ニューデザインパラダイスの製作協力ネタをもう1つ。
テーマは「鯛焼き」です。そうあのアンコが入ったあれですよ。
こんなものどうやってデザインし直すのかと疑問に思いましたが、そこはやはりデザイナーさんの力の見せ所。本当におもしろいデザインを見せてくれました。
そのイメージをお見せする前に、新しい「鯛焼き」を作るコンセプトを今回のデザイナーである
寺田尚樹さんの文章でお見せしたいと思います。
この文章を読むと、いかにコンセプトというものがデザインに必要なのかを教えてくれます。
ニューデザインパラダイス/たいやき
寺田尚樹+テラダデザイン
●たいやきの問題点?
・「あたま・しっぽ問題」
商店街をお散歩しながら、あつあつを2つに分けて誰かと一緒に頬張る幸せ。でも真ん中から分けた時に起こる「あたま・しっぽ問題」。
誰があたまの方(あるいはしっぽの方)を食べるか、絶対に平等に分割できないこの問題の解決は難しい。
・忍びない姿
ちぎったとしても噛みついたとしても、食べかけの「たいやき」の姿はなんともかわいそうで忍びない。ちょっと飛び出たあんこが内臓のよう。
・ 生産効率の悪さ
複雑な外形をしているので、今川焼に比べ鉄板に敷き並べた時の単位面積あたりの生産量が低い。が、この複雑な外形が生地のエッジ部分のカリカリとした、たいやき特有の食感に結びついているのだろう。
(たいやきの鋳型は大別して「一丁型」と「連型」があり、一丁型の方が焼く手間もかかり高級。大きな植木鋏の先端がタイの鋳型になっているようなかたち。連型は今川焼のように鉄板に型が並んでいる。上記は連型との比較)
●そこで提案(画像参照)
・ 分けやすいカタチ、食べやすいカタチ
そもそも一匹を分けようとするから悲劇が起こるのです。
提案は一口サイズのたいやきを4匹セットにしました。
それぞれがワッフルのように生地でつながっているので、一匹ずつ手で切り離して召し上がっていただけます。
誰かとモノを共有する喜び、現代のコミュニケーションツールになればと思います。
・ 「あたま・しっぽ問題」の解決
平等に一匹ずつに分けられるので「あたま・しっぽ問題」はもはや存在しません。
・ 一口サイズ
パクッと一口で食べられるサイズなので食いちぎられたおさかなの無惨な姿を見ることもありません。
・ カリカリとした食感
中央に穴をあけ、生地をドーナツ状にすることによって鉄板と接するエッジ部分の周長を長くし、カリカリとした食感をより楽しめるようにしました。
また、鋳型の中央に穴をあけることによって、熱効率が良くなり、手早く火を通すことが出来るので、たいやきの命である「中はしっとり外はパリッと」を実現するのも問題ないでしょう。
・ 生産効率の改善
外形がほぼ円形なので、鋳型に効率良く配置することができ、一度に多くのたいやきを量産することができます。
(鋳型を連型とした場合)
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いかがですか?
1つのデザインをする為にこれだけのコンセプトに基づいているんですね。私には非常に勉強になりました。
明日は新しい鯛焼きのイメージをお見せしたいと思います。