できる銘柄です。 (私にとってはトレーディング銘柄ですが) 金融危機後の業績は、2009.3期のQ4を底に回復傾向にありましたが、昨日発表したQ3では、四半期営業利益が前四半期比で減益になってしまいました。 今期の通期予想も初めて開示したのですが、そこから逆算するとQ4も減益が続く予想になっています。 2009.3:Q4 2010.3:Q1 2010.3:Q2 2010.3:Q3 2010.3:Q4(予) 売上高 186,476 190,084 227,145 250,977 241,794 営業利益 16,197 20,647 32,292 31,544 28,517 粗利率 19.7% 23.1% 25.1% 22.9% ? 前期までは安定して3割前後だった粗利率も、前期Q4を底に回復傾向だったのですが、Q3では22.9%と低迷しており、苦戦していることが窺えます。 決算発表前までは、業績は順調に回復傾向にあると信じて疑いませんでしたが、完全に期待を裏切られました。 私は先週金曜日に半分売却した分を、決算を確認してから買い戻そうと考えていたのですが、この内容では買い戻すどころか、残り半分もすぐに売却しなければいけないと判断しました。 信越化学は東証と大証(更に名証も)の両方に上場しています。 決算は 15:00 に開示されましたが、その後 15:10 まで大証では売買ができていました。実際に東証の昨日の終値は 5260円でしたが、大証では 15:00 以降に 5230円と5220円で出来ていて、終値は5220円でした。 すぐに開示を確認していれば、大証で逃げることもできたかもしれませんが、私が決算短信を読んだのは 15:30 頃でしたので、間に合いませんでした。 幸いPTSで5190円で売却できたので事無きを得ましたが、東証と大証の両方に上場している銘柄で、決算発表が 15:00 の場合には、サプライズ決算に備えてすぐにチェックすべきだと反省しました。 なお本日金曜日の東証での値動きは、始値:4990円 高値:5020円 安値:4900円 終値:4945円 でした。 ちなみに大証と名証の本日の始値は、共に5160円でした。 窓を開けて株価が大きく動きそうな時には、上場している全取引所を確認する価値がありそうですね。(出来高少ないけど)
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2010.01.22 22:02:44
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2009.12.07
カテゴリ:投資手法
年末が近づき、節税売りを意識する季節になりました。
私自身は 節税を意識しての売買判断には賛成しかねる のですが、他人の節税売りにより相場がどう影響されるのかは、意識に入れておく価値があるかもしれません。 節税売りには、2種類の状況が考えられます。 ※ 以下では、源泉徴収しているという前提で書きます。 1つ目は、年間で利益が出ている状況です。 この場合には、含み損を抱えている銘柄を売却することにより、支払済みの税金を取り戻すことができます。 2つ目の状況は、年間で損失が出ている状況です。 この場合には、含み益の出ている銘柄を売却しても、過去の損失と相殺できるため、その時点で税金を払う必要がありません。 すぐに買い戻せば、以前よりも買値が高くなることにより、翌年以降の売却時に支払う税金を安くすることもできます。 市場への節税売りの影響を考える場合は、上記どちらのケースに該当する可能性が高いかを推測します。 例えばその年が上昇相場であったならば、それまでの年間損益はプラスになっている人が多いでしょう。そうすると年末に売却対象になりやすいのは、含み損を抱えている可能性が高い、その年に下落した銘柄となります。 逆にその年が下落相場であったならば、それまでの年間損益はマイナスになっている人が多いでしょう。このケースで年末に売却対象になりやすいのは、含み益の出ている可能性が高い、その年に上昇した銘柄となります。 今年の場合はどうでしょうか。 現在の株価水準を昨年末と比較すると、上昇率は異なるものの日経平均(昨年末8859), TOPIX(昨年末859)ともに多少上昇しています。 ただし昨年後半はリーマンショック後の暴落があったため、年初を迎えた時点では、含み損銘柄を多数抱えた状態であったと思われます。 したがって今年の実現損益は、マイナスの人が多いと推測します。 その場合に節税売りをするとなると、利益の出ている銘柄になります。 この仮説が正しければ、12月相場は最近堅調だった銘柄に利益確定売りが出て、下落しやすいという判断になります。 ただし売却理由としては弱いものですので、個別に好材料があれば、そちらが優先されるでしょう。
