神経内科2

小脳機能の診方
1.小脳機能の役割
・運動調節・・・スムーズな活動動作を可能
筋緊張のコントロールを行う。

・平衡機能


2.小脳が障害されると運動失調症が起こる。
運動失調「症」Ataxiaとは
(定義)運動失調とは協調運動障害の1つのあらわれであり、したがって筋力低下があってはならない。運動失調の第1は随意運動がうまくできず、運動の方向とか程度が変わってしまうものである。第2は体位とか姿勢の異常で、それらを正常に保持するのに必要な随意的な、あるいは反射的な筋の収縮がそこなわれている。

3.小脳性運動失調の特徴
1) 立位、歩行の特徴
A.起立時に話しかけたりして、注意をそらせると、平衡を失い倒れることがある。倒れるときは障害側または後方に倒れる。
B.立たせると動揺は増加するが、倒れるほどではない。よってロンベルグ徴候は陰性である。
C.片足で立つことは難しく、まして眼を閉じて片足で立つことは不可能。
D.歩かせてみると、重心をとるために足を大きく開いている。
E.一見酔っ払いの歩き方に似ているので酩酊歩行あるいはよろめき歩行という。
 
2) 企図振戦
目的物に近づくほど著名になることをいう。試験=鼻指鼻試験 p146図8-1

3) 四肢の失調の特徴
A. 測定異常(dysmetria)
随意運動を目的の所で止めることが出来ない。目的のところまで達しない測定過小と行き過ぎてしまう測定過大がある。試験=コップを持たせる方法 p149図8-6、線引き試験 p150図8-7
B. 反復拮抗運動不能症(dysdiadochokinesisi)
一肢または、体の一部が交代運動を正確に行えない。
試験=手回内・回外検査p151図8-8、Finger Wiggle(ピアニストのように順に指を反復させる)
C. 運動分解(decomposition of movement)
上肢を伸展させ、示指で同側の耳朶を真っ直ぐに指すように命じても、3角形の一辺を真っ直ぐ行かず、2辺をたどる。試験=上の記述p151図8-9
D. 協働収縮不能(asynergy)
患者を立たせておいて後ろに反り返らせる。正常では膝を後ろに曲げて、頭を上に向け、上半身を後ろに反らせるが小脳障害では膝を曲げずにそのまま後ろに倒れてしまう。
     試験=上の記述p152図8-10
E. 振戦(tremor)
動いている時に企図振戦がおこり目標に近づくにつれてプルプルする。

F. 時間測定傷害(dyschronometria)
動作を始めようとする時、また止めようとする時に、正常人より遅いよ

4) 言語
A. 発語は爆発性になったり、不明瞭または緩慢になる。このことを運動失調性発語、断綴発語(臨床ではよく使われる)と表現する。

5) 眼振
A. 小脳疾患ではよく眼振をみる、前方を自由にみさせておいて、次に側方の一点を見つめさせると、眼振を生ずる。

6) 筋緊張低下
患者の胴体に手をあてて、その上体を左右に揺さぶる。筋緊張の低下している側の上肢は健側より大きく振れて、体幹より遠ざかる。試験=Pendulousnessの検査p153図8-11

7) 書字
   字を書かせるとだんだんと大きくなる。

4.運動失調症の分類
  障害部位によって小脳性、脊髄性、迷路性、大脳性などに分けられる。
  ここでは、違いが分かるように表にして挙げてみた。(p157表8-1参考)

症状 小脳性 脊髄(後索)性 迷路性(前庭性) 大脳性(主は前頭葉)
深部感覚障害 -大丈夫、正常だね +やばい -異常ない
閉眼の影響(ロンベルク徴候) -でない +でてしもうた +倒れるよ +倒れるよ
測定異常 +でる +でる
振戦 企図振戦 粗大振戦
歩行 よろめき歩き パタンパタン歩く 千鳥足
構音障害 +爆発性発語 -でないって書いてあるけど?
腱反射 軽度低下 後根障害では消失




運動麻痺の診方
1.運動麻痺(Moter paralysis)
完全麻痺(paralysis)、不全麻痺(paresis) ←英語が出そう・・

2.麻痺の種類 ←英語にマークしてあったから出るかも?
単麻痺(Monoplegia)、片麻痺(Hemiplegia)、対麻痺(Paraplegia)、四肢麻痺(Quadriplegia or Tetraplegia)

