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全14件 (14件中 1-10件目)

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会計

2010.03.01
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カテゴリ:会計
「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用されてから、原価以上で売れる見込みがない棚卸資産は、売却想定価格まで貸借対照表上の簿価を切り下げ、その分を損益計算書では評価損として原価計上するようになりました。

これは業界に関わらず全企業に該当することですが、特に不動産業界において、その影響が大きいように感じます。
不動産業界でどのような影響が出るのか、気付いた事をまとめます。

1.PBRはあてにならない

解散価値である純資産よりも時価総額が低ければ、割安だと評価される場合があります。不動産業界には、PBR1倍割れの会社がたくさんあります。
これらは割安と考えても良いのでしょうか?

不動産業界の場合、次のような特徴があります。

・棚卸資産は不動産であり、市況変動により物件価格は大きく変動する。
・総資産に占める棚卸資産の割合が大きい。
・多額の借金により、棚卸資産を購入している。(自己資本比率が小さい)

その結果、棚卸資産に多額の評価損が発生する可能性があり、時価総額が純資産を大きく下回っていて一見割安に見えても、あっという間に債務超過になる危険性があります。 先日のダビンチ が典型例ですね。

年間利益の数年分が、あっという間に評価損で消えてしまいますので、純資産額はあまりあてにできないと思います。

2.評価損計上後に、V字回復は可能か?

固定資産の減損処理の場合には、減損により固定資産額が大きく減少し、その結果翌期以降の減価償却費を減らす効果があります。
そのためV字回復を図ることも可能です。
しかし棚卸資産の評価損の場合は、翌期のV字回復は難しいと思います。

棚卸資産の低価法による評価損では、簿価(=原価)を売却想定価格まで引き下げます。仮に想定価格で売却できたとしても、粗利はほとんど期待できません。そのため、評価損を計上した物件を多数売却することになる翌期には、売上高粗利益率は低下することが見込まれます。

しかしここで収益力が低下したと判断すべきではありません。
評価損を計上した物件を売り切ってしまえば、その後は通常の粗利率に戻ります。したがって翌々期には、利益率は急回復することが期待できます。

3.繰延税金資産の取り崩しに注意

評価損を計上しても税務上の損金にはならないため、繰延税金資産が計上されます。不動産業界ではその額が、非常に大きくなりがちです。
繰延税金資産は、翌期以降に十分な利益がでないと相殺できず、取り崩すはめに陥ります。実際にここ数年、繰延税金資産の取り崩しにより下方修正を発表した企業が、多数見受けられました。
繰延税金資産の額が、収益力に見合っているのか、注意する必要があります。






Last updated  2010.03.01 14:06:27
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2010.02.01
カテゴリ:会計
シンプレクス・テクノロジーの 第3四半期決算 で、流動資産に未収入金が 11.28億円計上されています。
過去の推移を調べると、前期まではありませんでしたが、今期に入ってから

 Q1: 2.34億円 → Q2: 6.44億円 → Q3: 11.28億円

と増加し続けています。

どこか中小FX会社への売上が回収できておらず、期末に特別損失になるのではないかと心配しました。でも売上であれば、売掛金になるように思います。
そこで、メールで IRに問い合わせました。

なかなかIRからの回答がこないし、決算発表後株価も上昇したので、一旦すべて売却したところ、今日回答がきました。

シンプレクスは金融機関からのシステム請負契約について、今期から売上計上基準を、完成基準から進行基準に変更しています。その結果、未検収のものも売上に計上されるようになり、その金額が未収入金になっているそうです。
検収後に、この未収入金は売掛金に振り替えられます。

工事進行基準にすることにより、売上と利益が嵩上げされていることは認識していましたが、未収入金になっているとは気付きませんでした。
言われてみれば、当たり前のことでしたね。

教訓1:無知は誤解をもたらす。

教訓2:勝手に特別損失を心配して売却する前に、電話でIRに問い合わせろ。






Last updated  2010.02.05 10:47:31
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2009.08.03
カテゴリ:会計
第一四半期の決算発表では、1-3月期よりも増益になった企業が多いようです。
一般論として、増益要因には主に3種類あります。

・売上増加
・固定費減少
・変動費減少

1.売上増加

売上の増加は、さらに2つに分類されます。

 売上高 = 販売価格 x 販売数量

ひとつ目は、売上数量の増加です。
これは商品価値が認められ、より多くの商品が顧客に受け入れられたということですので、もっとも望ましい増益要因と言えます。
ただし、削減しすぎた在庫を適正量に戻すための数量増加であれば、一時的なものですのであまり評価できませんね。

