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2016.12.14
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大統領選挙では共和党のトランプ氏が勝利し、さらに議会も上院・下院とも共和党が過半数を取ったため、2017年、公約であった減税が実施される可能性が高くなっています。現在、アメリカ(連邦)の個人所得税の最高税率は39.6%ですが、投資所得に関してはこれに3.8%が上乗せされ43.4%となっています。例えばニューヨークのマンハッタンに住んでいると、これに8.82%の州税と3.876%の市税が加算され、合計56.096%の税金がかかります(但し1年以上の長期投資所得は軽減税率が適用)。

2017年はこのうち、連邦所得税率が39.6%から33%に引き下げられると見られています。また投資所得に対する3.8%はオバマ大統領の下で成立した医療保険制度「オバマケア」開始と共に導入された税であるため、廃止される可能性が高くなっています。即ち、今年いっぱい43.4%という個人所得税の最高税率は、2017年には10%ほど低下し、33%になる見込みです。もちろん減税が成立するには新政権が誕生し、両議会が承認、大統領の署名を経る必要があるので時間もかかりますし、成立する保証もありませんが、既に市場ではそれを先取りする動きが起こっています。それは2016年初来株価騰落率がマイナスの「2016年敗者株」を売る、という動きです。

アメリカでは株式の売買で実現損が出た場合、3,000ドルを上限に通常所得と相殺することができます。また他の銘柄で出た実現益と相殺することもできます。例えば56%の税金を払っている人が短期の株式売買で3,000ドルの実現損を出した場合、1,680ドルの節税効果があることになります。しかしこのように比較的大きな節税効果があるのは恐らく今年までで、2017年に税率が10%下がるとすれば、1,380ドルの節税効果でしかなくなります。他の銘柄で出た実現益と相殺するとすれば、金額によっては桁違いの節税効果を得ることができる状態で、このメリットを受けるには、12月末までに「2016年敗者株」を売らないといけないのです。

12月末まで、相対的に「2016年敗者株」を売ることが有利な状態なので、実際に市場でもそのような動きは出ています。ただ、今年は特に大統領選挙以降、株式市場全体は堅調なので、比較的「2016年敗者株」が少ない状態なのです。これによって「2016年敗者株」が希少価値化し、実力以上に売られやすい状態になっているはずです。例年、税金対策として12月末までに実現損を確定する売りが増え、年が明けた途端にそのような売り圧力が無くなるため株価が上昇する「1月効果」という動きは見られます。しかし今年に限っては2017年に減税が実施される可能性が高いので、1月効果が例年以上に強く出てくる可能性が高いのです。そしてこのように1月効果が強く出る機会は滅多にあるものではありません。

これは企業の業績やファンダメンタルズ、即ち企業価値に全く関係の無い話で、単に税制変更によって投資家の都合によって短期的に需給が歪み、株価が割安になるという点で、逆に「良いビジネスを安く買う」絶好の機会と見ることができます。ただ、下がっている銘柄であれば何でもいい、というわけではありません。ここでいくつか、注意すべき「2016年敗者株」の条件を挙げておきたいと思います。

1. 金利敏感株は避ける
REITや公共株など、「2016年敗者株」の中には金利上昇が逆風となっている株が散見されます。これらは金利上昇が止まらない限り反転は望みにくく、税制変更とはあまり関係ない理由で売られているので注意です。
2. 業績や財務内容がしっかりしている企業を選ぶ
業績や財務内容がしっかりしている企業は通常、株価もそれほど下がらないものですが、そのような株に対して一時的要因や税制変更によって売り圧力が強まっているとすれば、それは絶好の投資機会となります。
3. 民主党政権から特別の恩恵を受けてきたようなセクターは避ける
これらセクターはこれまで8年間、民主党政権によってメリットを受けてきたのであって、共和党政権下で苦戦するのは止むを得ません。税制変更とは関係のない話です。
4. 他の条件が同じであれば大型株よりも中小型株を狙う
一般に、大型株よりも中小型株の方が出来高は少ないものです。税制変更のメリットを取ろうという動きが集中すると、出来高が少ない中、実力以上に株価が下落しやすくなります。出来高が少ないので、年が明けるだけでこのような売り圧力が無くなり、株価が上昇するというわけです。

このコラムをお読みいただいている殆どの方は日本の居住者だと思いますので、年内に株式を売る(=税制変更のメリットを取る)方についてはあまり関係ないと思います。一方でアメリカの投資家は2017年の税制変更を見込んで年内は「2016年敗者株」の売りを積極化させるので、それらの株価は安くなるはずです。これは逆に言えば、全ての投資家に株式を割安で買うチャンスが提供されているようなものであり、この好機を生かさない手は無いと思います。

(2016年12月14日記)





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最終更新日  2016.12.17 07:36:54


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