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2009.12.07 13:39:40
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2009.08.22
カテゴリ:投資手法
今週は南伊豆に旅行に行ってきました。
天候不順の影響もなく好天が続き、地震にも遭わず、いい海水浴日和でした。 私は通常、週末に1週間の有効期限で、売買注文を出します。 今週も旅行で不在でしたので、1週間分の売買注文を出しておきましたが、株式市場が下落したこともあり、4銘柄買えていました。 しかし売却できたほうでは、悔しい思いをしました。 三洋電機を4000株、市場ではなく kabu.com のPTSに239円で売却注文をだしておきました。(kabu.comのPTSでは、当日限りではなく有効期限を設定できます。) PTSにした理由は、売買手数料が安いためです。これまでも、出来高の多い銘柄で約定金額100万円以上の場合に、たまにPTSに注文を出していました。 夜間のPTSは出来高が少ないのであまり使えませんが、昼間であれば市場との裁定取引を行う人がいるので、市場が240円以上をつければ約定する可能性が高いです。どっちみち239円で指値注文するので、その後市場価格が上昇していっても(裁定取引者に利益を取られても)同じことだと考え、PTSに注文をだしました。 ところが8月19日に三洋電機の株価は、寄付から35円高の259円と大幅高で始まりました。トヨタが三洋電機の電池を、ハイブリッド車用に採用することになったと報道されたためです。 私の注文は当然239円で約定しています。 市場に注文を出していれば、259円で売却できており、8%以上安値で売却したことになります。2000円程度の売買手数料をケチって、8万円儲け損なってしまいました。 寄付で窓を開けてギャップアップすることを想定していませんでした。 通常売却指値注文を出すときは、現状の株価よりも高い価格で出しますし、買付注文の場合は安い価格で出しますので、もしも寄付でギャップアップ/ダウンした場合には、注文した株価よりも有利な価格で約定することになります。 PTSでは注文数が少ないので板寄せはめったに発生せず、注文した価格のままで約定してしまい、ギャップアップ/ダウンの恩恵をこうむることはできません。 ニュースや寄付前の状況を確認して注文内容を変更できるのでないかぎり、複数日をまたがった注文をPTSに出すことは、避けたほうが良いと学習しました。
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2009.08.22 06:29:37
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2009.08.06
カテゴリ:投資手法
小売業などでは、月次売上の対前年比を公表している企業が多くあり、月次発表に注目している投資家は多いと思います。
大抵の場合、月次発表では対前年比の全店と既存店の売上が%で表示されているだけで、売上金額や利益額は記載されていません。 季節や月によって、売上高や利益率は異なります。 評価・分析をする際には、単純に対前年比の数値に一喜一憂するのではなく、各月の重みを考慮する必要があります。 まずは簡単な例からみていきましょう。 四半期ごとの営業利益の比重です。 たとえばポイント(2685)の場合、各四半期の営業利益の、通期営業利益に対する比率は、次のようになっています。 1Q 2Q 3Q 4Q 2005.2期 24.9% 19.5% 32.5% 23.1% 2006.2期 25.7% 20.5% 31.6% 22.2% 2007.2期 24.1% 16.0% 34.5% 25.5% 2008.2期 26.1% 14.8% 36.0% 23.1% 2009.2期 21.1% 16.8% 36.7% 25.4% 2Q(6~8月)の比重が小さく、3Q(9~11月)の比重が大きくなっています。 したがって夏の月次発表には過度に一喜一憂する必要はなく、秋の月次発表が重要であることがわかります。 次に、月単位の売上高の変動について、考えてみましょう。 ある月の売上が対前年比120%で、翌月が90%だった場合、売上高の進捗状況はどうなっていると思いますか? 例えばこの企業がおもちゃ屋さんで、クリスマスの売上高が多いのであれば、12月の販売状況が重要になります。 12月が120%であれば好調と評価できますが、11月が120%で12月が90%の場合には、不調と判断すべきでしょう。 クリスマスやバレンタインデイなど、売上の多い月を想像できる場合もありますが、その比重や、それ以外ではどの月の売上高が多いのかは、わかりません。 