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INVICIBLE NIGHT

INVICIBLE NIGHT

放課後

ある暑い日。
空は青く、日差しも強い。

ホームルームの後、私はまだ教室にいた。
今日は部活はお休み。
ヒマだから、ロッカーの整理をしていた。

そんな時。
教室からクラスメートの話し声が聞こえてくる。

「なぁなぁ、テストどうだった?」
「マジ最悪。つーか平均高すぎだろ」
「確かに。俺ほとんど平均行かなかった」
「あー、それ俺も。マジありえねぇし」

どこにでもありそうな、普通の会話。
そんな会話を聞きながら、私はロッカーの整理を続ける。
二人の会話は続く。
「ってかさ、お前成績ヤバいんじゃね?」
「…ヤバいな。ダブりとかマジ勘弁なんだけど」
「まぁ、ちゃんと補習受ければダブらないって」
「はぁ?夏休みに学校なんか来てらんね―し」
「ドンマイ、頑張れ」
「あーもうめんどくせぇ…マジ死にてぇよ」

どこにでもありそうな、フツーの会話。
そんな会話を聞きながら、私はまだロッカーを整理していた。
そして、二人の会話は終わった。
二人はそのまま教室を出て、昇降口に向かった。

私は携帯電話の時計を見る。
…まだ4時前だった。

けれど携帯電話の画面には、他にも色んなモノが写っていた。



4時半になった。
ロッカーの整理も終わったし、そろそろ帰ろう。
教室を出て、昇降口に向かう。
窓からは赤い光が差し込んでいた。

下駄箱で靴を履き、中庭を通り抜ける。
途中に白い車が止まっていて、人だかりが出来ていた。
近くを通った時、誰かの話し声が聞こえてきた。
「うわ…何これ、事故?」
「そうみたい。あたしは見てないけど…多分死んでるって」
「え?それマジ?」
「うん、なんか血とかヤバかったらしいよ」
「えー…死んだのって誰なの?」
「ほら、2組に不良ペアいたじゃん?あのどっちからしいよ」
「うそ、なんか怖ーい」

人だかりを過ぎて、段々声が聞こえなくなった。
中庭にはまだ赤い光が溢れてる。
早く帰ろう。
もう一度携帯電話の画面を見る。
けれど画面には、4時45分頃を示す時計の他にも色んなモノが写っていた。


そう、例えばそれは誰かの微笑とか。


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