ふたつ目は、販売価格(単価)の上昇です。
原材料価格が上昇した時に、販売価格に転嫁できるという意味では、価格支配力があることになるので良いことなのですが、本質的な成長要因ではありません。

2.固定費減少

リストラ等により、固定費を削減します。
コストの削減には限界があります。永遠に削減し続けることはできませんので、本質的な成長要因にはなりえません。

損益分岐点が下がり、筋肉質な利益体質になりますので、将来売上が増加した時に、利益の急増をもたらす要因になります。

3.変動費減少

変動費を減らす安易な方法は、仕入れ値を値引くことです。しかしこれは供給業者に負担を強いるだけですので、持続性はありません。
また商品市況が下落することにより、原材料の仕入れ価格が安くなることもあります。しかし商品市況を自社の努力でコントロールすることはできません。

やはり変動費削減の王道は、設計から製造にいたるまで、あらゆる無駄を省くことです。いわゆるトヨタ流の改善活動は、主にこの部分に効果を発揮するものであると思います。
コスト削減には限界があるように感じるのですが、新製品や新技術が次々と出てくることもあり、工夫の余地は尽きないのでしょうね。


さて、現在の増益要因の多くは、固定費削減効果によるものです。
これだけでは持続性はありません。
今後の注目ポイントは、いつ売上が回復してくるのかになります。
雇用情勢はますます悪化する可能性が濃厚で、個人消費の先行きは楽観視できません。

最近株価は上昇が続いていますが、私が今後当分の間は、上昇相場ではなくボックス相場だと判断している最大の理由は、年内に、急減した反動以外に売上が回復するようには思えないためです。

でも株価は先行するので、悩ましいところです。
不景気からの回復局面が、もっともおいしいところですので、チャンスを逃したくはないですね。






Last updated  2009.08.03 14:48:42
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2009.05.22
カテゴリ:会計
前期から、リース会計基準が強制適用になりました。
従来は賃貸借処理も許されていた、所有権移転外ファイナンスリースが、売買処理に一本化されました。

この変更による影響は、概ね以下のようなものだと認識しています。
※ アバウトな理解なので、正確ではない部分があるかもしれません。

貸借対照表への影響
・賃貸借処理だと、貸借対照表には計上されない。
 売買処理だと、リース資産/リース債務として資産計上される。

損益計算書への影響
・賃貸借処理のリース料だと販管費になるため、営業利益段階で反映される。
 売買処理だと、リース料の支払いが、利息相当分と減価償却費相当分に分
 けられる。減価償却費相当分は営業利益に反映され、利息分は営業外費用
 として経常利益に反映される。
 このため、営業利益が嵩上げされる。(経常利益は変わらない)


キャッシュフローについては、これまで深く考えたことはありませんでしたが、キャッシュフローは会計操作ができないというイメージがあったので、何となく会計基準の影響は受けないのかなと思っていました。

サンマルクの決算短信 を見ていて気付いたのですが、売買処理にすると「ファイナンス・リース債務の返済による支出」として、財務キャッシュフローにも影響するのですね。

合計のキャッシュフローには影響ないのでしょうが、通常は営業キャッシュフローと投資キャッシュフローに注目が集まりがちです。
しかしリース料のような費用だと営業キャッシュフローだけに反映されるのに対し、会計基準の変更により一部が財務キャッシュフローに反映されるようになるのでは、単純に営業キャッシュフローを過去年度と比較するだけではだめですね。
通常の会社だと、あまり影響は大きくないと思いますけど。

あれっ? リースを始めるときはどうなるんだろう?
財務キャッシュフローでお金を借りて、投資キャッシュフローで支出することになるのかな??






Last updated  2009.05.22 12:47:36
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2008.07.13
カテゴリ:会計
金曜日の日本経済新聞に、JAFCOが今期からファンドを連結しない方式に切り替えると表明した、との記事が出ていました。