そこで、月単位の売上高の比重を推定する方法を、考えてみました。 月次発表では、単月の対前年比と、累計の対前年比が記載されています。 たとえば次のようになっていたとします。 前年の売上高 今年の売上高 今年の単月% 今年の累計% 1月 100 120 120% 120% 2月 200 180 90% 100% 単月の対前年比が120%と90%という数字だけを見れば好調そうなのですが(単純平均だと105%)、この会社は2月の売上の比重が大きいようです。 そのため累計では、100%に留まっています。 実際に公表される数値は、対前年比の「今年の単月%」と「今年の累計%」だけです。これらの数値から、1月と2月の売上高の比重を推定します。 2月の累計%がどのように計算されるのかを考えると、逆算方法がわかります。 (今年の1月の売上高+今年の2月の売上高) ÷ (前年の1月の売上高+前年の2月の売上高) = 2月の累計% です。 今年の1月の売上高 = 前年の1月売上高 × 1月の単月% 今年の2月の売上高 = 前年の2月売上高 × 2月の単月% 前年の1月の売上高を基準(=1)として考え、前年の2月の比重をAとすると、 前年の2月の売上高 = A となります。 これらを最初の式に代入すると、 (1×1月の単月%+A×2月の単月%) ÷ (1+A) = 2月の累計% となり、この式が成立するようなAを求めれば、1月と2月の比重がわかります。 前述の数値例ですと、 (1.2 + 0.9A) ÷ (1 + A) = 1 となり、A=2 が導き出されます。 すなわち前年は、2月は1月の2倍の販売量であったということになり、例題の数値と合っていますね。 3月も同様の考え方で計算できますが、3か月分だと式が長くなりますので、ここでは割愛します。 これを四半期売上(3か月分)ごとに区切って計算することにより、1月から12月まで各月の比重を容易に推定できます。(累計が四半期ごとの場合) 累計が半期単位になっている場合は、6か月分まで計算する必要があります。 なお天候の影響などにより、年により売上高にはバラツキがありますので、単年度だけではなく複数年度で計算して、月ごとの売上傾向を調べることを、お勧めします。 さて、対前年比%には、全店と既存店があります。 どちらの数値を使うのがよいのでしょう。 各月ごとの売上高の傾向を知ることが目的ですので、安定しているほうが望ましいと言えます。したがって、既存店の数値を使うべきだと思います。 ただし、既存店でも店舗数は月ごとに変動している可能性もあり、誤差が出てしまいます。 厳密に算出したい場合には、店舗数の比率により調整するとよいと思います。 四半期決算の売上高より、各月の売上高の数値も逆算できます。 この場合には、前年の各月の売上推計には上記の方法で求めた比重を用いて、四半期売上高を各月に配分しますが、今年の売上推計は全店売上%を使うと良いと思います。 前年1月の売上高 = 四半期売上高 × 1 ÷ (1+2月の比重+3月の比重) 今年の月別売上高 = 前年の月別売上高 × 全店単月% また会社にもよりますが、単体四半期決算の売上数値を使ったほうがよいかもしれません。 最後に実例として、ポイントの2008.2期および2009.2期の6月~8月の数値をもとに、月次売上高を計算した結果を例示します。 (店舗数による調整は行っていません。) 2008.2推計 2009.2推計 2009.2全店% 既存店単月% 既存店累計% 比重 6月 5791 6359 109.8% 90.4% 90.4% 1.00 7月 6354 7924 124.7% 105.5% 98.3% 1.10 8月 3572 4855 135.9% 109.3% 100.8% 0.62 2008.2期の2Q決算の四半期売上高:15718(単体) 上記推計に基づく2009.2期6月~8月の月別売上合計は、19138 になります。 これは2009.2期の2Q決算短信(単体)の売上高である、19203 と近い値になっています。 参考: その前年(2007.2期)の比重は、6月:1.00 7月:1.48 8月:0.64 でした。 昨年(2009.2期)の比重は、6月:1.00 7月:1.32 です。 過去のデータを集計すると、2月と8月の売上が少なく、一番多いのは1月です。その他7月と10月以降が多くなっています。 ただでさえ利益への貢献度の低い6-8月期にあって、その中でも8月の売上は特に低いようです。8月の月次は、あまり気にする必要がなさそうですね。 ただし、月次発表を気にしている人が大勢いれば、株価への影響はあります。 昨年の8月のポイントの売上は、全店135.9% 既存店109.3% と好調でしたので、ハードルが高いです。そのため今月の数値は、厳しいことが予想されます。 それを嫌気して株価が下落したら、逆に投資のチャンスかもしれません。 ※タイミングの話をしているだけで、推奨しているわけではありません。 ポイントの利益予測方法に興味がある方は、「ポイントの粗利率と在庫の関係」もご参照ください。
