堀古英司の「米国株式の魅力」

2007/10/31(水)18:18

第206回 サブプライム問題の次は。。。

米国株式の魅力(29)

 私はファンドマネジャーとして日頃、市場が今何をどれだけ怖がっているか、または怖がっていないか、何をどれだけ期待しているか、していないか、を出来るだけ把握するようにしています。何故なら、市場がビクビク怯えているような時は実は投資のチャンスであり、逆に期待が不安を上回っている時にはバブルが形成されており、売却を考えなければなりません。このビクビクや期待を表すものが金融用語ではリスクプレミアムであり、理論的にも 株式の期待リターン=無リスク(国債)金利+リスクプレミアム と、株式のリターンを左右する重要な要素とされています。  人間は見えない物を怖がります。幽霊はその良い例です。サブプライム問題は株式市場にとって「得体の知れない」という点では幽霊であり、市場を怖がらせるには格好の材料でした。しかしその幽霊が、実は光の反射だったり、鼠の足音だったりと、正体が分かると怖いものではなくなります。今年はこのコラムでも、楽天証券の講演会でも、半分以上をサブプライム問題に割いてきましたが、これは皆さんに「幽霊の正体は実はXXである」事を知っていただきたかったからです。そうすれば、8月のような株価急落があっても怖がる必要はなく、むしろ投資の好機にできると考えたからです。  ここに来て、市場はかなりサブプライムという幽霊の正体が分かってきた感があります。度々解説させていただいた通り、ハイテクセクターなどはもともとサブプライムからは一番遠い業界なのですから、現在バブル崩壊後の高値を更新しているのは当然の動きだと思います。しかし今、私は「サブプライム問題の次」を考えています。それは 第196回 「ババ抜き」で勝つために (2007年5月28日)でご紹介した問題です。このコラムで私の運用するファンドで空売りしている一部金融株についてご紹介しましたが、この金融株は記事を書いた5月28日以降 55%以上下落し、今日も7年ぶりの安値を更新中です。これら一部の会社がまだ爆弾を抱えた状態のままである事を象徴しているのだと思います。  他の金融機関ならまだしも、このような会社が資本不足に陥ったらどうなるかというのは、実は市場ではあまり知られていません。恐らく債券市場はパニックに陥るでしょう。債券市場がパニックに陥って、最後のリスクの担い手である株式市場が無事である筈はありません。市場が「幽霊」の正体を把握するのに時間がかかれば最悪の場合、8月のような株価急落という事もあるかもしれません。問題は現在、市場がそのような事が起こる可能性、そしてそのショックの規模を殆ど想定していないと見られる事です。  現時点でそのような状況が実際に訪れるかどうかは分かりません。少なくとも今、あちこちでそのようなショックを極力避けようとする努力がなされています。しかし実際に避けられるかどうかというのは別問題です。当面我々にできるのは、少なくとも国債以外の債券には手を出さない事、一部金融関連株に近付かない事、そして爆弾に火が付き始めたら市場の動きに逆らわない事だと考えています。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る