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堀古英司の「米国株式の魅力」

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2013.09.02
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今年の2月から4月にかけて、商品価格が急落する場面がありました。金・銀・銅をはじめ工業金属価格、そして小麦やとうもろこしの価格も大きく下落し、それ以降、いずれも急落前の水準を取り戻せていません。去年9月に始まったQE3はこれまでで最も強力な量的緩和ですし、その時期はまだ緩和を縮小する気配も無かったので、商品価格下落の要因を金融政策に見出すのは困難でした。そして消去法により様々な要因を潰していった結果、残った可能性が中国でした。

中国の設備投資が国内総生産に占める比率は2012年時点で50%近くにも上っています。設備というのは少なくとも数年以上、長ければ数十年耐用するするものですから、数年、数十年にわたる需要を先食いしてしまっている事になります。なので人類の歴史上、設備投資ブームが行き過ぎた後にその反動が訪れるというサイクルは、当然のように繰り返されてきました。しかし中国の設備投資ブームは、そのような人類の歴史の中でも最大と言ってよいでしょう。過去、日本や韓国で起こった設備投資ブームのピークでも、国内総生産に占める比率はせいぜい30%台でした。50%というのは前人未到の領域なのです。

当然の事ながら、反動から来る影響も前人未到のものになると覚悟しておいた方が良いでしょう。だからこそ、上海総合指数は2009年半ばからほぼ一貫して下落を続け、現在も低迷しているのだと思います。アメリカでも3月、テレビ局CBSの看板番組「60minutes」で、中国の街ごと空っぽのマンション群や、テナントが全く入っていないショッピング・モールの風景が放映されたり、しばしば新聞でもブームの反動に対する記事が掲載されるなど、中国経済に対する警戒感は非常に高まっています。むしろ一部ファンドは既に十分過ぎるくらい、中国の設備投資ブームの反動の準備をしている状態です。その意味で、私は現在の中国の状況は、アメリカの2007年の状況に似ていると考えています。

アメリカでは2006年半ばから住宅価格が下落を始めました。しかしその影響はどのようにアメリカ経済に表れてくるのか、2007年初の時点で予測するのは非常に困難でした。というのはアメリカの住宅ローンは、基本的には証券化されて投資家に売却される仕組みとなっています。住宅ローンが焦げ付けば投資家が損失を被るだけで、日本のように、銀行が不良債権を抱えてにっちもさっちもいかなくなる状況というのは考え難かったのです。

それでもよく調べていくと、多くの住宅ローン証券は、モノラインという金融保証会社による保証によって支えられており、さらにそのモノラインは財務体質が非常に脆弱にもかかわらず、トリプルAという最上級格付けを付与されてビジネスが成り立っている事が分かりました。こうして住宅価格下落の影響はまずモノラインに表われるとの分析の下、我々のファンドでモノライン大手2社(アムバックとMBIA)の空売りを始めたのは2007年春の事でした。しかし両社の株価は下落するどころか逆に、同年11月にかけてじわじわ上昇していったのです。結局、その後2009年にかけて両社とも実質破綻状態に追い込まれ株価はほぼゼロになったのですが、ブームの反動が表われるタイミングを予測する事が如何に難しい事かを感じさせれた案件でした。

また「住宅ローンが焦げ付けば投資家が損失を被るだけ」というのも誤りでした。投資家に売却して残っていないはずの住宅ローン証券の多くが、実際には証券会社、そして銀行のバランスシートに残ったままになってしまっていたのです。証券会社や銀行がどのような証券を保有しているのか、開示されている資料だけで把握する事は今でも困難です。危機が訪れて初めて、巨額の損失計上が必要な証券を保有していた事が次々と判明していったのが2008年でした。

開示の進んでいるアメリカでもこのような状況だったので、中国の場合、設備投資ブームの反動に伴う負担はどこに、いつ顕在化するのかを予測する事はまだ、極めて困難な状況と言わざるを得ません。多くの統計の信憑性に疑問符が付く中、当面、一部の統計と商品相場等の市場価格を手掛かりに何が起こっているのかを推測していくしかないでしょう。街ごと空っぽのマンション群も、実は個人投資家が現金で購入しており、例え値下がりしても個人投資家が損失を被るだけで、アメリカのような金融危機には発展しないのかもしれません。中国版住宅ローン証券とも言える「理財」も同様です。

しかし中国の設備投資ブームは、山が巨大であった分、今後来たるべき谷も小さくないはずです。私は日米共に株式市場に対しては基本的に強気で良いと思っていますが、ショックが訪れるとすれば、その大きなきっかけの一つは中国と考えています。ですのでこのリスクはヘッジしておかなければなりません。このような考えのもと最近、ここ数年中国の設備投資ブームの恩恵を受けてきた国やセクターの株式の空売りを開始しました。しかし具体的に、反動がいつどのような形で表れるかを予測する事は困難です。今後モノラインのように、本命が頭角を表してくる可能性もあるでしょう。それでも2007年のように、当面相場が逆に向かう可能性も十分あると思います。今年、2013年の中国は、そのような展開も覚悟しながら付き合わなければならなかった、アメリカの2007年の状況にとても似ている感じがしています。

(2013年8月12日記)






最終更新日  2013.10.08 10:08:06


2013.09.01
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ウォール街の格言「5月に売ってどこかへ」の5月が終わりました。残念ながら、少なくとも一旦は、格言通りの高値を見てしまった可能性が高いでしょう。

これまでの2010年、11年、12年は、いずれも4月に一旦高値を付けていました。そしていずれも4月に高値を付ける理由がありました。
第一に、アメリカでは4月中旬が個人確定申告の期限となっています。所得に応じて税制上優遇される退職金積立ての金額が決まりますので、やはり確定申告によって所得が確定するこの時期に、積立て金額を決定し、株式投資をする人が多くなります。自ずから株式市場の需給は引き締まり、相場は上昇しやすい時期となります。
第二に、これまでの3年間はいずれもその6月末で、連銀によるQE(量的緩和)が一旦終了する予定となっていました。2010年6月末はQE1(量的緩和第一弾)が、2011年6月末はQE2(同第二弾)が、2012年6月末はオペレーション・ツイスト第一弾が、終了。QEが株式相場に与える影響が大きかった分、その反動に対する懸念が高まっていったと考えられます。
第三に、そのいずれの年も、夏にかけてが欧州債務危機が深刻化、又は再燃していた時期でした。