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2009.08.06 13:08:30
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2009.07.04
カテゴリ:投資手法
私は週間ベースで、投資日記(成績等)をつけています。
ふと、最近週間ベースでのマイナスが無いように感じ、過去3か月の記録を振り返ってみたところ、以下のようになっていました。 週 自分 日経平均 (単位は週間の変動率:%) 6.29-7.3 +0.8 -0.62 6.22-26 +1.86 +0.93 6.15-19 +0.72 -3.45 6.8-12 +1.94 +3.77 6.1-5 +1.76 +2.58 5.25-29 +2.02 +3.22 5.18-22 +1.45 -0.42 5.11-15 +1.57 -1.78 5.7-8 +1.32 +5.07 4.27-5.1 +0.6 +3.09 4.20-24 +1.23 -2.24 4.13-17 -0.3 -0.63 4.6-10 -0.39 +2.45 今週で11週連続プラスと、安定していることに気付きました。 この間、日経平均は8749.84から9816.07へと12.2%上昇しており、基本的には上昇相場でしたが、日経平均ではマイナスの週もほぼ半分の5週間ありました。 以前にも書きましたが、私はキャッシュポジションが前半は3割程度、後半は4割台中盤と高かったため、市場平均より変動が少ないのは、当然のことです。 しかしこれだけの期間連続して、プラスを続けていたのは、その理由がわかれば今後の投資に活かせるかもしれません。 そこで、過去の成績と投資スタイルを振り返ってみました。 まずは私の性格ですが、信用取引こそ行っていませんが、リスクを取ることが好きな方です。 その結果、投資成績の変動率が高まることは、やむを得ないと思っています。 投資スタイルとしては、適正価格になるまで保有し続ける”本隊”と、主に相場のうねりをとりに行く”機動部隊”の2本立てで、構成されています。 過去の成績を、時期を区切って簡単にまとめます。 (1)2000年~2002年:ITバブル崩壊期 市場は大きく下落しましたが、私の戦績は若干のプラスでした。 ただし月間での変動率は、それなりに大きかったようです。 トータルでプラスを維持できた理由は、ヤフーやファンケルなどにおいて、数か月単位でのうねり獲りが成功していたからだと思います。 正確な集計はしていませんが(時系列で各時点での保有銘柄を把握し、その時価を計算することは困難)、おそらく本隊でのマイナスを、機動部隊でのプラスが補っていたのだと思います。 (2)2003年~2005年:反騰期 市場は2003年半ばから上昇に転じ、2004年~2005年前半のボックス相場を経て、2005年後半に急騰しました。 この間私の投資成績は、安定的に高成長していました。 アーバンやポイントの大活躍により、本隊が大きく貢献しました。 特にアーバンの2003年中盤からの2年間のチャートは、惚れぼれするような、きれいな一直線の右肩上がりでした。 成績が安定的に良かった理由は、主力部隊であるアーバンの株価が、乱高下することなく安定的にじりじりと上昇していたためです。 全体を通して売買頻度はあまり高くなく、ただじっとしていただけでした。 安定していたのは投資手法によるものではなく、偶然ですね。 ただし成績を大きく伸ばせたのは、上昇相場においてはむやみに売買しないという投資手法の成果だと思います。 (3)2006年~2008年8月:ライブドアショックからアーバン倒産まで この期間をひとまとめにするのは、変かもしれませんが、私の投資成績への影響としては、共通の要因によるものです。 市場は2007年まで一進一退したあと、サブプライムショックの影響で2007年終盤から急落しました。 私の成績はライブドアショックで大きく下落後、一旦盛り返しましたが、その後壊滅的な打撃を被りました。自分でも信じられないくらい乱高下しました。 理由は明らかです。 本来私は分散投資派なのですが、2005年までのアーバン急騰の結果、アーバン1社のポートフォリオに占める割合が、過半に達してしまいました。 そのためアーバンの株価動向が、ダイレクトに私の投資成績に影響するようになっていました。アーバンは2006年以降乱高下し、2008年8月の倒産に至ります。 