*** 7月11日(金)の日本経済新聞より抜粋 ***

ベンチャーキャピタル(VC)が運営するファンドの決算処理方法を巡る議論が活発になってきた。大手VCのジャフコが業界標準となっているファンド連結型の決算方式を見直し、2009年3月期からファンドを連結しない方式に切り替えると表明したからだ。同社の動きをきっかけに既存のVC決算の問題点が浮かび上がっている。
VC各社は06年秋に企業会計基準委員会が公表した新ルールに基づき、運営するファンドを子会社として連結する新方式を事実上、義務付けられた。
  : 
 中略
  :
従来方式でのVCの収入はファンドから受け取る管理報酬とファンドの株式売却収入が二本柱。株式売却による収入や利益はファンドへの出資割合に応じて売上高や利益に計上する。
だが新方式では管理報酬を子会社(ファンド)との内部取引として扱い、売上高に計上しない。一方で株式売却収入による収入は全額を売上高に計上する。VCの出資比率が3割程度しかなくても、外部出資者の損益はVCの営業損益に全額反映されることになる。
最終損益の段階では自社の持分のみが反映されるが、売上高や営業利益を見ても「ほとんど参考にならない」(国内証券アナリスト)という問題を新方式は抱えている。
*** 抜粋終了 ***


これは前回のブログで、出資割合が低いにもかかわらず、影響力基準でSPCを連結させることに対して、愚痴った件と同じです。
VCに限らず、不動産系企業などが利用しているSPCにも該当します。
SPCを連結することによる影響については、SPC連結化の影響をご参照ください。

余計なものを連結させたせいで、事業実態がわかりにくくなったと思います。
そもそもこのルールができたきっかけは、ライブドア事件でファンドを悪用したため、ファンドの透明性を高める事を目的として、連結化を義務付けたものです。

透明性を高めるために情報開示を進めること自体は良いことだと思いますが、連結化してしまってはかえって実態が見えにくくなります。
目的は正しいのですが、連結化という手段は間違っていると思います。
何でもごちゃ混ぜに連結すれば良いというものではありません。ファンドやSPCは、連結化以外の方法で情報開示すべきだと思います。
JAFCOの件をきっかけに、投資家にとってわかりやすい開示方法に改善されることを望みます。







Last updated  2008.07.13 19:03:12
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2008.07.10
カテゴリ:会計
損益計算書の利益には、営業利益や経常利益など、いくつもの利益があります。皆さんはどのように使い分けていますか?
今日は私の使い方をご紹介します。

・売上総利益
製品/商品自体の力だと思っています。
製品力があれば、原価より大幅に高い価格でも買ってもらえます。
したがって、製品力の判断に使っています。

また、いかに低コストで製造できるかという意味で、製造力(量産効果も含む)も表していると思います。

最近のように原材料価格が高騰している場合には、企業努力で原価を抑えることにも限界があります。
うまく価格転嫁できているのかなど、事業環境の判断にも、使っています。

以上のような観点で用いていますが、金額ではなく、売上高に対する比率の過去からの推移に着目します。

・営業利益
よく本業による利益だと言われますが、その通りだと思います。
事業自体が順調にいっているのかを、判断するのに使います。

金額の前期からの伸び率(DCFでの成長率の判断材料)と、売上高に対する利益率(事業状態の判断)の両方を、チェックしています。

・経常利益
一般的には、営業利益に金融収支を加えたものだと説明されます。
しかし私の場合は、むしろ持分法投資損益を反映させるために、経常利益を重視しています。

企業によっては、連結されない関連会社を多く持っていて、それが重要な場合があります。
たとえば海外に合弁会社を作る場合に、外国法人(要するに自社)は50%未満しか出資できない場合があったり、油田や鉱山などの権益を得るのに3社以上で協調する場合には、50%以下の出資になりますので、連結されません。
連結決算に対するそれらの影響が大きい会社では、それら関係会社からの利益を無視することは、適当ではないと考えます。

私は経常利益額を、バリュエーションを評価する時の材料として使います。
また成長率を判断するために、前期からの金額の伸び率にも注目しています。

・税引前利益
実効税率をチェックするのに、使います。
法定実効税率から大幅にずれている場合には注意が必要なので、その理由を調べます。
また先日書いたように、繰延税金資産と法人税等調整額により、業績予想の妥当性にも使えます。

それ以外の用途では、あまり使っていません。
特別損益が反映されているので、これで事業自体の評価や、バリュエーション評価には使いにくいですね。(会社予想も出していないし。)

・純利益
少数株主損益を反映させるために、重視しています。
連結子会社にはなっているが、自社の持分比率が小さい子会社で、影響度の大きいものがある場合には、少数株主損益を除外しないといけません。
これらは純利益の段階まで来ないと除外されないので、注意が必要です。