私は、第二、第三の理由は今年には当てはまらないので、これまで3年連続となっていた4月高値という可能性は低いだろうと考えていました。実際、これまでで最も強力とも言えるQE3(量的緩和第一弾)の影響が大きかったのでしょう。5月に入っても、それまで3年間のパターンを払拭するかのような上昇ペースを続けてきました。この結果アメリカの代表的株価指数であるS&P500は7カ月連続で上昇、5月末までで今年の上昇率は14.3%に上っています。

しかし5月下旬に差し掛かり、いくつか相場の高値を示唆する兆候が顕在化してきました。
まず、今年これまでの株式相場の上昇を牽引してきたのは、実は景気敏感株やハイテクではなく、公共株やREIT(不動産投資信託)などの高配当銘柄群、食品・薬品などのディフェンシブセクターです。いずれも市場平均を上回る20%近くの上昇率となっていました。しかし5月に入ってこれらのセクターが全体の市場に先行する形で下落を始めたのです。そして高値からの下落率は10%近く、実に年初来の上昇の半分近くを吐き出してしまった事になります。

言うまでもなく、主な要因はバーナンキFRB議長を含む、連銀関係者によるコメントでしょう。もちろんタカ・ハト派の両方から沢山のコメントが流れましたが、総じて市場は、ハト派による量的緩和縮小を示唆するコメントに反応したようです。4月に1.6%台だった10年物国債利回りは一時2.2%にまで上昇しました。景気敏感株が牽引役である相場ならまだしも、これまでの牽引役となってきた銘柄群の性質からして、長期金利の上昇に耐えられる市場ではありません。ディフェンシブ・セクターから景気敏感セクターへ上手くバトンタッチ出来れば良いのですが、今の景気はまだそのような状況ではありません。

また5月中旬から変動率指数がコンスタントに上昇してきているのもネガティブです。月末にかけて相場はそれほど下落しているわけでもないのに、変動率指数の上昇はコンスタントです。連銀による量的緩和の先行きに加え、恐らく日本の株価が乱高下している事も投資家心理に影響を与えているものと思われます。もともと高値を付けやすいタイミングである事に加え、上記のような要因が重なった事もあり、当面株式相場は調整局面を余儀なくされるでしょう。問題はこの後、どのような展開を辿るかです。

可能性が高いのは、価格的には比較的小幅の下落にとどまるシナリオ。90年以降のS&P500指数のデータを見てみますと、7カ月以上連続で上昇したのは6回あり、うち7カ月連続が4回、8カ月連続が2回、9カ月連続で上昇した事はありません。その意味では、既に7カ月連続で上昇している相場、いずれにしても近々調整局面入りする事は避けられないという事です。ただ良いニュースは、7カ月以上連続で上昇するような時は市場環境が良いので、その後の調整も比較的小幅にとどまるパターンが多い事です。過去6回の平均下落率は4.8%にとどまっており、しかもその全てのケースでその後、最高値を更新しています。

ただ、私が気になっているもう一つのシナリオがあります。それは前号でも記したデフレシナリオです。最近、特に発表される先行指標など大して良くないのに、またインフレ関連指標など連銀の目標を大幅に下回っているのに、連銀関係者も市場も最近は量的緩和縮小の議論ばかりです。金融機関などは、連銀がQE3で債券を買ってくれるのをアテにして、先回りして債券を購入して在庫を抱えているので気になるのは分かりますが、QE1のケースも、QE2のケースも、結局は足りなかったというのが現実です。少し量的緩和が効いてくると、一旦デフレに陥ったらなかなか抜け出せないという怖さを忘れてしまうのが人間の心理なのでしょう。

最近の中国、オーストラリア、カナダ等のクレジット環境や商品相場の動向を見ていると、このシナリオの可能性は否定できません。量的緩和が効くのは「景気が良いのに金利が上がらない」という状況であって、一旦デフレに陥ってしまったら効きません。せっかく量的緩和が効き始めてこれからという時、量的緩和縮小の議論が必要以上に先走るようだと、今年の上昇分を吐き出してしまうくらいの下落も覚悟しなければならなくなるでしょう。

(2013年6月3日記)






最終更新日  2013.10.08 10:07:06
2013.04.25
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ウォール街で口にする事がタブーとされている「D」ワードがあります。この言葉が広がってしまうと消費者心理に悪影響を与え、消費を控えたり、借金返済に動いたりという行動に繋がる可能性があります。これが経済全体に広がって経済活動が停滞するようになれば、ますます悪循環を生むという性質を持っています。そう、日本の皆さんにはお馴染みのデフレーションです。

特にここ数週間、アメリカでデフレの兆候とも取れる市場の動きが観測されます。まず3月の終わり頃から金や銅、アルミ、ニッケルなどの商品価格が急落を始め、先週時点で1年ぶりの安値を付けています。3月末に97ドル台だったNY原油価格も今月に入って急落、先週85ドル台を付けました。債券市場では3月に2%を超えていた10年物国債利回りが急低下、本稿執筆時点で1.69%となっています。

何故今、このようにあちこちの市場でデフレの前兆とも取れる動きが出てきているのでしょうか? 最も影響していると考えられるのはドル高です。金融危機以降、ドルの対主要通貨指数は下落を続けてきましたが、1年半位前から主に欧州危機の影響で、そして半年前からは主にアベノミクス円安の影響で、現在、約2年半ぶりの高値を付けています。ドルは中国をはじめ、多くのアジア諸国と動きが連動していますから、アメリカのみならず、それらアジア諸国にも通貨高によるデフレ圧力が強まっている事になります。

