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カテゴリ:社会問題
今日(18日)は土曜日だったためか、経済面でも社会面でも、重要と思われる記事はあまり出ていませんでした。
また、今日も「(AAでは)記事にならない情報」は、話題の中心は「最低賃金の発表と政策金利引下げが引き超したリラ暴落と株式市場暴落」でした。 昨日は、エルドーアン大統領の目的について、「『大統領選挙に勝つための作戦』ではなく、『アタテュルク初代大統領を超えて、史上最強、最高の大統領であることを証明するための実証実験』だという結論に達しつつあります。(中略) 『普通の方法では経済回復は不可能で、大統領再選も不可能。したがって、一発逆転の大勝負(常識の真逆を行く、世界で唯一、エルドーアン大統領だけが提唱している“金利が原因で、インフレは結果”を証明して、世界で最も賢い大統領であることを証明する)に出た。』ということではないかと思います。」と紹介しましたが、もう1つの可能性を忘れていました。「リラ安を故意に引き起こしている」という可能性です。 この可能性はかなり濃厚で、以前も「確信犯」として紹介したことがありました。そのため、「リラ安を望んでいないのであれば、0.1%程度の確立ですが、本気で“金利が原因で、インフレは結果”を信じていることになる。」という趣旨の解説をしたと思います。「なぜリラ安を引き起こすのか」については、「手持ちのドル(外貨)を(リラ建てで)倍増させて、支持者にばらまく、買収するため」という解説があることも紹介しましたが、「結局、トルコ経済は暴落することになるわけで、まるまる損をすることが分かっていて、何億ドルものお金をつぎ込む人はいない」と管理者は考え、この説には納得していません。したがって、「エルドーアン大統領の発言や行動の目的は、“リラ安を引き起こすこと”自体ではなく、やはり“利下げをして、かつ、インフレを下げること”にある」ものと考えています。最近5回にわたって行われた直接介入も、外貨相場の安定を口実にして、「何億ドルもの外貨を安値で取り巻きに売却すること」を主目的として行っているわけではないことになります。(「リラ安を起こしてでも、金利引下げは実行する」ということだと思います) “リラ安を引き起こすこと”が目的なのか、それとも“「金利が原因で、インフレは結果」を証明して、世界で最も賢い大統領であることを証明すること”が目的なのか、現時点では断言することはできませんが、いずれにせよ「金利引上げは行わない」可能性が大です。経過経路、あるいは短期目標は異なっているかもしれませんが、結局は「大統領再選を実現させる」という目的はまだ失っていないものと思われます。解説者が言っていましたが、「エルドーアン大統領は変わり身が早く、どんな思想をも捨てることができる」という分析です。例えば、EU加盟(と対立)も、イスラム信仰(とその政治利用)も、FETOとの蜜月(及び敵対)、アラブ首長国連邦(UAE、BAE)との敵対(と蜜月)など、自分の都合だけで、あっさりと方針転換しているとの指摘です。そのため、「大統領再選」という目的も、いつ何時変えるかもしれません。現時点では「自分と家族を守る最高の手段が大統領再選である」と考えていることは間違いないと思いますが、それができないと悟った時点で、どんな方向転換をするかは不明です。しかし、「選挙での敗北を認めて、素直に政権を引き渡し、その後(横領・背任、収賄を始め、数々の犯罪で)逮捕・収監される」というシナリオだけは考えられないことは明らかと思われます。 昨日は、FETOによる司法クーデター未遂事件と説明されている“12月17~25日事件”の8周年でした。FETOの関与があったのかどうかは不明ですが、「収賄等の犯罪が存在していたこと」はほぼ100%間違いないと思われます。収賄側のエルドーアン・バイラクタル元環境・都市計画大臣も、贈賄側のレザー・ザッラブ氏もその事実を認めています。解説者がいうには、「AKP以前の政権も収賄などの不正をことごとく行っていたが、司法機関は機能していて、少なくとも極端な犯罪は逮捕され、有罪判決を受けていた。しかし、AKP政権では司法機関は全く機能せず、政権に都合の悪いことに関しては、犯罪の捜査も、容疑者の拘束も、当然ながら有罪判決も全く存在しない。最近の例としては、“ネバティ国庫・財務大臣の兄弟が、翌日の金融政策委員会で1%(100ベーシスポイント)の引下げ行われる”ことを明らかにして、明らかに内部情報漏えい(インサイダー・トレーディング)が行われたが、全く捜査が行われる様子もなく、当人も捜査が行われる可能性を全く恐れていない」とのことです。これまでも何度か、「エルドーアン大統領は、行政権はもとより、党の支配だけではなく、大統領令(KHK)によって立法権も掌握し、検事と裁判官の人事権を完全に握ることで司法権も掌握しているため、三権分立は存在しなくなっている(=エルドーアン大統領に集中している)」と紹介しましたが、多くの解説者が「トルコの最大の問題、諸悪の根源」として「この1局集中=新大統領制度」を上げています。現在の経済危機を克服するためには大変な忍耐と作業や犠牲も必要だが、経済復興計画の開始(=政権交代)が遅くなれば遅くなるほど経済の被害は深刻となり、復興にそれだけ時間と犠牲を要することになる。一方で、「民主主義に復帰したトルコ」に対しては、「二度とロシア寄り、中国寄りにならないよう、あるいは独裁政権が再来しないよう、アメリカやEUはありとあらゆる支援をトルコに対して行うであろう」という予測を解説者は行っていました。「貿易パートナーであり、軍事同盟の同盟国であるトルコが不安定化する、あるいは、敵対国になること」をアメリカも、EUも望まないとは管理者もある程度は考えます。