アーバンに身をゆだね、何も手だてを講じなかっただけで、投資手法も何もありません。 (4)2008年9月~2009年3月:金融危機で急落 9月のリーマン破綻後に金融危機に陥り、世界の株式市場は急落しました。 私の投資成績は、昨年秋の急落時点では軽微な損害で切り抜けることができ、相対的に安定していました。 その理由は2つあります。 ひとつは 乱高下していたのは日経平均採用銘柄だけ で、それ以外の中小型株などはそれほどでもなかったためです。 もう一つの理由は、機動部隊による短期売買がうまくいっていたためです。 ただし(1)の期間に行っていたような個別銘柄での数か月単位のうねり獲りではなく、短期的な市場全体の相場観に基づいた、1~2週間程度の回転売買です。以前のブログ では、利益が少ないと文句を言っていますが、貢献したことは間違いありません。 (5)2009年3月~6月:急反発 市場は3月10日を底値に、急反発しました。 私の成績は、冒頭に述べたとおり安定しています。 私は(4)の短期回転売買の延長のつもりで、3月下旬から売却を進めました。 しかしその後も市場は上昇を続けたため、高いキャッシュポジションのまま、現在に至っています。 ただし何もしなかったわけではなく、従来通りのうねり獲りに加え、デイトレードを含む、数日レベルの短期売買を繰り返していました。 デイトレードといっても、一日に何回も売買するわけではありません。寄付で急落していたものを拾いすぐに売却する、あるいは保有株が寄付で急騰していたら一旦売却し、すぐに買い戻す、といった感じです。 その他、M&A関連の裁定取引なども行っています。 これらの手法は利益額は小さいのですが、勝率はかなり高いです。 それが成績の安定化につながったようです。 こうして振り返ってみると、本隊の長期投資手法は大きく変わっていないのですが、機動部隊の短期売買の方は、2000年代はじめの頃と比べて、どんどん売買の期間が短くなっていることに気付きました。 どの時点の方法でも、短期売買は投資成績の安定化に寄与していました。 本隊は利益を大きく伸ばす一方、機動部隊は安定化に役立つ、という役割分担になっているようです。 <教訓> ・上昇相場では、本隊主導で余計な売買をしないことが、利益を大きく伸ばす。 ・上昇相場以外においては、機動部隊によるうねり獲りが有効。 ・ポジションサイズは、上昇相場とボックス相場では、本隊が主体。 (いつボックス相場から上昇相場に移るかわからないため。) ・下落相場においては、本隊の比率を下げ、現金比率と機動部隊を増やす。 ・売買期間を短くした方が、成績は安定する。 ただし上昇相場に乗り遅れるリスクがある。 <資産を築くために忘れてはならないこと> ・上昇相場に乗り遅れないこと。 上昇相場はいつ訪れるか、わからない。 割安である限り、常に参戦していることが肝要。 下落相場でなければ、本隊の比率を高めるべき。 ・下落相場で、資産を保全すること。 不穏な気配を感じたら、ポジションを思い切って縮小する。見切りが大切。 割安感が無くなったら、現金比率を高め、次のチャンスに備える。
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2009.07.04 23:28:09
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2009.03.31
カテゴリ:投資手法
サンウッドの今期の配当金は、7500円の予定です。
権利付最終日の株価は6万円台でした。 6万円台での値幅制限は 5000円であり、配当金よりも小さいです。 権利付最終日の大引け間際に買えば、権利落ちで大幅安になったとしても、7500円の配当をもらって翌日に売却できれば、利益が出るのではないかと、ふと思い付きました。 心配なのは、ストップ安比例配分になり、売却できないことです。 思案した結果、サンウッドは出来高が少ないので、ストップ安比例配分になる可能性を考え、この作戦は実行に移しませんでした。 もしも実行したらどうなっていたのか興味があり、翌日は寄付からサンウッドの株価に注目していました。 9時直前には、なんと1万円以上下落した気配値を示しています。 結局 9000円安で寄り付きました。想定していたストップ安以下の株価です。 配当落ち日って、配当分を引いた金額を基準価格として、ストップ安/高の値幅制限をするんですね。 今まで気にしたことがなかったので、初めて知りました。 なお、前日比○円安/高という場合の比較対象は、配当金分減額前の前日終値が基準のようです。 いい作戦を思い付いたつもりでしたが、実行に移さなくてよかったです。
2009.02.11
カテゴリ:投資手法
企業を評価する際に、利益とキャッシュフローのどちらを重視していますか?