例えば先々週財務省から発表された日本居住者による証券売買状況によると、外国株式、外国中長期債ともに、年初からほぼコンスタントにネット(売却額マイナス取得額)で大量売却が続いています。外国証券が円建てで上昇する中、日本の投資家は専ら売り手に回っているようです(長い間円高が続いたので無理も無いのかもしれません)。円安傾向は続いているので、そういった売りは外国通貨建て資産価格に対する下落圧力の形で表れます。商品市場は証券市場に比べて市場規模が小さいので、そのような売り圧力を吸収できずに価格下落の形で表れていると考えられます。

私はアメリカ経済は持続的な回復軌道に乗っていると考えていますし、株式相場に対しても強気で良いと思っています。ただ、そのような見方の中、リスクがあるとすれば何かと聞かれれば、デフレを挙げます。

アメリカが量的緩和という、いわば実験とも言うべき非伝統的金融政策を採用し始めて4年半が経ちますが、いくつか分かってきている事実があります。第一に、影響が出るのは外国為替市場が最も早い事、第二に、量的緩和が銀行の貸出し増につながるようになるにはかなりの時間がかかる事、第三に、当初想定されたよりもかなり大きな金額が必要になる事等です。

このような中、今回もしデフレが訪れるとどうなるでしょうか? 日本も積極的な量的緩和を開始したので、アメリカの量的緩和が外国為替市場に与える影響は相殺されます。銀行貸出し増に与える効果は時間がかかります。最近のFRB関係者の発言は「QE3をいつ終えるか」に集中しており、QE3増額などかなり可能性の低い話でしょう。QE3の効果が出なくなった時に財政で支えられるかというと、ご覧の通り、議会のねじれた今の状態ではとても無理です。なので、本当にデフレが訪れるとなれば、アメリカは今、それを防ぐ有効な手段を持ち合わせておらず、市場にそれを見透かされた時は、スパイラル的にデフレ圧力がかかるリスクがあるのです。現時点で可能性は低いと思いますが、念のため、頭の片隅に置いておく必要はあるでしょう。

世界的に財政状況の悪い状況が続く限り、各国は長期的には借金を通貨に置き換える事によって、即ちいずれインフレを起こす事によって解決を図っていくものであり、それは歴史が物語っている所です。これまで例外であった日本も、ようやく他国同様、借金を通貨に置き換えはじめたのであり、いわば世界が協調してデフレを退治し始めたという点では望ましい動きとも言えます。その意味では最近アメリカで見られるデフレの兆候は、日本がこのような世界の動きに歩調を合わせ始めた事に伴う一時的な調整によるもの、と考える事ができます。

もっとも元はと言えばこのデフレ、長年続いた円高によって世界各国から日本に輸出され続けてきたものなのです。日本では最近、輸出が伸び悩み、貿易収支の赤字が定着化してきている事に対して懸念する声が出ています。しかし一方で、ポジティブな面を忘れてはなりません。それはこれまで日本が、どんなに優れた日本製品よりも輸出したかった「D」の輸出が着実に伸び始めているという事実です。

(2013年4月23日記)






最終更新日  2013.05.24 15:14:44
2013.03.22
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最近、アベノミクス長者という言葉が聞かれるようになりました。積極的な金融緩和を求める安倍政権の、選挙での勝利を先取りする形で、去年11月からの僅か5カ月で日経平均株価は40%、ドル円は20%もの上昇となっています。このような相場に上手く乗れた人が沢山居ても不思議ではないでしょう。ただ、やはり気になるのがこの「長者」の使われ方です。長者の出現が格差を意味し、それを助長するアベノミクスはけしからん、というような、変な方向に捉えられないかと心配をしてしまうのです。

私が講演でよく申し上げる事があります。それは「日本の人は、頑張った人にご褒美が与えられるべきである事はよく理解している。実際、世界の標準的なルールもその通りだ。しかし日本の人があまり理解していない、又は理解を避けているもう一つの世界標準のルールがある。それは、リスクを取った人にもご褒美を与えるという事実だ」です。

何故リスクを取った人にご褒美を与えなければならないのか? このコラムでも何度か申し上げましたが、第一に、リスクを取る人が居なければ、世界経済はもっともっと低成長を余儀なくされ、生活水準は低くなってしまう(=外交も、軍事も、年金も、医療も、福祉も低い水準を余儀なくされる)事。第二に、にも拘わらず、世界中にリスクを取れる人、ないしリスクを取れる資金量はそれほど多くないからです。

簡単な例は、以前もご紹介した保険会社です。いざという時に保険金でカバーしてくれるという安心感があるから、人々はその時のために多額の貯金を貯めておく必要がなくなり、その分の資金を消費に回す事ができます。銀行も同様です。企業に直接お金を貸すのでなく、銀行に預けているお金は(少なくとも1,000万円までは)保証されているので、貸倒の心配もありません。一方で保険会社はいざという時に保険金を払ったり、銀行は貸倒となった場合に、その損失を負担するという形でリスクを負っているのです。保険会社や銀行がリスクを負ってくれているからこそ、人々はそうでない場合よりも多くのお金を消費に回す事ができ、企業は借り入れた資金で事業を伸ばす事ができるのです。

さらに株式会社には株主が居ます。少々業績が悪くなっても、一番リスクの高い資本を拠出してくれている株主が、株価の値下がりという形でリスクを担い、クッションの役割を果たしてくれるからこそ、従業員は職を失わなくて済んでいるのです。

リスクを取る主体が無くなったらどうなるかは、金融危機で経験した通りです。AIGという世界最大の保険会社や大手銀行が次々と破綻の危機に直面し、世界経済は一斉にリセッションに陥りました。実際、多くの会社の株主資本が底を付き、大量の失業者が発生しました。あのまま大手保険会社や大手銀行が連鎖的に破綻していたら、我々の生活は今よりもずっと低い水準を余儀なくされていたことでしょう。

