カテゴリ:投資戦略・分析・指標
このブログでは、"勝率"よりも"リターン"、"リターン"とともに"シャープレシオ"を重要視して、"シャープレシオの最大化"を追求しています。
この記事では、シャープレシオとはどういう指標か?を解説した後、ポートフォリオの運用効率を上げるにはどうしたらよいか?について書きたいと思います。 シャープレシオとは、ウイリアム・シャープ氏によって提案された運用の効率性を測る指標で、 ![]() のように計算します。 分子(リターンの期待値 - 無リスク資産のリターン)は、"リスクプレミアム"とも言います。 分母(リターンの標準偏差)は、リターンのバラツキのことで、"リスク"または"ボラティリティ"とも言います。 では、いくつか具体例を挙げて、シャープレシオの値と純資産曲線を見てみましょう。 ここで、 "無リスク資産のリターン"は 、現在ゼロ金利ですので 0.0% としました。 シャープレシオは、期間を3年として、直近156週(約3年間)の週次リターンの実績から年率換算(52週分)のリターンの期待値と標準偏差を求めて計算しました。 (実際の計算方法は、 Google スプレッドシート を参考にしていただければと思います。) 始めに、毎週 +1% の利益を156週ブレなく稼き続ける"理想的な運用"を仮定した場合、 ![]() 純資産曲線はキレイな右肩上がり(指数関数)になります。 このとき、 156週リターンは +372.21% 週あたりリターンは +1.00% 週あたりリターンの標準偏差は 0.00% (バラツキなし) 年率換算リターンの期待値は +67.77% 年率換算リターンの標準偏差は 0.00% シャープレシオは "無限大" となります。 しかし、このような理想的な運用が可能な投資対象は存在しません。(投資詐欺の勧誘の場では、このような幻想が得意げに語られる場面がありますが…(苦笑)) 実際には、良い週もあれば悪い週もあるように、週次のリターンにはバラツキがあります。 S&P500の場合は、 ![]() (期間 2018/12/21~2021/12/17の156週間) 純資産曲線は2020年3月のコロナショックで大きく下振れしていますが、それ以外の期間ではなかなかの右肩上がりです。 このとき、 156週リターンは +91.76% 週あたりリターンは +0.42% 週あたりリターンの標準偏差は 2.81% 年率換算リターンの期待値は +24.24% 年率換算リターンの標準偏差は 20.25% シャープレシオは 1.20 となります。 日経225の場合は、 ![]() (期間 2018/12/21~2021/12/17の156週間) 純資産曲線はコロナショック以外の期間でもところどころ凸凹しています。 このとき、 156週リターンは +43.31% 週あたりリターンは +0.23% 週あたりリターンの標準偏差は 2.74% 年率換算リターンの期待値は +12.74% 年率換算リターンの標準偏差は 19.79% シャープレシオは 0.64 となります。 これで、シャープレシオが大きい運用ほど純資産曲線がキレイな右肩上がりになり、効率的で安定した運用ができていることがご理解いただけたでしょうか。 シャープレシオは、投資信託の運用効率を比較するのにも有効です。 例えば、楽天証券の投信スーパーサーチ で 「インデックスのみ」「株式」にチェックを入れて、「シャープレシオ・標準偏差」のタブをクリック、シャープレシオ「3年」でソートしますと、 ![]() という感じで並びます。S&P500の投資信託 eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) は6位に出てきますが、株式インデックスの中でも運用効率の良い投資対象と言えると思います。 それでは、ポートフォリオの運用効率を上げ、シャープレシオを大きくするにはどうすればよいでしょうか? 2つ方法があります。 1つは、 お互いに値動きが異なる複数の資産でポートフォリオを構成して、配分を決めてリバランスする方法です。 値動きが異なる資産の組み合わせとしては、 株式 と 債券 があると思います。そこで、PORTFOLIO VISUALIZER を使って、 SPY: S&P500連動のETF TLT: 20年以上の長期米国債をまとめたETF の配分を変えて、 ポートフォリオ1: SPY(100) ポートフォリオ2: SPY(75) + TLT(25) ポートフォリオ3: SPY(50) + TLT(50) という3つの条件(()内は百分率での配分)でシャープレシオと純資産曲線を比較してみました。期間は 2018年12月 ~ 2021年12月 としました。 ![]() 結果は、TLT の配分が 0 => 50 と変わるにつれて、 シャープレシオの値(水色)は、1.05 => 1.67 と大きくなりました。 最大ドローダウン(赤)は、-19.43% => -4.30% と小さくなりました。 SPY に TLT を加えることによって、コロナショック時のドローダウンを軽減して、ポートフォリオのリスクを抑えることができています。 ただし、リターン(緑)は +74.33% => +57.52% と小さくなりました。リスクが小さくなっても、リターンが小さくなってしまうのは残念です。 では、リターンを大きくしながら、リスクを抑えることはできないものなのでしょうか? それは、次に示した方法をとりますと、より"ローリスクでハイリターン"な運用を実現できます。 2つ目は、 直近数か月の値幅の中で一定の反発を確認したら買いエントリー、逆に行った場合は損切りする、というようにポジションをトレンドフォローに構えて、短期売買を繰り返すことです。 S&P500をトレンドフォローで短期売買を繰り返した場合は、 ![]() (期間 2018/12/21~2021/12/17の156週間) 純資産曲線はコロナショックでのドローダウンも微々たるものになっています。 このとき、 156週リターンは +160.75% 週あたりリターンは +0.62% 週あたりリターンの標準偏差は 2.66% 年率換算リターンの期待値は +37.64% 年率換算リターンの標準偏差は 19.20% シャープレシオは 1.96 となりました。 これで、リターンとシャープレシオの両方で、S&P500本家を上回ることができました!(^^) 私はこれをサテライトとして MetaTrader4 の自動売買で運用しています。 ポートフォリオの運用で、S&P500のリターンとシャープレシオを両方超えることは難易度の高い目標ですが、これからも試行錯誤しながら目指していきたいと思います。 このブログでは投資詐欺撲滅に注力しています! 今回の記事が良かったら、下のブログランキングの応援クリックをよろしくお願いします!(`_´)ゞ 応援クリック!
最終更新日
2021.12.27 13:37:03
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