両方チェックすべきなのは言うまでもありませんが、多くの人は利益を重視する傾向にあると思います。 私は企業の適正価格を算出するのに、DCF法をベースに簡略化した独自手法を用いていますが、キャッシュフローではなく利益を使っています。 DCF法では、将来のキャッシュフローを予測し、それを現在価値に割り引くことにより、企業価値を算出します。 したがって、将来のキャッシュフローを予測する必要があります。 私がキャッシュフローの代わりに利益を採用している理由は、以下の3点ですが、一言で表すと予測しやすいためです。 1.キャッシュフローは安定しない 将来の予測をする場合、まずは過去の実績を調べることから始めます。 キャッシュフローの場合、年度ごとのバラツキが大きいことが多いため、将来を予測しづらいです。 それに対して、利益の方が比較的安定しています。 安定するように操作している面もあるかもしれませんが、特殊要因を除くことにより、巡航速度や企業の実力を判断しやすいと感じています。 2.企業の経営計画では、利益を公表しているがキャッシュフローは公表しない 企業のことを一番よくわかっているのは、経営者です。したがって、企業自らが公表している中期経営計画を、将来像の予測のベースにしています。 しかしながら多くの場合、中期経営計画などで公表しているのは、売上高や利益など会計上の数値です。店舗数や契約数などの数値も含まれている場合はありますが、キャッシュフローを公表しているケースは少ないです。 決算短信での今期の業績予想でも、売上と利益は公表していますが、キャッシュフローはありません。 私には独自にキャッシュフローを予測する能力はありません。 そこで、企業が公表した経営計画の数値をベースに調整しているため、会計上の利益を採用しています。 3.成長企業を投資対象からはずしたくない 今のような環境では信じられないかもしれませんが、経済環境や相場環境が良いときには、成長企業の株価上昇率はすさまじいものがあります。 一般的に成長企業は、成長のための先行投資や運転資本の拡大のため、キャッシュフローはマイナスになりがちです。 過去の実績だけから判断すると、キャッシュフローがマイナスの会社は評価不能になってしまいます。 また将来のキャッシュフローを予測する能力は、私にはありません。 そのため、キャッシュフローで評価すると、多くの成長企業が投資対象からはずれてしまいます。(はずすべきなのか、今は迷っています。) 私は大きく資産を増やすチャンスを逃さないために、成長企業を投資対象からはずしたくありませんでした。 利益で適正価格を算出すれば、投資対象に含めることができます。 また現実に、過去においてはキャッシュフローよりも利益のほうが、株価変動に連動していました。(統計的に検証したわけではありません。) 以上のような理由で、私は会計上の利益を用いて、適正価格を算出しています。 しかし現在の状況では、次の2つの理由により、キャッシュフローの重要性が高まっていると感じています。 1.会計上の利益には、評価性の費用が多額に計上されている 最近の決算発表では、評価性の費用が多額に計上されており、企業の本来の実力がわかりづらくなっています。 代表的な評価性の費用には、次のようなものがあります。 ・棚卸資産の評価損 売上原価になりますので、売上総利益以下すべての段階の利益に影響を及ぼします。(適用初年度に限り、過年度分の評価損は特別損失になります。) これは本業の実態を表しているとも言えますが、今期(2008年4月以降)から強制適用になっていますので、一応挙げておきます。 ・暖簾の償却 販売費および一般管理費になりますので、営業利益以下に影響します。 なお負の暖簾の場合には、営業外収益になります。 なんで正と負で、対応が異なるのでしょうね。 ・退職給付数理差異償却費用 株価下落などの影響で、年金資産の運用が悪化した結果、退職給付数理差異償却費用を計上する企業が増えています。 例えば 大和ハウス工業 は、325億円になる見込みであると発表しました。 なおこれは、営業外費用になるようですので、経常利益以下に影響します。 ・投資有価証券評価損、およびその他減損損失 これらは特別損失になりますので、純利益に影響します。 (もともと特別損益は除外して評価していましたけどね。) 上記が小額であれば、あまり気にしなくても良いのでしょうが、最近の決算では本業の利益をはるかに超える額になっているケースが、多く見受けられます。 これらの影響を取り除くためには、キャッシュフロー計算書を見た方がわかりやすいと思います。 2.資金繰り 何も補足することはありません。 アーバンのように最高益更新の決算発表の、わずか3ヵ月後に倒産する時代です。その後も黒字倒産が相次いでいます。 DCFとは別の話ですが、資金繰りに問題ないかを調べるためには、貸借対照表とキャッシュフロー計算書のチェックが不可欠ですね。 いずれにせよ、今のような非常時には、企業の適正価格を求めるのは難しいです。 株価自体、適正価格とはかけ離れていると感じるし。 (だからこそ、チャンスのはずなんだけど...) このブログでよく読まれている記事
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