3.上位運動ニューロン障害=中枢性麻痺=核上性麻痺
下位運動ニューロン障害=末梢性麻痺=核下性麻痺   ←常識
4.p.159の表9-1上位運動ニューロンと下位運動ニューロン障害の鑑別点を覚えよう。

5.一部の筋の運動麻痺・・・末梢神経の麻痺   『わしゃかとうにまさる』だね^^
 1)橈骨神経麻痺・・・下垂手
 2)正中神経麻痺・・・猿手
3)尺骨神経麻痺・・・鷲手(骨間筋の萎縮と小指球の萎縮がおこる。母指内転筋が麻痺しフロマン徴候を呈する。)

6.片麻痺の診方
1)回内回外試験・・・両手を同時に回内・回外を連続して行うと、患側が遅れてくる。
2)上下肢のバレー徴候・・・(上肢)両腕を手掌を上にして前方に水平に挙上させ閉眼させると、患側が回内する。
         ・・・(下肢)腹臥位で両側の下腿を膝関節135度に開くような位置に保持すると、患側が落下する。
3)フーヴァー徴候・・・仰向け両かかとの下に検査者の手を入れ、一側下肢を伸展したまま挙上させ、手に強い力が加わらなければ、手で触っているほうが患側。
4)足の外旋位・・・仰向けに寝て下腿、足が外旋したほうが患側
5)ワルテンベルグ徴候・・・手を回外位とし手首をしっから握り、母指以外の4本の指を曲げるようにして引っ掛ける。この姿勢で両方を引っ張り合うと母指が著しく内転、屈曲する。

7.錐体路徴候           ※絶対覚えておこう!!
1)筋萎縮を伴わない痙性麻痺
2)腱反射亢進
3)バビンスキー反射の出現
4)腹壁反射(表在反射)の消失

8.ギラン・バレー症候群
原因 ウイルス感染が治った後で、軸索を覆う髄鞘に対する抗原抗体反応による末梢神経障害
前駆症状 多くの場合、発病の1~2週前に、先行してかぜの症状や下痢などの症状を伴う
症状 咽頭発赤がおこり運動麻痺では両下肢に始まり、両上肢、顔面、呼吸筋へと続き、麻痺も重くなる。感覚障害は運動麻痺に比べて軽い。筋圧痛、神経伸張痛がみられ、腱反射は減弱、消失する。脳髄液は蛋白が増加する
予後 髄鞘障害型と軸索障害型に分類され、髄鞘型は予後がよく6ヶ月以内に治癒するものが多い。軸索型は筋萎縮が強く予後不良が多い。
治療  ※今はおぼえなくてもいいかな? 薬物治療の他に、血液中に存在する末梢神経を攻撃する抗体や関連因子などを除去する目的で、血漿交換療法が行われる。また、呼吸筋麻痺が起これば人工呼吸管理が行われる。

9.重症筋無力症
1)筋肉の異常な疲労性が特徴である。
2)初めに眼筋を侵し、眼瞼下垂や外眼筋麻痺を起こして復視を訴える
3)握力試験をすると急速に握力が低下する。
4)休息すると回復する。



不随意運動の診方
1.振戦(Parkinsonian Tremor)
1)静止時振戦=安静時振戦・・・膝の上に力を抜いて手をおいた場合などに振戦が生じる。
2)企図振戦=運動時振戦・・・・運動をして終わりに振戦著明。目標に近づくほど振戦が増強する。
3)姿勢時振戦・・・・・・・・・姿勢保持をしている時に振戦が起こる。

振戦名 分類
パーキンソン振戦
(錐体外路障害) 静止時振戦 大脳基底核の障害(中脳の黒質変性)で筋強剛、随意運動の障害(無動)を伴う。振戦は随意運動で一時的に抑制される。感情的な興奮で増加し、睡眠中は消失する。
小脳性振戦
企図振戦 小脳疾患のうち歯状核、およびこれと連絡する障害で、小脳と中脳を結ぶ上小脳脚の病変がおこる。
生理的振戦 姿勢時、運動時振戦 疲労、感情的興奮、寒さでの振戦
本態性および家族性振戦 姿勢時主体、運動時もある 精神的緊張、家族性では思春期から青年期に発症して常染色体優性遺伝を示す。
老人性振戦 静止時振戦と随意運動で振戦増強 パーキンソン症候群の振戦と似ているが、随意運動でかえって増強する。上肢、頭、下顎、口唇、舌に著名であり、座位立位での頭部振戦が多い。
中毒性振戦 姿勢振戦 甲状腺機能亢進(バセドウ病)や尿毒症などの内因性疾患や、アルコール、たばこ、水銀、コカイン中毒でおこる。


