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2007.11.27
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カテゴリ:ウォール街から
 我々がサブプライム問題が株式市場に与える影響について検討し始めたのは昨年の事でした。当コラムで度々ご紹介してきたCDO(債務担保証券)という仕組金融商品はそもそも大きな問題を内在しています。市場全体に問題が顕在化してきた際、どのようにすればポートフォリオに与える悪影響を少しでも軽減できるか、即ちどの銘柄の空売りポジションを保有しておくべきかというのがテーマでした。

 CDOの組成には様々な業者が関わっています。住宅ローン会社、証券会社、銀行、格付け会社、債券保証会社などです。殆どの業者に共通なのは、CDOの組成、販売に当たって報酬が「前払い」される事です。組成して売っ払うだけで収入が懐に転がり込んでくるので、後がどうなろうと(住宅ローンが債務不履行になろうと)お構いなし、となりやすい仕組がそもそも出来上がってしまっていたのです。

 一昔前の住宅ローンのシステムであれば、銀行は住宅ローンを貸して、それを10年も20年もバランスシートに載せる事になる訳ですから、そのローンが不履行にならないか、事前に慎重に審査してから貸出していたはずです。審査が甘くて不履行となれば、結局損失を被るのは銀行自身であるからです。

 しかし今のシステムは違います。審査をする人と、ローンが不履行になって損失を被るのは別人です。そして審査をする人の収入がローンの金額に比例して前払いされる今のシステムの下では、審査を厳重にするよりも、ローンの金額を増やす事に重点が置かれる事になってしまいます。審査書類を改ざんしたり、不動産鑑定士を脅して高い鑑定評価を付けさせたりしていたのはその典型でしょう。

 そのようないい加減な審査を経て貸し出された住宅ローンを証券化したものなのに、何故世界中の多くの投資家が手を出してしまったのでしょうか?それはCDOという近年発達した金融技術によって、その大半にトリプルAという最高格付けが付与されていたからです。絶対に不履行とならない(はずの)トリプルA債券に投資できる投資家は世界中に沢山います。逆に投資家はトリプルAさえ付いていれば、その中身はお構いなしに投資してしまっていたのです。

 ムーディーズ、S&P、フィッチなど大手格付け会社は債券について「意見を述べる」のが仕事です。債券を保証してくれるのではありません。にも拘らず、投資家はこれら大手の格付けを妄信してしまっているのが現状です。逆にCDOのように、裏付けとなる債権が何千件にも及ぶような証券については格付けを信用するしかなかったというのもあると思います。私はこの、格付け会社と投資家の認識のギャップはいずれ大きな問題になると考えていました。

 格付け会社の「意見」が誤りであると分かった時、格付け会社は大きく信用を失います。信用を失わないよう、通常なら少しでも厳しい格付けをしようとするはずです。しかし他の債券に比べて手数料の高いCDOの格付け業務というビジネスが舞い込み、しかもその手数料の大半が前払いされるというシステムであったらどうでしょう。格付け会社も民間会社です。格付けを少々甘めにしても、CDOの格付けビジネスを増やす事に重点が置かれる環境にはなっていなかったでしょうか?





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最終更新日  2007.11.29 17:13:00


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