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カテゴリ:経済問題
今日(24日)は、トルコ経済関係に関する特に重要と思われる記事として、昨年から来年に架けてのトルコの経済成長予測に関する記事が出ていました。昨日は国際信用格付け会社フィッチ・レーティングス社によるトルコ経済の見方に関する記事を紹介しましたが、今日はムーディーズ社による予測記事を紹介します。また、最近のリラ安に関する記事が出ていました。トルコ中央銀行(TCMB)による預金準備率の引き上げと絡めて紹介します。 社会面では、コジャ保健大臣のインタビュー記事が出ていましたので、今日はこちらを紹介します。それ以外では、33件で国会議員25人(CHP3人、民主党(DP)1人、HDP20人、その他1人)の不逮捕特権剥奪請求の依頼が検察庁からトルコ国会議長宛に出されたという記事が出ていました。現在、600人のトルコ国会議員の内の15人が欠員となっており、更に15人が欠ける(定員の5%のようです)と「補欠選挙」が行われることになります。一方で、「不逮捕特権剥奪」になっても起訴されるだけで、有罪判決が確定して、国会で議員資格喪失の採決(過半数)を行って初めて国会議員資格がなくなるため(ベルベルオール氏の事件から、管理者はそう理解しています)、相当な時間を要します。普通なら、刑が確定するまでには2、3年はかかると思いますし、このブログでも何度も紹介しているよう「4年以上も無決拘束されている人」もいます。が、反対に、超スピード裁判で半年後に刑が確定するかもしれません。しかし、ベルベルオール氏に対する憲法裁判所判決の例もあるように、最終的に憲法裁判所で判決がひっくり返る可能性がないわけではありません。そう考えれば、今から不逮捕特権剥奪の決議を行っても、補欠選挙が実施できるまでには相当な時間がかかりそうな気がしますので、いくら小細工?をしても、結局予定どおりに、「2023年6月に総選挙(と大統領選挙)を実施する」ということになるような気がします。そうなれば、「憲法改正をしてから、大統領選挙を行う」という目標は達成できないことになります。憲法裁判所判事の構成が今後どうなるか分かりませんが、現時点では、検察庁や下級裁判所のように、「政権に極端に媚びる」という状態ではなく、それなりに合理的な判決を行っているように思えます。これ以外では、シリア及びイラクと国境を接しているシュルナク県で、政府に近いと言われているメームル・セン(国家公務員労働組合)の呼びかけで、PKKによって13人が虐殺された事件に対する抗議デモが行われたという記事が出ていました。何千人規模(ひょっとすると1万人を超えている可能性もあります)の非常に大きく、かつ密集したデモ行進が行われましたが、イズミル県では高校に対しても、「AKP党大会に生徒の参加を歓迎する」という通知を送って人集めに奔走したようですが、シュルナクでは労働組合に対して「デモ行進の実施を推奨」したのかもしれません。それ以外では、FETOやDEASに対する捜査、イスタンブルのダム貯水率の上昇に関する記事なども出ていました。 今日、アナトリア通信(AA)に出ていた主な記事の見出しは下のとおりです。(今日は1~3の記事を紹介します。) 1 ムーディーズ社はトルコの成長率予測を上方修正した 2 ドル/TL相場は1ドル=7.12TL水準となっている 3 コジャ保健大臣は、『こんな時期でも、トルコ国民の頭を混乱させようとし、政治問題に引きずり込もうとする人たちがいる』と発言 4 TBMM(トルコ大国民会議、トルコ国会)に通知された33件の決議案で、累計28人のHDP所属国会議員に関する不逮捕特権剥奪の要求 5 シュルナクでガラ事件犠牲者のためにPKKに対する抗議行進が行われた 6 ハク・イシ(労働組合連合会)は、無賃金休暇の適用を正常化とともに廃止するよう求めた 2月24日(最初の患者確認から351日目)付け「トルコの日々のコロナウイルス統計」から新型コロナウイルス(KOVID-19)の感染状況を紹介します(なお、保健省から発表される統計には、明確な矛盾が明らかになっているため、必要最小限度の紹介にとどめています)。 今日の検査件数: 12万4,015件 今日の死者数: 72人 今日の完治者数: 5,297人 今日までの累計完治者数: 254万293人 今日までの累計検査件数: 3,268万4,747件 今日までの累計感染者数: 266万5,194人 今日までの累計死者数: 2万8,285人 重症患者数: 1,200人 今日も新規感染者の増加が続き、また、重症患者数も明確に増えました。1,2週間前に起きた何らかの事件により、増加に転じた可能性が高そうです。