特に出資割合が小さいにも関わらず、影響力基準とやらでSPCを連結している場合、そのSPCによる利益と自社の取り分とは大きく異なる場合があります。

たとえばフィンテックの前期決算では、持分0%にもかかわらず、影響力基準で連結されたSPCがありました。
このSPCが売却した不動産について、売上や原価などが全額連結されているのですが、持分はゼロなので、少数株主利益の段階で全額控除されています。
こういうSPCを連結するのって、変だと思います。
その他不動産系のSPCで、数年前から会計基準の変更により、影響力基準で連結されるようになったものが多くありますが、それらSPCのノンリコースローンなどを連結化すると、かえって実態がわかりにくくなるように感じます。

話を戻します。
純利益は、バリュエーション評価に使います。
バリュエーション評価にあたっては、少数株主持分を控除する必要があるからです。
なお、特別損益の影響も除外すべきですが、特別損益が大きい場合には、経常利益の6掛けを基準にしています。


以上が、私の使い分け方になります。
私は正式に会計を勉強したことはありませんが、投資経験の中から、このような見方になってきました。
皆さんの使い分け方など、いいアイディアがあれば、教えてください。






Last updated  2008.07.10 11:32:32
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2008.07.05
カテゴリ:会計
先日のブログで、流動資産の繰延税金資産が多過ぎると、翌期にそれを取り崩す必要が発生する危険性(取り崩す場合は、法人税等調整額に計上して、会計上の税金が追加されます。)があること、そして翌期決算予想の妥当性について、書きました。
似た事例を見つけましたので、レビューしてみます。

まずは、フェイスの2007年3月期の決算短信をご覧ください。

流動資産の繰延税金資産に、13.5億円が計上されています。
これを使い切るためには、13.5÷0.4=33.75億円の税引前利益が必要になります。
税引き後利益としては、最低でも 33.75×0.6=20.25億円以上となります。

翌2008年3月期予想を見ると、経常利益17億円,純利益13億円となっています。
計算より7億円ほど純利益が足りないですね。
繰延税金資産の取り崩しによる下方修正のリスクあり、と判断します。

2008年3月期の結果を見てみましょう。

 経常利益   : 19億円
 税引前利益  : 21億円
 法人税等   : 5.5億円
 法人税調整額: 7.5億円
 純利益     : 5億円

税引前利益段階までは、計画通りだったようですが、純利益は8億円未達という結果でした。

期初の予想通りに業績が進捗しない事は、ある程度は仕方が無い部分もありますが、その理由が重要です。
法人税等調整額に注目してください。
7.5億円分税金を追加で計上し、法人税等とあわせた実効税率は、62%近くになっています。(通常は40%程度)
法人税等調整額のうちの大きな部分は、繰延税金資産の取り崩しの可能性があります。

会社によっては、決算短信の(税効果会計関係)というところに、法定実効税率と大きくずれた場合の理由が記載されているのですが、フェイスの決算短信では省略されていました。

そこで有価証券報告書を見たら、ずれた理由の大きな項目として、以下が記載されていました。

 評価性引当額の増減      13.47%
 税務上の繰越欠損金の利用  -6.99%
 のれん償却            11.83%

「評価性引当額の増減」というのが、繰延税金資産の取り崩しではないかと思います。
「税務上の繰越欠損金の利用」というのも、繰延税金資産の一部に入っていたようですが、使いきれなかった分を、評価性引当額の減少として計上したものと、推察します。
(どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら、コメントお願いします。)
 
非常にラフではありますが、この方法は下方修正リスクの判定に実用できるかもしれませんね。

フェイスの今期を見てみましょう。
流動資産の繰延税金資産が7.6億円ですので、7.6÷0.4=19億円 の税引前利益が必要です。
純利益は、19×0.6=11.4億円 以上必要です。

※実際にはフェイスの場合、繰延税金資産の取り崩し以外の理由により、実効税率は変わりそうですが、とりあえず無視します。

会社による今期予想は、経常利益10億円,純利益1億円となっています。
うーん、全然合いませんね。
ただし予想経常利益と比較して、純利益が少なすぎます。
既に繰延税金資産の取り崩しを見込んでいる可能性があります。

税引前利益は経常利益と同水準の10億円とすると、法定実効税率40%を引くと、純利益は6億円になります。
そこからさらに繰延税金資産の取り崩しをして、法人税等調整額が5億円程度発生することを見込んだ結果、このような予想をしているのでしょうかね?

