石冢雄人のナイチンゲール・カンパニー

2005/11/26(土)00:56

折りたたまれてしまった世界

世界(91)

世界はいつのころからか、折りたたまれてしまった。「日常」はその裏にさまざまな残酷や陰惨を隠すが、それらを巧妙にろ過してきた社会というシステムがほころびてしまったためだろうか。世界は今日も明朗で何事もなくたいらかに滑り流れるが、何かが欠落する。たしかに両の手の指を端から順番に折りたたみ数え上げてみると、10本あるはずなのに、いつだって「9」しか認識されない様に、たしかに、何かがいつでも抜け落ちるのである。 いつのころからだろう。…こうしてわたしは、T.S.エリオットがあの卓抜で残酷な詩で描き出そうとこころみた世界をおもうのだ。「荒地」という詩が予兆して見せた、あの世界を。すっかり裏側だけになってしまった日常というものを。折りたたまれた世界には豊穣があったが、いまのこの世界にはゲーム(ルール)があるだけだ、と。そして、あらためてかんがえる。 折りたたまれてしまった世界を、すっかり元に戻す方策を考えよう、と ┌|∵|┘

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