世界的に、まだあの金融危機の時の恐怖が癒えているわけではありません。だからこそアメリカの株式市場は高値更新にも拘わらずバリュエーションは低いままで、日本の株式市場には純資産倍率が1倍を下回っている会社がゴロゴロしているのでしょう。正にそれほどリスクを取ってくれる人、ないし資金量は、世界中にそれほど潤沢にある訳ではない、という証拠だと思います。しかし上記の理由で、景気を回復させるには、リスクを取る人の存在が必要です。だからこそ世界標準は、リスクを取る人にご褒美を与えるルールになっているのです。

むしろ去年までの日本の5年間は異常な状態だったのです。金融危機を受けて、世界各国の中央銀行が積極的に金融を緩和する中、日本のみが消極的で、その結果日本円(現金)に資産保全機能を与え、人々は現金を貯め込み、消費にも投資にも消極的になってしまったのです。現金に資産保全機能を与える事によって、「リスクを取らない事」を推奨する国になってしまっていたのです。リスクを取らない事が推奨されているのですから、経済が成長しないのは当たり前だったのです。

ですので「アベノミクス長者」、本質的には「(意識してかどうはは別にして)日本の景気回復のためにリスクを取ってくれた人」であり、この5カ月たまたま相場が良かったために、結果だけを見て「アベノミクス長者」と呼ばれているように見えます。日本では、比較的著名な評論家でさえ市場を「マネーゲーム」と非難したり、結果としての格差のみがクローズアップされる傾向が非常に強いように見えます。しかし私は、そのような意見を嘲笑うかのように、今後アメリカも日本も、ますますリスクを取る人が報われる相場展開になると見ています。特に日本は、去年までの異常な状態からは既に脱却したでしょう。リスクを取らずに将来、結果だけを見て妬むのでなく、少しでもリスクを取ってさらに景気回復に貢献しようではありませんか。

(2013年3月21日記)






最終更新日  2013.04.18 12:08:59
2013.02.12
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年初から数回にわたって講演させていただく機会がありました。そしてあちこちで指摘されたのが、「堀古は金の話をしなくなった」でした(いえ、カネの話はいつもしていますが……ではなくてゴールドの話です)。そこで今回は久しぶりに金(ゴールド)について書かせていただきたいと思います。

結論から申し上げると、金は今年、1トロイオンス2,000ドルを超えて上昇していくと見ています。私の金に対する見方は3年以上前にここ(第251回 金への投資(2009年10月9日))に書かせていただいた通りで、基本的に変わっていません。むしろ最近になって、金の上昇材料は増えてきているように見えます。

第一に、当時と比べて世界各国の財政状況はさらに悪化しており、改善の兆しは見られていません。日本はもちろんのこと、アメリカもヨーロッパも、金融危機やユーロ危機は脱した感がありますが、それら危機によって膨らんだ財政赤字を取り戻していくのはまだまだ先の話です。財政が厳しい中、量的金融緩和を中心とする金融政策に依存しなければならない状況に変わりはありません。

第二に、少々景気が回復してきたからと言って、積極的な金融緩和姿勢が解除されるとは思えません。バーナンキFRB議長は2012年9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でQE3(量的緩和第一弾)に踏み切る事を発表、その後の記者会見で「景気回復のエンジンに欠けているピストン-それは住宅市場だ」と述べました。私は住宅市場については既に先行指標が大幅な改善を示してきており、住宅価格の上昇は時間の問題と見ていますが、住宅価格は常に遅行指標です。FRBがその遅行指標を見ているとすれば、金融緩和姿勢が解除されるのはまだかなり先の事になりそうです。

第三に、これまで世界標準から外れていた日本の金融政策が世界標準になった事です。実際、FRBが積極的なQE1を始めた2009年初、我々のファンドでドル現金の代替資産として検討したのは金と日本円でした。しかし日本円とはいえ究極的には人類が発行できるものであり、いくら日銀でも早晩世界標準の金融政策に協調して来るだろうとの考えから、出した結論は金への投資でした(日銀は我々が想像した以上に頑なでしたが、それでもその間の日本円の対ドル上昇率は25%、金の上昇率は75%でしたので、結果的には正しい判断でした)。日本が積極的な量的緩和に加わった事で、自国通貨高による「日本からのデフレ輸出」を避けるため、世界各国はますます金融緩和の手を緩める事ができなくなったのです。

第四に、この2月12日(火)からシカゴ先物市場で金先物の証拠金率が引き下げられます。金先物価格は、証拠金が5,001ドルから4,500ドルに引き下げられた2011年6月末頃から急上昇を始めました。同8月22日に1トロイオンス1,892ドルの高値(終値ベース)を付け、同8月25日に証拠金が引き上げられて上昇相場が終わったのは記憶に新しい所です。その後、一時8,500ドルまで引き上げられていた証拠金は順次引き下げられ、今回の引き下げで、その急上昇前の最低水準に戻る事になります。勘定に一定の証拠金額が入っている状況を想定すれば、証拠金率が低いほどより多く金先物が買える=より金先物価格が上昇しやすい、という訳です。

私は2010年1月の楽天証券新春講演会で金を、2012年1月にはドル/円をそれぞれ最も有力な投資先として挙げたので、「どこまで上がるのか」「いつどこで利食えばよいのか」というご質問を本当によくいただきます。確かに日本では株価は長い間下落する方が多かったし、ドル/円はここ5年ほど下落する一方だったので、皆さん「利食わないと大変な事になる」という潜在意識が植え付けられてしまっているのではないかと思います。しかしここは発想の転換が必要だと思います。