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今日、最初に紹介するAA記事の見出しは、「ムーディーズ社はトルコの成長率予測を上方修正した」で、今日(24日)付の記事です。一部省略して紹介します。 国際信用格付け会社ムーディーズ社から発表された「世界経済見通し2月号」によれば、以前同社が、トルコ経済は2020年にマイナス5%の成長になるとの予測を、1.1%のプラス成長に上方修正しました。同報告書では、更に、トルコ経済の成長予想を、2021年には3.5%から4%に、2022年には4%から5%に、それぞれ上方修正しました。 「G-20加盟国は、成長に復帰する。しかし、2021年は景気回復が一通りではない。全G-20加盟国でGDPは昨年を上回るものと我々は予測しているが、いくつかの国では設備稼働率が完全に復帰するまでには時間を要する可能性がある。その点では、流行対策と同様に、財政政策及び金融政策も重要な役割を果たす。」との表現が使われた同報告書において、G-20平均で2021年には5.3%、2022年には4.5%水準の経済成長を見込んでいること、ユーロ圏の経済成長は、今年は3.7%で、来年は3.9%水準になることを予測していると強調されました。
今日、2つ目に紹介するAA記事の見出しは、「ドル/TL相場は1ドル=7.12TL水準となっている」です。これも今日付の記事です。こちらも抜粋して紹介します。 昨日、ドル/TL相場の最安値(リラ高)は1ドル=7.0350TLで、最高値(リラ安)は1ドル=7.1400TLとなり、昨日、前日終値から1.2%上昇して1ドル=7.1057TLで取引を終了しました。 ドル/TL相場は、今日、上昇(リラ安)して寄り付いた後、10:00現在前日終値から0.3%上昇(リラ安)して1ドル=7.1240TL水準で取引されています。 ここからは一言解説・雑感です。「ここ数日間のリラ安の理由は、再び、ベラート・アルバイラク前国庫・財務大臣だ」という説があります。つまり、クルチダルオールCHP党首を始めとする野党が、「中央銀行外貨準備の1,280億ドルは誰に売ったのか。アルバイラク前国庫・財務大臣はどこだ」という“口撃”しているのに対して、エルドーアン大統領が、「アルバイラク前国庫・財務大臣の成功を妬んでの、怨嗟発言である」と言ったのを始めとして、AKPから同前大臣の功績をたたえる発言が続いていますが、そこを捉えて、「再び金融政策が不安定化するのではないかという懸念を誘ったため、トルコ・リラ相場が急に下落し始めた」という説明です。単なる偶然かもしれませんが、今日、中央銀行が行ったトルコ・リラ預金に関する預金準備率の引き上げが官報告示されました。今は金利は引き上げられないので、「トルコ・リラの預金準備率を2%(200ベーシスポイント)引き上げた」という見方も出ています。
今日、3つ目に紹介するAA記事の見出しは、「コジャ保健大臣は、『こんな時期でも、トルコ国民の頭を混乱させようとし、政治問題に引きずり込もうとする人たちがいる』と発言」です。これも今日付の記事です。こちらも抜粋して紹介します。 ファフレッティン・コジャ保健大臣は、国会で新聞記者の質問に答えました。 クルチダルオールCHP党首が「中国から来た100万回分の無料ワクチンを国家調達オフィスに対して、1回分につき12米ドルで請求された」という主張していることに関する質問に対して、同大臣は「残念ながら、こんな時期でも、トルコ国民の頭を混乱させようとし、政治問題に引きずり込もうとする人たちがいる。この意味で、国民に説明できないことなど何もない。私は、このようなアプローチ、振る舞い、一体性と統一性を破壊してしまうこのアプローチを、倫理的だと思わない。説明できないようなことは何一つない。ワクチンの詳細に関しても、国民の頭を混乱させたいと思う人への回答として、明日、記者会見で国民に対する説明を行う。」と述べました。 「参加した葬儀で、社会的距離に関するルールに従わなかったとの批判が存在するが、この問題についてどう回答するのか」との質問に対して、同大臣は、「私は、葬儀において、あのような形で社会的距離がなくなる状況となることを予測できなかった。予測すべきであっただろうか。勿論、必要であった。この点は私の誤りである。この点で、トルコ国民の皆様にお詫びする。8,300万人として、全ての人が平等に自己犠牲を払いつつ、このKOVID-19の流行との闘いで貢献すべきである。つまり、閉鎖された、人が密集した状況を避けるように努力しなければならない。」と述べました。 ここからは一言解説・雑感です。大臣は、ワクチンを巡る不正蓄財疑惑について、きっぱり否定しているように見えます。一方で、「30人まで」としている葬儀に対して、100倍の3,000人が集まったのではないかと思われるほど大混雑した葬儀に参加したことを素直に謝罪し、かつ、野党から総批判・総攻撃されている「AKPの県別党大会」などに関して、質問される前に答えを言っている状態になっています。ある意味で、「明らかなエルドーアン大統領批判」ともとれるのですが、 県別の感染者数は発表されていないと思いますが、新規感染者数が2月21日の6,546人から24日には9,561人に激増(3千人以上、約46%)していることと関係があるかもしれません。本当の数字を発表するかどうかは分かりませんが、正常化の目安として「県別の10万人当たりの感染者数」を発表することにしたので、AKPが県党大会や婦人部会などを実施した場所で感染者が激増した場合には、格好の標的となることは明らかです。
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Last updated
2021.02.26 10:38:52
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