つれづれなるままに

2022/09/06(火)05:08

9/3 旧システムのキブツ

滝沢泰平Facebookより転載 ベーシックインカムが成り立つキブツ・シャアル・ハゴラン。 ガリラヤ湖の南、ヨルダンとの国境沿いにあるキブツ(コミュニティ)のシャアル・ハゴランは、300箇所あるイスラエルキブツの中でも、1割しかない 「旧システム」 のキブツです。 旧システムとは、共産主義的な思想で 「固有財産を持たずにコミュニティメンバー全員が平等にある財産をシェアする」 というもので、ここに住まう150世帯300人(子供は120人)は、基本的に全員 *同じ大きさの家に住み(無料) *食事は3食共同食堂で食べ(無料) *衣服も必要なものは提供(無料) *医療費もすべて保障(無料) *教育費もすべて保障(無料) *移動費も支給(無料) であり、それに加えて *大人1人あたり毎月16万円支給(子供は8万円) されます。 生活費が0円で収入が世帯単位だと何十万円もあれば、少なくとも生きるのに困らないどころか、十分に娯楽も楽しめるもの。 実際、コミュニティの老人達は、貯まった資金であちこち海外旅行をしたり、時間も経済もゆとりある人生をとても楽しんでいます。 300人の生活を支え、ベーシックインカムを成り立たせるには、年間予算では10億円以上が必要。 シャアル・ハゴランは *農業(バナナ、アボガド、デーツなど) *乳業 *ゲストハウス などの事業をコミュニティ内で手がけていますが、それだけで10億円は稼げない。 コミュニティメンバーの仕事は、これらコミュニティ事業や運営の維持管理もありますが、人によっては、コミュニティの外の世界で一般のイスラエル人と同じように様々な職種についている人もいます。 ただし、16万円以上の高収入を得ている会社員がいても、その給料は毎月キブツへ納める。 とはいえ、いくら外で稼いでくれる稼ぎ手がいても、とても10億円に大きく加算されるほど稼ぐ人はいない。 では、そのお金はどこから来ているかといえば、このコミュニティは50年以上も前に 「プラスチックパイプ」 を生産する工場を立ち上げ、その会社が軌道に乗って資本主義経済が入った後のイスラエルで上場し、今ではイスラエルで50%のシェアを持つ一大企業へと成長。 その利益の一部から、コミュニティの運営資金に充てられ、ここでは全員にベーシック・インカムのような制度が成り立っている。 とても経済的に恵まれたコミュニティであり、コミュニティメンバーになりたい人もたくさん応募があるようですが、住む家の数の限りがあるため、基本的には人の空きが出ないと新規ではメンバーになれない。 いずれにしても、共産主義と資本主義の一部が融合した特殊なコミュニティであり、これはこれで調和している1つのコミュニティシステムで興味深いものでした。 日本の大企業(資本金10億円以上)の内部留保は480兆円と、世界でも稀なほど異常に財産を溜め込んでいます。 これから先、小さな民間コミュニティが点在し、やがて行政とも連動した地域コミュニティが活発化するのは確実だと思いますが、そこに企業もタイアップして、その膨大な資金をもう少し社会やコミュニティに還元して循環させて欲しいもの。 資本金10億円以上の大企業は、最低でも1つのコミュニティを支え、そこで自社農場を運営して、社食や福利厚生で野菜やお米を従業員に無償提供すれば、会社もより活性化するはず。 心ある政治家や企業の役員の方々、是非ともそんな新たな取り組みにチャレンジして欲しい。 若き経営者の人たちも、企業内コミュニティづくりを是非意識して欲しい。 すでに世界に取り残された日本において、世界を相手に競争するよりも、日本という国が1つのキブツのようになり、内部で循環する独自の仕組みを構築した方が生き残れる可能性は高いと思う。 政治も経済も同じ目的のために手を結び、あるものをシェアして助け合う社会となれば。 イスラエルから学ぶことはまだまだたくさんあります。

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