2012年で円高が終わるというのはここ(第288回 日本にとって本当のリスク:円安(2011年11月11日))にも書かせていただいた通りです。これを読んでいただいている殆どの方は日本にお住まいで、資産の殆どを日本円で持っておられると思います。今後はその日本円、即ち資産の価値が下がっていくのをどうやって防いでいくか、の方が重要になります。そのような時、これまでの調子で「利食い」と称して資産防衛策を止めてしまえば、その後貴方の資産は相対的に減っていくばかりです。表面上は利食ったつもりが、実質的には利食いになっていないのです。

今、世界標準の金融当局の考えは、現金に資産保全機能を与えない事です。人々が現金に資産保全機能があると思えば消費も投資もしなくなり、経済が停滞してしまうからです。日本もその世界標準になったのです。このような中、人々は何にその資産保全機能を求めて行けば良いのか。引き続き、金はその有力な候補先だと考えています。

(2013年2月8日記)






最終更新日  2013.02.26 18:22:46
2012.12.28
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この12月末、私は中長期的に見ても、短期的に見ても米国株投資の大きなチャンスと考えています。

まず中長期的観点からですが、通常、株式投資に好環境なのは大きく以下の3点を満たしている時だと思っています。
第一に市場が怖がっている時。これについては異論の余地は無いと思います。2012年12月31日をもって、ここ10年近く続いてきたブッシュ減税が失効します。加えて去年、アメリカの債務が法定上限に達した際に超党派で合意された強制歳出削減が発動する、いわゆる「財政の崖」からアメリカ経済が転げ落ち始めるまであと4日しかありません。市場を怖がらせるには十分の材料でしょう。
第二に、中央銀行が緩和姿勢である時です。これについても異論の余地はないでしょう。FRBは世界に先駆けて真っ先に量的金融緩和に踏み切ったほか、金融危機時から株式相場が2倍になっても全く手を緩める気配はありません。「住宅市場が回復して、元に戻らない事が十分確認できるまで」と、歴史的にも極めて株式相場に優しい政策を貫いてくれています。
第三に、株式のバリュエーションが低い事です。アメリカの主要株式指数であるS&P500指数採用企業で見ると、2013年予想ベースの株価収益倍率は13倍台に過ぎず、配当利回りは2.25%と、少なくとも過去50年間では初めて10年物国債の利回りを上回っています。

株式というのは永久証券ですから、本来長期的観点から投資するべきものだと思っています。しかし市場には流動性を供給してくれる短期の投資家もたくさん参加しています。そして相場はそれら短期投資家のモメンタムによって大きく上下するわけですが、中長期の観点から投資を始めるにあたっては、少なくとも上記の3点をクリアしている現在、大きな損失を被る事はないでしょう。

そしてこの12月末、このような中長期的観点に加えて、短期的観点からも米国株投資のチャンスとなっている要因がいくつか挙げられます。

第一に、1月効果です。アメリカで個人所得税の会計年度は12月末に終了しますが、それまでに含み損を確定すれば3000ドルまでは通常所得から控除できるほか、キャピタルゲインと相殺できる事から、含み益が出ている銘柄に対しても、含み損が出ている銘柄に対しても、年末までに売り圧力が膨らみやすい傾向があります。しかし年が明ければ一転、そのような売り圧力が退きます。

第二に、オバマ再選と共に、来年から特に富裕層に対してはキャピタルゲイン税率上昇が確実になった事で、今年中に低税率のメリットを享受しようという動きが出ていると見られます。実際、今年アメリカの株式相場が調整局面に入ったのは9月半ば以降ですが、これはロムニー氏に致命傷となった「47%失言」が明らかになったタイミングです。投資家のキャピタルゲイン上昇に備えた動きは、既にそこから始まっていたと見て良いでしょう。しかしこのような売り圧力も、年が明ければ消失します。

第三に、財政の崖問題です。年末まであと4日となっている今になってもまだ解決の糸口が見えないのは確かに不安材料ですが、逆に1月29日の一般教書演説までにまだ何の合意もなされていないというのは考え難いと思います。やはり現在市場のコンセンサスとなっている1月初旬~中旬の暫定合意というのは妥当なラインであり、これだけ市場が怖がっている以上、合意は株式相場上昇の大きなカタリストになるでしょう。また現在、前面には出てきていませんが、交渉が進むに従って両党とも支持している法人税減税が具体化し、株式相場のサポート要因になると考えられます。

このように中長期的要因も短期的要因も米国株投資の好機である事を示唆している中、それではどのような銘柄に注目すれば良いのでしょうか?

まず、よりキャピタルゲインの低税率のメリットを受けているのはこれまでの株価上昇率が大きかった銘柄。一方、配当税率はキャピタルゲイン税率よりも高くなる可能性があるので除外。また負債比率の大きい企業は、もともと支払利息の損金算入で既にメリットを受けているため、相対的に法人税引き下げのメリットは小さい。このような考えのもと、S&P500指数採用銘柄の中から、ここ数年間の株価上昇率が大きく、配当利回りが低く、負債比率が低い、という条件でスクリーニングした結果、抽出されたのが以下の銘柄群です(時価総額の大きい順)。

アップル(AAPL)
ビザ(V)
マスターカード(MA)
スターバックス(SBUX)
CFインダストリーズ(CF)
ダラーツリー(DLTR)

さてどうなるか?

皆様、良いお年をお迎え下さい!