2.Parkinson病の特徴
1)振戦
2)固縮
3)無動・・・・・・・A.運動減少→自発性の動き低下     B.運動緩慢→運動速度低下
           C.すくみ現象→動作開始時のすくみ(すくみ足) D.運動の切換障害
           E.仮面様顔貌
4)姿勢反応障害・・・A.体軸回旋の欠如→寝返り、起き上がり困難 B.バランスの崩れ→重心移動困難
5)2つ以上の同時動作困難


3.錐体路性障害と錐体外路性障害の鑑別
錐体路性障害 錐体外路性障害
筋緊張亢進 Spasticity rigidity
不随意運動 - +
腱反射 亢進 正常または軽度亢進
バビンスキー徴候 + -
運動麻痺 + -または軽度+

4.パーキンソン症候群を伴う関連疾患(こんなものだと分かる程度でテストに出すって言ってたよ!!)
病型 発症形式 症状
オリーブ橋小脳萎縮 中高年 小脳皮質・下オリーブ核・橋核が主な病変部位。
小脳性運動失調や錐体外路症候が現れる。
シャイ・ドレーガー症候群 40~60歳 交感神経遠心路の節前シナプスが病変部位
自立神経症状(起立性低血圧、インポテンス、排尿障害)、小脳性運動失調、筋萎縮や筋線維萎縮、無汗、感覚障害なし
進行性核上性麻痺 50~60歳代の男子に多い 核上性眼球運動障害(垂直方向の共同性眼球運動が障害)、 筋緊張異常、平衡障害(後方にひくっり返りやすい)、精神症候(性格変化、知能低下など)、偽性球麻痺
ウィルソン病 5~10歳 常染色体劣性遺伝による疾患(レンズ核の変性、肝硬変)
カイザー・フライシャー輪(構音障害、振戦、筋強剛)
知能低下、経過は急速
正常圧水頭症 髄圧正常、脳室拡大を示す。痴呆、歩行障害、尿失禁、
パーキンソンとよく似た症状(筋強剛、前屈姿勢、突進現象、運動緩慢)





5.パーキンソン病の重傷度分類
  Hoehn-Yahrの分類
Stage1
一側性障害のみで、機能障害はないか、軽度。
Stage2 両側性障害があるが、体のバランスは保たれている。
Stage3 歩行時の方向転換は不安定となり、立位で押せば突進し、姿勢反射障害はあるが、身体機能の障害は軽ないし中等度。
Stage4 機能障害高度であるが、介助なしで起立、歩行がかろうじて可能。
Stage5
介助がない限り寝たきり、または車椅子の生活。




6.パーキンソン治療のL-Dopa長期使用による問題点
1)L-DOPAの効果減弱
2)不随意運動:ジスキネジア、ジストニア
3)精神症状:躁状態、幻覚(幻視)、うつ状態
4)薬の効果の日内変動:上がり下がり現象(すり減り現象)が起こる。
  薬効時間が短縮し、2~4時間で急に効果が切れる。
5)オンオフ現象:服薬時間に関係なく症状が変動




失語症、失行症、失認症の診方
OTとして最も覚えておかないといけないところだよ!!
 1.大脳半球の分類
1)左大脳半球(優位半球)の損傷
    失語、失行、失認、失読、ゲルストマン症候群、構成失行
  2)右大脳半球(劣位半球)の損傷
    失認(左半側空間無視)、失行(着衣失行)、構成失行、病態失認

 2.失語症
言語障害は構音障害と失語症があり、鑑別しなければならない。
1) 構音障害
発語に関する神経や筋肉の障害によって起こり、うまくしゃべれない(器官の障害)
種類・・・脳血管障害、パーキンソン病、小脳疾患(爆発性発語)、球麻痺、重症筋無力症
2) 失語症(今回の話はこっちだね!!)
筋や末梢神経には異常がなく、知能や意識の低下もなく、聴力の障害もないのに言語による表現や文字の理解ができない(脳がやられたため)