アセット・インベスターズと共に、今期決算に興味が湧きます。






Last updated  2008.07.05 13:15:45
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2008.06.23
カテゴリ:会計
先日、流動資産の繰延税金資産についての疑問点を書きましたが、「経営分析バイブル」(高田直芳)という本を読んで、いくつか分かったことがありますので、メモしておきます。

・翌期の業績見通しの妥当性チェック

流動資産の繰延税金資産は、やはり翌期1年分だけのものでした。
これから逆算して、翌期の業績予想の妥当性を判断できるようです。

流動資産の繰延税金資産を計上するということは、翌期にそれと相殺できるだけの税額が発生することを、見込んでいることになります。
すなわち、それに見合う税引前当期純利益を計上できることを、想定しているわけです。

たとえば流動資産の繰延税金資産が40あり、実効税率が40%だとすると、税引前当期純利益は100になります。
それ以上の利益を上げないと、税金の相殺ができなくなりますので、税引前当期純利益は100以上を見込んでいることになります。
その場合税引き後の純利益は、最低でも 100-40=60 以上になるはずです。
もしも会社発表の翌期の業績予想が、この数値よりも少なければ、繰延税金資産が過大に計上されている可能性があり、取り崩しの発生に注意が必要になります。

私も繰延税金資産の額から逆算して、税引前利益がいくら必要かを算出し、過去の実績からその実現性を判断することは、思い浮かんだのですが、会社発表の予想純利益と比較するところまでは、思いつきませんでした。

今回の疑問のきっかけとなったアセット・インベスターズでは、以下のようになっています。

 - 前期末の流動資産の繰延税金資産:21.6億円
 - 今期の予想経常利益:7億円  (税引前利益は未公表)
 - 今期の予想純利益 :2億円

21.6億円の繰延税金資産と相殺させるためには、21.6÷0.4=54億円 の税引前利益が必要です。
税引前利益の予想は公表していないため、経常利益を見ますと、わずか7億円です。特別利益を出す予定かもしれないので、ここでは見過ごしましょう。

54億円から、相殺する繰延税金資産である21.6億円を控除すると、32.4億円になります。
すなわち、純利益はこれ以上ないとおかしいことになります。
それにもかかわらず、会社発表の今期予想純利益は、たったの2億円です。
本に載っていた教科書的な説明とは、まったく辻褄があいません。

この会社の前期のP/Lには、法人税等追徴税額(過去に脱税したのか?)という項目があったり、B/Sでは流動資産に未収還付法人税等10億円が載っていたりして、わけがわかりません。
おかしいとまでは言いませんが、少なくとも私にはさっぱり理解できないので、こういう会社には近寄らない方が無難ですね。

※ 私が理解できないだけですので、株主の方は気を悪くなさらないでください。


・繰延税金資産の取り崩しは、法人税等調整額で行う

繰延税金資産と相殺できるだけの利益をあげられない場合には、繰延税金資産を取り崩す必要がでてきます。
特別損失にでもなるのかと思ったら、そうではなく、法人税等調整額に繰り入れるようです。


・繰延税金資産の、株主資本に対する割合

繰延税金資産は、会計上は将来の負担になるべき、支払い済みの税額です。
その意義は、将来の会計上の税額を割り引く(先払いしているだけなので、合計は変わらない)権利であるとも言えます。
現時点での資産価値としての実態はありません。

例えるならば、今月末まで有効なファミリーレストランの割引券のようなものです。
割引券は使った時には金銭的な価値が発生しますが、使わなければ無効になるだけです。

繰延税金資産やのれんなど、実態的な価値がないものによって、総資産が膨れ上がっている場合には、注意が必要です。
膨れ上がった価値が無効になったときには、その分株主資本が減少することになります。
したがって、繰延税金資産やのれん代が、株主資本に対して大きな割合を占めている会社は、実質的な株主資本は割り引いて考える必要があります。
単純にPBRだけ見て、割安だと判断することは、危険です。






Last updated  2008.06.23 11:31:57
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2008.06.13
カテゴリ:会計
会計上では当期の費用になっていても、税務上は当期の損金扱いにならない場合に、税効果会計ではその費用に対する税額分を、法人税等調整額として損益計算書で調整し、同額を貸借対照表に繰延税金資産(或いは繰延税金負債)として計上します。

繰延税金資産には、流動資産に入るものと、固定資産(投資その他の資産)に入るものがあります。
ここで疑問が生じました。

流動資産の繰延税金資産とは、1年以内に税務上の損金として認められる(損失の事実が確定する)ことが想定されているものでしょうか? 
そしてそれは、1年しか有効ではないのでしょうか?
すなわち、翌期に損失が確定する事実が発生する(=税務上認められる)場合、対応する繰延税金資産を、その期に使用しないといけないのでしょうか?