(2012年12月27日記)






最終更新日  2013.01.11 18:52:59
2012.12.07
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先週発表された11月の米消費者信頼感指数は73.7と、金融危機以来最高の水準を付けました。現在、多くのエコノミストが年末商戦の好調を予測していますが、それを裏付ける強い数字となっています。それでは、その好調が予想される年末商戦、売れる商品は何なのでしょうか? これを占うにあたっては先行指標中の先行指標、株価を見るのが一番です。そこで当社では毎年この時期、株価動向から年末商戦のヒット商品を占うレポートを作成する事にしています。

例えば2010年のレポートでは、ムートンブーツ「UGG」を販売するデッカーズ(DECK)という会社をご紹介しました。デッカーズの株価は、ご紹介した11月半ばの時点で既に年初来80%上昇していました。NYマンハッタンの専門店にも行列が出来るほどで、年末商戦でのヒットは確実でした。その後もデッカーズの株価は上昇を続け、翌年の年末商戦に向けてさらに90%の上昇となりました。しかし上昇はそこまで。今年に入って株価はほぼ一貫して値下がりし、同社のムードンブーツ人気は、既に去年がピークであった可能性が高くなっています。

今年のレポートで取り上げた2012年年末商戦の予想ヒット商品は以下の通りです。

第一に、アパレル・ブランドのマイケル・コース(KORS)。1981年にNYで自らの名を冠したブランドを立ち上げ、昨年12月に株式上場を果たし、株価は現在、公募価格比約2.5倍の高値近辺で取引されています。多くのセレブリティーが愛用していることで知られており、先月の大統領選で再選したオバマ大統領が勝利演説を行った際、ミッシェル夫人が同ブランドのドレスを着用していたことで、認知度はさらに高まることとなりました。日本では2010年8月に東京・表参道に第1号店をオープンし、11月現在、国内13店舗を展開しています。

第二に、カプセル式コーヒーメーカーのグリーンマウンテン・コーヒー・ロースターズ(GMCR)。米国でカプセル式の一杯抽出用マシンでコーヒーを楽しむ習慣が広がりつつあり、同市場規模は前年に比べ倍増すると見込まれています。今年は10月にコーヒー店チェーン最大手のスターバックス(SBUX)も独自のシステム「ベリズモ」を市場投入しましたが、グリーンマウンテン・コーヒー・ロースターズのシステム「キューリグ」は75%近いシェアを誇っています。同社の株価は、昨年から今年にかけて急落する場面がありました。しかし年末商戦を前に、同社の持つ高いシェアと急拡大する市場規模というファンダメンタルズが見直される形で、株価は7月の安値から2倍以上になっています。

第三に、タブレット端末です。米家電協会の「プレゼントとして欲しい家電」調査では、ここ2年連続でタブレット端末がトップに輝きました。今年は特に、アメリカで家電製品の普及価格と言われる200ドル前後を意識した低価格高機能の小型タブレット端末、グーグル(GOOG)の「Nexus 7」とアマゾン・ドット・コム(AMZN)の「Kindle Fire HD」の好調が予想されます。一方で価格帯は上になるものの、アップル(AAPL)の「iPad Mini」は使い勝手や性能、他の同社製品との互換性等の強みは健在と言えるでしょう。またマイクロソフト(MSFT)も新しい基本ソフトWindows 8を搭載した同社初のタブレット端末「Surface」を発売しました。そしてブックリーダーで忘れてはならないのはもちろん、楽天の「kobo」!

この業界の競争が激化しつつあるのは確かですが、市場自体が非常に高い成長を遂げている事を忘れてはなりません。バリュエーションさえ妥当であれば十分、株価上昇も期待できるでしょう。

最後に個人的に、最近もらったもので一番嬉しかった物~それはイチロー選手のサイン入りヤンキース・ユニフォームでした。日本人として、世界のトップレベルで次々と新記録を打ち立て、今も究極に挑み続ける姿勢。このユニフォームを見ているだけで、自然と元気と勇気が湧いてきます。

皆様の、クリスマス・ショッピングの参考にしていただければ幸いです。

(2012年12月6日記)






最終更新日  2012.12.12 09:49:07
2012.11.27
カテゴリ:カテゴリ未分類
「忘れていませんか? 法人税減税を」
私は今、この質問を投げかけてみたい、全く異なる2つの対象があります。一つはアメリカの株式市場参加者、そしてもう一つは12月16日総選挙の立候補政党に対してです。

まずアメリカの株式市場について。アメリカの株式相場は11月6日の大統領・議会選挙結果判明以降、半ばまでほぼ一本調子の下げとなりました。そしてこの大統領選挙後の下落の一因は、来年からのキャピタルゲイン・配当税率上昇を見越した売りによるものと思われます。確かに来年からキャピタルゲインの最高税率は現行の15%から23.8%に上昇する見込みです。そして税率の低いうちに株式を売っておこうと考える投資家は納税のため、キャピタルゲインの15%分は現金化して備えなければなりません。一旦一巡した感はありますが、まだ年末にかけては散発的にこのような売りが出てくる可能性があります。しかしこれは、今年の年末に限った特殊要因である事を忘れてはなりません。

というのは、来年は法人税が35%から28%に低下する見込みであり、企業の税引き前利益が一定であれば、キャピタルゲイン税率が8.8%上昇しても、法人税率が7%下がると、理論的には投資家の税引き後利益は殆ど変わらなくなるからです。さらにキャピタルゲイン税率が上昇するのはアメリカ在住の富裕者層のみであり、日本を含む海外の投資家や市場に多く存在する非課税のファンド等は、法人税率低下のメリットをそのまま享受する事ができます。結果的に株式市場全体にとっては恐らく、法人税率低下のメリットの方が大きい状態になるでしょう。大幅に上昇する見込みの配当税率についても、企業の財務担当者は、配当税率がキャピタルゲイン税率を大幅に上回る状態が続くと見れば、配当から自社株買いへの切り替え検討するでしょう。この結果、時間の経過と共に、配当税率上昇の影響もそれほど大きくなくなるなずです。なので、他の理由であればまだしも、キャピタルゲイン等税率の上昇を理由に株式を売っているのであれば、それら市場参加者に一言質問してみたいのです。「忘れていませんか?法人税減税を」と。

オバマ大統領が何故、法人税を引き下げようとしているのか? それはアメリカ企業の競争力を取り戻し、アメリカの雇用を回復させ、延いてはアメリカ経済を強くし、財政を再建したり、福祉を充実させたり、外交上交渉を有利にしたりするためでしょう。同様の考えから世界各国が法人税を引き下げる中、日本と並んで最高水準に据え置かれている法人税の水準を是正するためでしょう。

これが正に、私が12月16日総選挙の立候補政党に対してこの質問をしてみたい理由なのです。どの政党も景気を良くして失業率を低下させたいと思っているでしょうし、財政は再建しないといけないと考えているでしょう。福祉は充実させたいでしょうし、外交は有利に進めたいでしょう。第一、国民がそれらを願っているはずです。しかしその具体的方策として、どうして法人税の減税が公約の筆頭に挙げられないのでしょうか?