  3.失語症の分類
     1)運動性失語(ブローカー失語)
      前頭葉にありブロードマンの脳地図では44野である。
(少し怖いが運動する領域なので行動力のある死ね死ねブローカーとして覚えた^^)
・発語が運動的な障害があり、理解は出来ていても、うまくしゃべれない。

2)感覚性失語(ウェルニッケ失語)
 側頭葉にあり、ブロードマンの脳地図では22野である。
 (44の半分です。頭頂葉の39(サンキュー)野もあるが、覚えなくてもいいかな?)
・感覚的というか知的に問題ありとして、意味をもたない言葉をしゃべる。
3)全失語
       ブローカー失語とウェルニッケ失語の両方の障害。発語も理解もできないが、治療によりブローカーorウェルニッケのどちらかになる。

失語症の分類(表14-2)を覚えよう。
失語症の鑑別(p254の図14-2を覚えること)
失語症の経過(p258 図14-5)

 4.失行症
   ※定義が出るって言ってたけど?
    失行症とは、運動麻痺や運動失調、不随意運動など、いわゆる運動障害がなく、しかも行うべき動作とか行為も十分わかっているのに、これを行うことができない状態である。


  1)観念運動性失行・・・自分で行う際にはできるが、人に命令されると行うことができなくなる。
  2)観念性失行・・・物を使う順番がわからなくなる。(急須でお茶を入れるなど無理)
  3)構成失行・・マッチ棒で三角形をつくれない。積み木ができない。絵を模写することもできない。

 5.失認症
  (優位半球の障害では色盲の色彩失認があるが、授業でふれてないので却下する。)
  1)劣位半球の障害の半側空間無視(Unilateral Spatial Neglect=USN)※英語がでるかも・・・
    右に注意がいってしまって、左が目で見えているが頭で認識できない。
   検査法としてA.直線の2等分、B.線分抹消テスト、C.図形模写、D.時計描写がある。





球麻痺と仮性球麻痺との鑑別   ※球=延髄     『玉が下で、かりが上!!!』
球麻痺 仮性球麻痺
障害部位 脳幹の運動性脳神経核の障害
下位ニューロン障害(延髄の舌咽、迷走、舌下) 両側の核上性の障害
上位ニューロン障害
構音障害 + +
嚥下障害 + +
筋萎縮(舌の萎縮) + -
舌の線維束性収縮 + -
嗄声(かすれ声) + -
情動失禁 - +
下顎反射 - +
代表的疾患 ALS(筋萎縮性側策硬化症) 両側の大脳、脳幹の血管病変

感覚の診方   どんな感覚の種類があるかくらいでよいらしいよ・・・
分類 感覚異常 検査法
表在感覚


正常を10とする方法で[採点法]が使われ、各自基準値をつくってよい。
触覚


感覚鈍麻
感覚消失
感覚過敏
異常感覚 綿や筆で皮膚に軽く触れる。それが分からない時は少しなでるようにする。主観的なテストであり、患者には触れたらすぐに「はい」というようにさせる。時々実際に触れないでさわったかどうか聞く。基準を顔(三叉神経で脳幹であるため)としても分かりやすい。
異常感覚・・・触っているだけなのに痛いとかいう。
痛覚 鈍麻、消失、過敏 安全ピン、針で皮膚を軽くつついて検査する。なるべく同じ力が加わるようにする。
温度覚 鈍麻、消失、過敏 40~45℃くらいの温水と10℃くらいの冷水により[温かい]、[冷たい]と答えさせる。
部位感覚 部位失認、消失 どんな感じがしたか?どこが刺激されたか?
深部感覚 関節覚
位置感覚
閉眼させ、四肢を受動的に一定の位置にさせ、患者にその位置を言わせるか、反対側の上下肢で真似をさせる。
振動覚 鈍麻、消失 振動数の少ない音叉を胸骨など飛び出している骨に当てぶるぶる震えているか聞く。目を閉じて振動が止まったら、「はい」と答えてもらう。
深部痛 アキレス腱、ふくらはぎ、睾丸などを強く把握すると痛みを感じる。痛みの過敏、鈍麻、消失で病気。
複合感覚 2点識別覚 コンパスで2つの刺激を識別できるかどうか。
皮膚書字覚 皮膚に0~9の数字や○△×を書く。頭頂葉の障害
立体認知 物を握らせて当てさせる。高次脳機能の障害
2点同時刺激 左右の対称的2点を同時に同じように刺激




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