例えば、ある債権に対する貸倒引当金を積んでいて、その一部が繰延税金資産になっていたとします。
その債権が実際に貸倒になった場合、税務上損金扱いになりますが、その期には利益が少なく、繰延税金資産を使いきれないとします。
この場合翌期以降に、その繰延税金資産を持ち越せるのでしょうか?
債権がなくなった後にまで、対応する繰延税金資産が残るというのも、変な気がします。

繰延税金資産とは前払い税金のようなものですので、それが意味を持つのは、それ以上の額の税金を支払う場合です。
十分な税引前利益を上げられないと、支払うべき税額が小さくなり、繰延税金資産を使いきれません。
繰延税金資産を使いきれない場合には、取り崩す必要があり、特別損失が発生し、利益が減少してしまいます。

アセットインベスターズの財務諸表を見ていたら、流動資産の繰延税金資産が
21億6千万円あることに気づきました。
アセットインベスターズの過去の業績を確認すると、ピークでも税引前利益は
2007年3月期の26億円であり、税額は8億8千万円にすぎません。
もしも流動資産の繰延税金資産は1年しか(損失が確定した期にしか)有効でないのであれば、とても使いきれません。

会社による今期の業績予想は、経常利益7億円、純利益2億円になっています。
これは妥当な数字なのでしょうか? もしも繰延税金資産を取り崩す必要があれば、10億円単位の赤字になってしまいます。
流動資産の繰延税金資産が1年で無効にならないのであれば、問題ないのですが。

どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら、教えていただけませんでしょうか。






Last updated  2008.06.13 14:58:14
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2008.06.01
カテゴリ:会計
やまさんがよく、新聞記事のいいかげんさについて、指摘されています。

私もたまに、不正確だったり誤解を生む表現だと思うことがあります。
たとえば今日の日経新聞1面にある、「企業の株含み益7兆円に半減」という記事を見てみましょう。

上場企業が保有する株式などの含み益が大きく減少している。
     :
 含み益の減少は、同期間の日経平均株価の下落(28%)を上回る。


含み益の増減が、時価の増減よりも大きくなることは当たり前です。
たとえば100円で買ったものが200円になっているとしましょう。
この時点で含み益は100円です。
時価が30%下がり140円になると、含み益は40円になります。含み益は60%減少することになります。

含み益が減少していることを強調したいのでしょうが、なぜ当たり前のことを大げさに書くのか不思議です。
この文章の後に、持ち合い株の低迷について書かれている部分もあるので、持ち合い解消を促すことを目的として書いているのでしょうか?
(ただ誇張したかっただけのような気がしますが。)


また次の文章も気になります。

会計ルールでは、投資有価証券の含み損益を自己資本に参入するほか、株価が簿価を大きく下回れば損失計上が必要になる。

有価証券の時価評価については、その分類により以下のようになっていると理解しています。

・売買目的の有価証券(流動資産)
 時価評価しB/Sに計上。評価差額の処理はP/Lに計上。
・満期保有目的の債権
 取得原価のまま。
 ただし価値が著しく下落し、回復の見込みが無い場合には、減損処理をする。
・子会社および関連会社株式
 取得原価のまま。
 ただし価値が著しく下落し、回復の見込みが無い場合には、減損処理をする。
・持ち合い株式などその他有価証券(時価のあるもの)
 時価評価しB/Sに計上。
 評価差額の処理は、P/Lには計上せず、B/S純資産の部の「評価・換算差額等」に計上。
・その他有価証券(時価の無いもの)
 取得原価のまま。
 ただし価値が著しく下落し、回復の見込みが無い場合には、減損処理をする。

記事の前半の「含み損益を自己資本に参入する」というのは、B/S純資産の部の「評価・換算差額等」に計上することを言っているのだと思います。
この場合には、損失計上はありません。
一方記事の後半部分の「株価が簿価を大きく下回れば損失計上が必要になる」というのは、減損処理のことを言っているのだと推測します。
この場合は、B/Sの自己資本に直接反映させるわけではありません。

すなわちこの記事は、2つの異なる事象を混ぜて書いていると思われます。
完全に間違っているわけでは無いかもしれませんが、誤解を生む表現だと思います。


今日の記事の例は、大した問題ではないかもしれませんが、新聞記事の特徴が現れていると感じます。
新聞記事は、事実を知ったり世の中の流れなどの方向性を理解するのには適していますが、解説文などについては100%鵜呑みにするのではなく、自分の頭で考えたり調べたりすることも必要だと思います。






Last updated  2008.06.01 19:20:22
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