J・陸上戦闘機

中島 夜間戦闘機「月光」
gekkou

---------------------------------------------------------------------

 昭和13年、13試双発陸上戦闘機として開発がスタート。昭和17年正式採用。
 試作1号機は昭和16年3月に完成したが、過重や飛行安定性の不足などの問題を抱え、それが解決されないまま、ひとまず二式陸上偵察機として採用された。
 その後、中央の反対を押し切って251空司令だった小園安名中佐(当時)が試験的に斜め上方(又は下方)に固定した機銃を装備した夜間戦闘機型を製作、南方戦線での大型爆撃機迎撃に大きな戦果を挙げたため、海軍は昭和18年に斜め銃を装備した機体を改めて夜間戦闘機「月光」として採用した。
 「月光」は当初偵察機として採用されたように戦闘機としては能力不足であったが、斜め銃装備型が大型爆撃機迎撃に威力を発揮したためB-17や B-29迎撃に多く使用された。しかし、高高度を飛来するB-29に対してはあまり効果があったとはいえず、レーダーの開発の遅れも影響して本土防空では目立った活躍は出来なかった。なお、一部の機体は特攻機としても使用された。

---------------------------------------------------------------------

機体詳細データ(夜間戦闘機「月光」一一型[J1N1-S])
全長 12.13m 全高  4.56m
全幅 17.00m 翼面積 40.00m2
自重 4,562kg 最大重量 7,527kg
最高速度 504km/h(高度5,840m) 上昇限度 9,320m
航続距離 2,547~3,778km プロペラ ハミルトン定速3翅
発動機 中島「栄」二一型空冷複列星形14気筒 公称1,100馬力×2基
乗員数  2名
武装 20ミリ機関砲×4、250キロ爆弾×2

三菱 局地戦闘機「雷電」
雷電

---------------------------------------------------------------------

 昭和14年に海軍の十四試局地戦闘機として開発がスタート。昭和18年正式採用された。
 海軍が出した高速重武装の要求に答えるため、当時使用可能なエンジンの中では出力が最大の大型エンジンを搭載したためズングリした形となった。部隊配備当初は大きなエンジンによる視界不良やエンジンの不調などで操縦士には評判が悪かったが昭和19年以降B-29の迎撃任務で初めてその真価を発揮して、傑作機と認められた。しかし、残念ながら製造着手が遅かったため、工場は爆撃で破壊され、少ない生産機数では戦局を挽回するには至らなかった。

---------------------------------------------------------------------

機体詳細データ(局地戦闘機「雷電」二一型[J2M3])
全長  9.70m 全高  3.87m
全幅 10.80m 翼面積 20.00m2
自重 2,490kg 最大重量 3,440kg
最高速度 610km/h(高度6,000m) 上昇限度 11,000m
航続距離 約1,900km プロペラ VDM定速4翅
発動機 三菱「火星」二三甲型空冷複列星形14気筒 公称1,575馬力×1基
乗員数  1名
武装 20ミリ機関砲×4、60キロ爆弾×2

九州 局地戦闘機「震電」
震電
---------------------------------------------------------------------

 速度の向上を最大の目標として進歩してきた戦闘機は、低翼・単葉・牽引式(前部にプロペラがある)の形式が固定化してしまい、この形式から脱皮しなければ時速700km/h以上の高速を突破するのは難しいという意見が昭和15年頃から世界各国の技術陣・軍部などから強く出はじめた。日本でも例外ではなく、新しい形式として双胴推進式と先尾翼(後部にプロペラのある推進式)の機体の開発を進めることになった。
 海軍では昭和19年に空技廠と九州飛行機に共同での先尾翼式の局地戦闘機を18試局地戦闘機として開発指示し、戦局の悪化にもかかわらず昭和20年7月に試作1号機が完成した。同年8月12日には試験飛行に成功し、増加試作の計画も進められたが、わずか3日後に終戦をむかえ、この特異な形をした戦闘機の真価を世に問うことは出来なかった。

---------------------------------------------------------------------

機体詳細データ(局地戦闘機「震電」[J7W])
全長  9.76m 全高  3.55m
全幅 11.11m 翼面積 20.50m2
自重 3,465kg 最大重量 5,228kg
最高速度 750km/h(高度8,700m) 上昇限度 12,000m
航続距離 1,000~2,000km プロペラ VDM定速6翅
発動機 三菱ハ43-41(MK9D)空冷複列星形18気筒 離昇2,130馬力×1基
乗員数  1名 武装 30ミリ機関砲×4、60キロ爆弾×4または30キロ爆弾×4