景気を良くする一つの方法は金融緩和です。日本がどれだけ金融緩和に積極的かは為替レートを見れば明らかです。そして為替レートが円高に振れているという事は、日本は「相対的に」世界で最も金融緩和に消極的だったという事です。金融緩和に最も消極的だったから景気も良くならなかったし、株式相場も世界で最もパフォーマンスが悪かったのです。「精一杯やっている」というのはちょうど、親に勉強しなさいと言われた子供が、成績の順位が上がらないのに「一生懸命勉強している」と口答えしているのに似ています。他の子供は、海外の国々は、もっともっと頑張っているのです。

企業が資金を調達しているのは銀行からばかりではありません。多くの企業にとって、株式は有力な資金調達の手段です。銀行から借りるお金のコストは金融緩和によって下がりますが、株式で調達するコストはどうしたら下げられるのか? (私はこれを「資本の金融緩和」と呼んでいます。第277回 資本の金融緩和(2011年2月4日))一つの方法は法人税率を引き下げる事です。数%の法人税率の引き下げは、金利を0.5%や1%引き下げるのとは比べ物にならない、企業に大きなメリットをもたらす事になるでしょう。さらに日本の法人税率が低いとなれば、海外の企業も日本にビジネスを進出させるようになり、これまでに無かった、または失われていた新たな雇用や税収につながっていくでしょう。

逆に法人税がこのまま据え置かれるとどうなるか? 来年アメリカが法人税引き下げを決めた瞬間、日本は最も法人税の高い先進国となり、日本企業はさらに国際競争力を失っていくでしょう。金融緩和同様、世界と横並びで実行してやっとイーブンという状態ですから、何もやらないだけで自然とマイナスになってしまいます。いくら立派な公約を挙げようと、企業が競争力を失うので、雇用は増やせないし、給料は上げられないし、景気は良くならない。税収が上がらないので、素晴らしい公約も実行できなくなるでしょう。

そこでやっぱり各政党に聞いてみたいのです。「忘れていませんか? 法人税減税を」と。

(2012年11月26日記)






最終更新日  2012.11.29 13:28:21
2012.10.29
カテゴリ:カテゴリ未分類
注目の大統領選挙まであと11日(本稿執筆時点)となりました。今回の選挙は、実質増税と強制歳出削減が同時に起こる、いわゆる「財政の崖」に直面するかどうかだけでなく、27年ぶりとも言われる税制大改革の方向を左右するもので、この先アメリカの経済を考えるにあたっても、投資を考えるにあたっても、非常に重要な選挙と言えます。5月に第297回 2012年大統領選挙と株式市場(2012年5月28日)を書かせていただきましたが、当時とはやや状況が異なってきていますので、アップデートの意味も込めて大統領及び議会選挙、そしてそれらの結果が市場に与える影響をご紹介しておきたいと思います。

5月と比べて最も大きな変化は、9月に明らかになったのロムニー候補の失言(「私は税金を払っていない47%の国民の事など気にかけない」)以降、議会上院選挙の構図が逆転し、今や議会上院では民主党が過半数を獲得する可能性が高まってきている事です。

一方で5月と比べて変わっていないのは、議会下院選挙では共和党の過半数獲得の可能性が高い事、そして大統領選挙は依然オバマ大統領が有利であるものの、接戦が続いているという事です。この結果、可能性の高い順番に並べると、議会下院→共和党が過半数、議会上院→民主党が過半数、大統領→オバマ(即ち現状維持)が現在の状況となっています。「財政の崖」や税制の方向を占うにあたっては、この大統領と議会の組合せが非常に重要な意味を持ってきます。

大統領:オバマ、 上院:民主党、 下院:共和党
上述の通り、現状最も可能性が高いと共に、最も先が読みにくい組合せです。共和党圧勝となった中間選挙のように、両党ともはっきりとした国民からのメッセージを主張しにくいため、これまで通りねじれ議会の下での折衝に委ねる事になります。選挙が終わってから年末休暇に入るまで交渉の期間は極めて限られているため、税制の抜本的改革はおろか、「財政の崖」を短期的に回避できる措置が取れるかどうかも微妙です。最悪の場合「財政の崖」に直面し、議会予算局が警告しているように2013年前半リセッションの可能性も否定できません。この組合せになった場合、年末にかけて市場はワシントンの動向に一喜一憂する状況が予想されます。
大統領:ロムニー、 上院:共和党、 下院:共和党
現状二番目に可能性が高いのはこの組合せでしょう。3つの選挙の中で最も接戦なのは大統領選挙です。大統領選挙でロムニー氏が勝つような状況であれば、同時に上院も共和党有利と考えられるからです。この場合、共和党は速やかに税制の抜本改革に着手すると見られますが、新議会が召集されるのは年明けであり、短期間での法案成立は到底困難と見られる事から、取り急ぎブッシュ減税をはじめとする多くの減税措置が一定期間延長される事になるでしょう。ただオバマ大統領時代、緊急措置的に実施してきた給与税減税や失業保険延長措置などは失効する可能性が高いため、「財政の崖」とは行かないまでも、GDPで1%程度の財政引き締めは起こりそうです。ただ、この程度の財政引き締めは既に市場は織り込み済みと考えられます。
大統領:ロムニー、 上院:民主党、 下院:共和党
大統領選挙が大接戦になった場合、次にこの組合せが考えられます。ただこの場合注意しなければならないのは、2000年のブッシュ対ゴアの選挙のように、勝者を決定するのに時間がかかると今回、アメリカ経済にとって致命傷になりかねないという事です。というのはもともと年末まで議会の話し合いの時間が短い中、票数で揉めているようではとても「財政の崖」を回避する措置が取れるとは考えられないからです。そのような事態に発展しないという前提の下、上記と同じくGDPで1%程度の財政引き締めが予想されます。

