カテゴリ:保険
損害保険会社に続き、生命保険各社の保険金不払いが問題になっています。各社の調査はまだ終わっておらず不払いの件数や金額は今後さらに増える可能性があるようですが、4/13に各社が公表している調査結果(各社のホームページで確認することができます)から、不払いの具体的事例として目立ったものを取り上げてみました。
■手術給付金の支払い漏れ 保険金を請求する場合は医師の診断書を提出が求められますが、その診断書の手術欄以外の経過欄などへ記載された内容の見落としによる支払い漏れなど ■三大疾病特約などの特定疾病保険金の未払い 入院給付金請求の診断書に記載された病名から、三大疾病など特定疾病保険金の支払要件に該当すると判断できるにも関わらず、請求案内などを怠り支払っていなかった ■入院給付金の支払い漏れ 診断書の入院期間欄以外に記載された情報の見落としや誤読、入力ミスによる支払い漏れ。また、死亡前の入院給付金の支払い漏れなど ■通院給付金の支払い漏れ 通院特約が付加された契約だが、契約者から通院給付金の請求が無いために通院給付金を支払っていなかったケースや、診断書の通院欄の記載を見落としてしまったケース ■保険金・給付金以外の支払い漏れ 保険料の支払いをやめた契約者への失効返戻金や解約返戻金、保険金の支払いが遅れた場合の遅延利息の支払い漏れ 「不払い」はその原因により、(a)保険金の請求をしているが、告知義務違反や免責事項などを不当に適用され支払いを拒否されることによる「不払い」、(b)請求がないために支払われていない「未払い」、(c) 請求はあるものの複数の保障についての請求がないために支払われていない「支払い漏れ」、(d)生保の事務的ミスなどによる「誤払い」や「支払い漏れ」、に分けることができると思います。 今回の不払いの原因は (c)と(d) によるもので、保険契約者側からすれば、とりあえず診断書を提出して保険金や給付金の請求をしているのですから、よもやもらい忘れ(生保からすると支払い漏れ)があるなどとは思わないケースが多いようです。これらは請求の際に提出される診断書のチェックや、加入者への請求漏れの確認や案内をすることで防ぐことができたものと思われ、とても残念です。「保険金の支払い」を軽視してきた保険会社の姿勢が見えます。 さて私たち契約者が保険金の不払いを避けるためには、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。 一番大切なことは、自分がどんな保険に加入しているのか、保険内容を把握しておくことです。ひとつの保険でも「主契約」に「特約」を付加することで様々な保障が付いている場合があります。加入している「特約」の内容についても確認しておきましょう。保険契約の内容については、保険証券や毎年送られてくる「ご契約内容のお知らせ」などに記載されています。複数の保障が組み合わさった複雑な保険契約で解り難い場合は、保険会社に問い合わせるなどしてしっかり確認しておきましょう。 一般的な生命保険の基礎知識については、生命保険文化センターのホームページでも調べることができます。 仮に月1万円の保険料を30年払うとしたら360万円。一度に支払うことが少ないため気付きませんが、保険は意外と高い買い物です。勧められるまま安易に加入してしまうことなく、納得できるまで説明を求め、信頼できる会社・営業担当者とお付き合いしたいものです。 現在、生命保険会社では追加支払いの可能性のある契約者に向けて、確認や手続きの案内を通知しているようですが、該当する可能性のある方は今一度確認してみて下さい。疑問があれば、各社、問い合わせ専用のフリーダイヤルが準備されているようですから問い合わせてみましょう。 (社)生命保険協会 、生保各社のホームページでは、調査結果と共にチェック体制強化など支払いの際のルール整備や社員教育、契約者への説明や情報提供の充実、わかりやすい商品への見直しなど、再発防止に向けた取り組みも発表されています。契約者の立場に立ったシステム作りが待たれます。 (エフピー・パートナーズ/ライフプランアドバイザー 西川育恵) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年05月31日 09時33分42秒
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