三菱 局地戦闘機「秋水」
秋水
---------------------------------------------------------------------

 昭和19年7月、同盟国であるドイツとの技術交換協定により、 メッサーシュミットMe163の設計図を海軍の潜水艦輸送により入手した軍部は、ただちに陸・海軍及び民間技術陣によるロケット戦闘機の協同開発に着手した。
 急ピッチで開発を進めた結果、昭和20年7月に海軍側の試作機が完成したが、試験飛行の際にロケットエンジンが故障し、不時着大破したため海軍側の開発はストップしてしまい、陸軍も相次ぐ故障に試験飛行を見合わせているうちに終戦となってしまった。
 実用化が半年早ければB-29迎撃に威力を発揮したのではないかと言われるが、ドイツでのMe163の運用実績を見る限りでは、飛行時間の短さと大編隊の敵機を相手にするには充分な数が揃えられない日本の国力から見て焼け石に水であったであろうと思われる。

---------------------------------------------------------------------

機体詳細データ(局地戦闘機「秋水」[陸軍:キ200、海軍:J8M1])
全長  5.95m 全高  2.70m
全幅  9.50m 翼面積 17.73m2
自重 1,505kg 最大重量 3,000kg
最高速度 800km/h(高度10,000m) 上昇限度 12,000m
飛行時間 高度1万mまで上昇後、3分強 プロペラ なし(ロケット推進)
発動機 KR-10(特呂二号)薬液反応ロケット 離昇時推力1,500kg×1基
乗員数  1名
武装 30ミリ機関砲×2

川西 局地戦闘機「紫電」
紫電
---------------------------------------------------------------------

 海軍は、先に採用していた十五試水上戦闘機「強風」を陸上機に改造して、必要にせまられていた局地戦闘機として早急に完成させることを決定した。そこで昭和16年に川西航空機に指示を出し、約一年後の昭和17年12月に試作1号機が完成した。
 しかし、独創的な機構や自動空戦フラップの不具合などで改修に時間がかかり、ようやく昭和19年10月に「紫電」として正式採用された。戦局の急迫により未完成のうちから量産に入ったため、実戦部隊では動力と脚関係の故障に悩まされたが、その反面自動空戦フラップのおかげで空戦性能は極めて良く、操縦士には好評で迎えられ、本土防空の要として対戦闘機戦に活躍した。

---------------------------------------------------------------------

機体詳細データ(局地戦闘機「紫電」一一乙型[N1K1-Jb])
全長  9.35m 全高  3.96m
全幅 12.00m 翼面積 23.50m2
自重 2,657kg 最大重量 4,860kg
最高速度 594km/h(高度5,000m) 上昇限度 10,760m
航続距離 1,000~2,000km プロペラ VDM定速4翅
発動機 中島「誉」二一型空冷複列星形18気筒 公称1,825馬力×1基
乗員数  1名
武装 20ミリ機関砲×4、250キロ爆弾×2

川西 局地戦闘機「紫電」改
紫電改
---------------------------------------------------------------------

 「紫電」一一型の欠点である視界や脚関係の不備を改良するため海軍は、昭和18年に川西航空機に対して改良設計の指示を出した。
 主翼にはあまり手を加えず胴体のみを再設計した機体が昭和19年に完成し、ただちに審査され昭和20年1月に「紫電」二一型、別称を「紫電」改(N1K2-J)として採用された。
 時すでに遅しの感はあったが、実戦部隊は「零戦」以来久しぶりに高性能戦闘機を手にして士気は大いにあがった。海軍は本土防空決戦には本機を主力とすることに決めたが戦争末期の生産力低下は如何ともしがたく生産機数は少ない。
 しかし、最精鋭操縦士をあつめた松山の剣部隊(343空)は「紫電」改装備の防空戦闘機隊で、昭和20年春の配備以来、米機動部隊の艦載機に対して大きな戦果を挙げる活躍をしたことは有名である。

---------------------------------------------------------------------

機体詳細データ(局地戦闘機「紫電」改(「紫電」二一型)[N1K2-J])
全長  9.35m 全高 11.99m
全幅  3.96m 翼面積 23.50m2
自重 2,657kg 最大重量 4,000kg
最高速度 596km/h(高度5,600m) 上昇限度 10,760m
航続距離 1,715~2,392km プロペラ VDM定速4翅
発動機 中島「誉」二一型空冷複列星形18気筒 公称1,825馬力×1基
乗員数  1名
武装 20ミリ機関砲×4、250キロ爆弾×2



© Rakuten Group, Inc.