しかし、諸手を挙げて協力するかどうかは、必ずしも疑問なしとしません。陰謀説的に言えば、「ハゲタカのように弱っているトルコを支配しようとする」可能性もないとは言えませんし、そもそも、「エルドーアン大統領、つまり、トルコの印象が悪過ぎて、各国の国民は当然ながら、指導者レベルでもトルコを助けることに乗り気でない国がかなり多い」のではないかと想像します。 今日は、「エルドーアン大統領の目的・手段・方法論」と「エルドーアン政権の特徴」についての分析と、(不老不死ではないため)いつかは必ず来る「ポスト・エルドーアン」時代の野党の対応策と各国の反応の予測に関しての分析を紹介しました。とは言え、現時点での トルコ国民の関心は、「高インフレと生活苦をどうなるのか」と「選挙はいつ行われるのか」にあります。別の言い方では、最貧困層の「安いパンを求める行列」と、少し豊かな層の、(頻繁に行われる)ガソリン・軽油・LPGの値上げの前の「安い燃料を求める行列(車列)」が定番になっている状態からどうやって脱出することができるのかがトルコ人の過半数の関心になっています。エルドーアン大統領は逃げ切りを図っていますが、野党はどうやってこの膠着状況を打開するのかが注目されます。
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12月18日(最初の患者確認から648日目)付けの新型コロナウイルス(KOVID-19)の感染状況を紹介します。 今日の検査件数: 34万2,183件 今日の感染者数: 1万7,644人 今日の死者数: 191人 今日の完治者数: 2万5,568人
今日、アナトリア通信(AA)には、次の記事が出ていました。今日は1と2の記事を紹介します。 1 バフチェリMHP党首は、『TUSIAD(トルコ産業家・企業家協会)と共謀者の政治家たちが反対しても、新経済政策は成功する』と発言 2 ネバティ国庫・財務大臣は、TBB(トルコ銀行協会)幹部と会談した
今日、最初に紹介するAAの記事の見出しは「バフチェリMHP党首は、『TUSIAD(トルコ産業家・企業家協会)と共謀者の政治家たちが反対しても、新経済政策は成功する』と発言」です。今日(18日)付の記事です。見出しに関連する部分のみ、抜粋して紹介します。 デヴレット・バフチェリMHP党首は行った文書による発表で、「トルコの外貨市場で作戦を行っているのは誰か。暴利を得ているのは誰か。略奪者の中心地と国はどこか。」と質問した同党首は、次のように述べました。「これらはFETOと帝国主義者の謀略として調査されると共に、価格と在庫の妨害者も緊急に明らかにする必要がある。なぜならば、問題は国家安全保障の問題になっているからである。ドルを持っているだけの債権者の謀略に降伏するようなことをトルコは絶対にしない。(この問題で)トルコの凜とした姿勢を崩すことは誰にもできない。TUSIADと共謀者の政治家たちが反対しても、新経済計画は成功する。TUSIADの問題ある発表は、クルチダルオールCHP党首がTUSIADと協力して、早期選挙を強要し、価格と外貨相場が上昇する原因となり、これを悪用する戦線を構築していることは、決意を持って対策を行うことが必要で、黙っていることは深刻な問題の原因となる下劣な行為である。」 ここからは一言解説・雑感です。解説するまでも無いと思いますが、「共和同盟の公式立場」を表しています。TOBB(トルコ商工会議所連合)、ITO(イスタンブル商業会議所)などの息のかかった人物がトップにいる組織と異なり、TUSIADは完全には自由に操れていないため、また、先日も紹介しましたが、政府を総辞職に追い込んだことがあるほど強力な組織である(あった)ため、このような反発(脅迫)を示したものと思われます。冒頭の説明の最後の方にあるように、TUSIDの会長はじめ役員も、一歩間違えれば「テロリスト、クーデター計画者」などとして捜査対象になるかもしれないという恐怖を抱えていると思いますが、それでももう黙っていられない状況、「我々は倒産の危機に瀕している」と発言するような状況に陥っているものと思われます。
今日、2つ目に紹介するAAの記事の見出しは「ネバティ国庫・財務大臣は、TBB(トルコ銀行協会)幹部と会談した」です。こちらも今日付の記事で、冒頭部分のみ抜粋して紹介します。 TBBから行われた発表では、ネバティ国庫・財務大臣はアルパスラン・チャカルTBB会長が主催した会合で、メフメット・アリ・アクベン銀行規制監査委員会委員長、トルコ参加銀行(イスラム銀行)協会会長及びTBB役員との会合を持ちました。 会合では、国際及び国内の経済問題と銀行業界の進展について意見交換が行われ、同大臣新経済計画に関する情報を提供し、銀行側の意見を聴取しました。この会合の目的は、健全で、安定した成長成果を実現するためであることが明らかにされました。 ここからは一言解説・雑感です。ここも解説する必要は無いと思いますが、実際には政府側からの要請、もっと言えば、指示があったものと思われます。つまり、「貸出金利を引き下げろ。外貨を買うな、手元の外貨を売れ。」だと思われます。銀行業界側も正面切って要求を拒否することはしないと思いますが、ハイパーインフレが予測されている状況下で、金利を引下げ続けることや外貨を売ってリラを買うことは、特に民間銀行にはできる話ではなく、「努力します」なり、「ここはやります」と一部譲歩した(言うことを聞いた)だけだろうと考えられます。
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Last updated
2021.12.19 21:04:29
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