最後に、株式等にかかわる税制の影響についてコメントしておきたいと思います。アメリカでも最近、今年末でブッシュ減税が失効するとキャピタルゲイン税率が現行15%から最高23.8%に、配当税率が現行15%から最高43.4%に上昇する、という報道があちこちでされるようになっています。10月末の投資信託決算期と相俟って、最近の株式相場下落の一因と言えるでしょう。

一方で市場があまり留意していないと見られるのは以下の3点です。

オバマ大統領もロムニー候補も法人税の引き下げ(それぞれ現行35%→28%、現行35%→25%)を提唱している事。これによって企業の税引き後利益が押し上げられる
米国株式は多くの外国人や金融機関、退職積立金等非課税ファンドによって保有されており、増税の対象となる個人投資家が保有するのは40%弱に過ぎない(但し、この40%弱のうち殆どが最高税率が適用される富裕者層と見られますが)。
配当税率がキャピタルゲイン税率を大幅に上回る状況が続くようだと、企業側が配当を内部留保に(従ってキャピタルゲインに)仕向ける動きが予想される。

このように今回、一連の選挙は確かに不透明要因に覆われてはいますが、投資の世界の鉄則はハイリスク=ハイリターン。同時に投資チャンスも豊富に提供されているように見えます。
(2012年10月26日記)






最終更新日  2012.10.31 12:14:23
2012.10.23
カテゴリ:カテゴリ未分類
山中教授のノーベル賞受賞、本当に嬉しいですね! 2年ほど前のNHKスペシャルだったと思いますが、山中教授がインタビューの中で次のように述べておられたのを覚えています。
「数年前であれば、マラソンに例えるなら我々の研究ははるか後続を引き離していた。しかし今は、振り返ればすぐの所に競争相手が追い上げている状況。競争は我々にとってストレスではあるが、この研究が実用に移され、一刻も早く患者の方々が救われるようになるために必要だ。」

競争というのは多くの人にとってストレスです。競争を通じて勝つ者もいれば、負ける者も出てきます。人間というのは本来、リスクを回避したい(Risk Adverse)という性質を持っていますから、かなりの確率で勝つ事が分かっていない限り、出来れば競争は避けたいというのが人情でしょう。しかし好むと好まざるとに拘わらず、世界は資本主義を中心に動いていて、リスクを取った者、競争を勝ち抜いた者にご褒美が与えられる仕組みになっているのです。

アメリカで金融危機が深刻化した時、資本主義の終焉を予言したり、期待する論調をよく見たり聞いたりする機会がありました。しかしそれでもまだ何故、世界は今も資本主義を中心に動いているのか? それは人間が本来ストレスを回避したいという性質を持つ中、資本主義は競争を生み出すのに最も有効なシステムであるからでしょう。では何故、人間は競争をしなければならないのか。上記、山中教授がとても分かりやすい例で説明して下さっている通りです。

私は毎年、1月下旬の火曜日夜に行われる大統領の一般教書演説をとても楽しみにしています。昨年の一般教書演説でオバマ大統領は「競争」(Compete, Competition, Race)という言葉を20回以上使用、翌日の主要紙の一面には“U.S. Must Compete”(アメリカは競争しなければならない)という見出しがズラリと並びました。「競争」という言葉を多用していたものの、国民の潜在能力に訴える事によって必要以上にストレスを感じさせないよう、上手く工夫がなされている演説でした。

アメリカだけではありません。ヨーロッパも昨年のユーロ圏サミットにおいて「競争合意」の成立を目指しています。アジア新興国の工業が日本の水準にどんどん迫りつつある状況は最近始まった話ではありません。好むと好まざるにかかわらず、意識しているしていないに拘わらず、我々は常に世界との競争にさらされていると言っても過言ではないでしょう。

上記の山中教授の他にも、日本が誇れるものの多くは、厳しい競争にさらされている人や企業ばかりです。イチロー選手をはじめとする日本人メジャーリーガーやサッカー日本代表は日々戦いの連続ですし、トヨタや本田、キヤノンなど、長年厳しい国際競争にさらされている企業は時価総額でも上位を占めています。金融当局が欧米並みの対応をしてくれていたら、これら企業は世界でもっと有利に競争を勝ち抜いている事でしょう。また私は日本人の勤勉さや日本料理の美味しさは世界でもトップレベルだと思いますので、今後ますます世界での評価が高まっていくと考えています。

資産デフレが金融危機につながり、財政危機へと発展するのは古今東西見られるパターンです。むしろ景気回復という出口に向けて、必ず通らなければならないトンネルとも言えるでしょう。そして同時に、この時期にクローズアップされるのが格差の問題です。しかし所得を再分配する事が財政危機の解決になるでしょうか? 財政を再建しようと思えば、リスクを取って、競争に勝ち抜いて、経済を成長させてくれる人を優遇して、少しづつでも全体のパイが大きくなりやすい環境を整えるべきではないでしょうか?外交を有利に進めようと思えば、防衛を強化しようと思えば、セーフティネットを充実させようと思えば、失業者を減らそうと思えば、全体のパイが大きくなる環境を整える事が先決ではないでしょうか?

現在、世界各国が同じような問題を抱えていますが、近々その政治的対応が決まる局面がやってきます。アメリカは2週間後、大統領選挙でその答えを出そうとしていますし、日本でも「近いうちに」問われる事になっています。「ストレスは伴ってもいい」「環境を整えてくれるだけでいい」このような選択が出来るかどうかによって、トンネルを抜け出せる時期は大きく変わってくるでしょう。

(2012年10月22日記)






最終更新日  2012.10.26 12:49:41
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