第199回 中国の12月の経済指標
今日のまとめ 1.インフレこそが最大の懸念である 2.その他の統計は申し分なかったインフレが経済政策の焦点に12月の経済統計が出揃いました。今月のデータ・ポイントの中でとりわけ市場参加者の目を引いたのは消費者物価指数ならびに生産者物価指数の急上昇です。消費者物価指数の内訳を見ると食品価格が+5.3%とジャンプしており、ひときわ目立ちます。中国政府にとって食品価格の上昇は民心が最も乱れやすい重要項目ですので、それが急角度で上がり始めたことに神経をピリピリさせていると思います。中国政府は既に対応中!既に中国政府はいろいろな引締め策を繰り出しています。1月13日にはリザーブ・リクワイアメント・レシオを50bp(ベーシス・ポイント)引き上げることが発表されています。リザーブ・リクワイアメント・レシオとは準備率のことを指します。つまり銀行が貸出をする際、貸出総額の一定の割合を中央銀行に「人質」として預けることを義務付けるルールなのです。その準備金の比率を示すのが準備率であり、準備率の引き上げは新規融資を抑制する意図でなされます。さらに中国人民銀行は売りオペにより3カ月物手形金利を数次に渡って引き上げています。前回中国人民銀行が売りオペを実施したのは去年の7月の第一週であり、このときはSHIBOR(上海インターバンク・オファーリング・レート)がオーバーナイト・レートで0.80%から1.1%にジャンプしました。その後銀行融資はざっくりと下がっていることが下のグラフからもわかります。好調なその他の指標その他の12月の経済統計には余りドラマチックな動きはありませんでした。下は小売売上高のグラフです。小売売上高の数字はこれまで若干モタモタした印象が否めませんでした。しかし12月はハッキリとピックアップしています。内訳的には自動車+57.7%、家具+37.6%などの好調が目につきました。ただ上に述べたように中国人民銀行は金融の引締めに転じてきていることから、住宅や自動車などの高額の商品の売れ行きは少し勢いが衰えることを覚悟しておいた方が良いかも知れません。次に鉱工業生産の数字のグラフを示します。ひと足先に1月10日に発表された貿易統計では輸出・輸入ともしっかり戻ってきていることが確認されています。