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堀古英司の「米国株式の魅力」

2008.12.19
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カテゴリ:ウォール街から
 それは単なる一つの大きな嘘だった --- 先週、5兆円近くに上る証券詐欺の容疑で逮捕されたバーナード・メイドフ氏は逮捕の2日前、会社の幹部にこう「告白」したとされています。投資家に高いリターンを謳って資金を集め、その資金を既存の投資家のリターンに回す事を繰り返す投資詐欺で、アメリカではポンジ・スキームと呼ばれます。ポンジは 1920年代に同様の投資詐欺で有名になったチャールズ・ポンジという人の名前に由来しています。日本では八葉物流やエビの養殖、円天などで有名になりましたので多くの方がご存知だと思います。先週の事件発覚以降、ウォール街はこのニュース一色になっています。

 ポンジ・スキームは投資詐欺の中でも最も単純なものと言えます。しかし古くは1920年代にまで遡る事で分かる通り、残念乍ら、この手の詐欺は現在のアメリカでも当局に登録していない業者等でしばしば起こっているのが現状です。ただ、「100年に一回」と言われる史上最大の規模である事、メイドフ氏は元ナスダックの会長で、自身が市場のルールを策定し監督する立場であった事、最終的にはSEC(証券取引委員会)登録の業者となっていた事から、この事件はウォール街がひっくり返るほどのショックを与える事になりました。

 ファンドは通常、年に一回監査を受けます。特に最近、ファンドの監査は厳しい事で知られており、ファンドの監査で不正が見過ごされる可能性は低いと考えられています。しかし今回の場合は、メイドフ氏傘下の証券会社が虚偽の運用資産報告に加担しており、証券会社の監査法人は故意か過失か、この不正を見過ごしていたようです。この監査法人の従業員は非常勤で70代後半の老人、秘書ともう一人の3人だけだったと伝えられています。

 これに加えて最近明らかになってきているのは、数十年間ほぼ月1%づつの安定したリターンを上げるメイドフ氏の運用を不審に思った人物が2000年以降、SECに幾度となく調査を求めていた事です。実際SECは2006年に調査に踏み切ったものの、不正が見抜けなかったという結果になっています。このような失態が重なって今回の巨大投資詐欺事件に発展してしまったという訳です。

 2001年エンロンは自社株が下落しなければ粉飾決算は発覚しなかったでしょうし、2002年ワールドコムもハイテクバブルが崩壊しなければ不正会計は明らかにならなかったかもしれません。サブプライム問題も元はと言えば、勤務先を偽ったり、信用力を示す点数を書き直したり、不動産鑑定士が意図的に高い評価をしたりという、小さな詐欺の積み重ねに端を発しています。そして住宅市場が右肩上がりを続けている間は問題が表面化する事はありませんでした。今回のポンジ・スキームも株式相場が堅調で、ファンドが解約されるまで表面化する事はなかった事でしょう。そういう意味ではこれもバブルの崩壊過程で起きる典型的な事件の一つなのかもしれません。

 我々の眼から見れば、登録アドバイザーが証券会社を巻き込んでこのような巨額の詐欺を働くという事件が再発する可能性は低いと見られます。しかしそのような見方とは別に、投資家心理が先行する形で、当面ファンドに対する不信が市場を覆う可能性は否定できません。リーマン破綻に端を発する急落相場は米国大手金融機関の年次決算のタイミングで一旦底を見ると見ていましたが、こうなると少し「延長戦」も覚悟しなければならないと考えています。






最終更新日  2008.12.19 19:17:51


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