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2006年01月01日
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2005年2月21日


 今回は、私が個人投資家として実際に行った株式投資について書いてみましょう。
 私は、長いこと仕事でファンドマネジャーや証券会社の社員など、「他人のお金を扱う仕事」、端的にいって個人の資産を株式で運用することがまずい仕事をしてきました。しかし、近年、直接他人のお金を扱う仕事から離れると共に、個人の資産運用に関する研究や執筆などの機会が増えてきました。そこで、2年半ほど前に(正確には、2002年5月です。ちなみに運用開始当時のTOPIXは1124でした)、個人の投資環境を知ることを主目的に、損をしても諦めがつくくらいの金額で、かつ、それによって自分の意見が左右されない程度の金額ということで、正直に言うと500万円ほどの金額で、株式投資をしてみることにしました。
 雑誌の原稿を書いたりテレビに出たりすることもあり、厳密に言うと、仕事との関係が完全に無いわけではなかったのでしょうが、自分の株式投資があるがゆえに意見を変えたというようなことはなかったと自分では思っています。
 投資銘柄数は6銘柄から10銘柄くらい、売買回転率は正確には計算していませんが、たぶん年間1回転をかなり下回る、のんびりしたポートフォリオ投資でした。
 楽天証券に入社が決まったので、昨年の12月27日に持ち株を全部売ったのですが、この時点での運用残高は718万円と少々になっていました。 比率で計算するほどのこともありませんが、43%強の増加です。 ちなみに、この日のTOPIXの終値は1140でした。 これは、運用開始時点から見るとたったの+1.4%です。 昨今、運用額が短期間に1億円になるかのような本が流行っていることを考えると、これで満足してはいけないのかも知れませんが、ベンチマークには勝っているので、元ファンドマネジャーとしてはまあまあ満足です。

■株式投資の三つの基本技

 もちろん、中には損で終わった銘柄もあるのですが、全体が増えたということは、幾つかは儲けた銘柄があるということです。 分散投資を意識して何となく買った銘柄がたまたま儲かったというケースもあるのですが、意図的に儲けを狙ってうまく行った銘柄への投資を分類すると三つのパターンがありました。
 テクニックに名前をつけるとすれば、 (1)アーニング・サプライズ投資、 (2)バリュー株投資(割安株投資)、 (3)イベント投資、といった感じになります。何れも、株式投資のテクニックとしては基本的なものなので、具体的にご紹介してみましょう。


(1)アーニング・サプライズ投資: 例)ツムラ(4540)

株式投資の基本動作は何と言っても、利益予想の変化と株価の動きを比較しながら見続けることです。 株価はあくまでも予想に対して形成されるものですし、通常の場合、株主にとってもっとも重要なのは利益ですから、株式投資というゲームは、利益予想の変化に伴ってどこかにチャンスが生じないかという投資家同士の駆け引きだといえるでしょう。
 この利益予想で最も質の良いデータは、多くの場合、アナリストの予測ではなくて、会社の発表です。また、同時に会社発表のデータは、多くの投資家が共通に見るデータでもあるので、株価に対する影響という意味でも見逃せません。
 さて、久しぶりに株式投資をしようと思っていた2002年の5月でしたが、私は5月22日の日経新聞の企業決算面を見ていて、以下の図2のような数字を発見しました。
第二回 図1

「ツムラの2003年3月の数字が良さそうだな」と思ったのです。 「良さそう」が本当に「良い」のかどうかは、これまでの予想と較べても良いのかどうかで判断しなければなりません。 そこで「会社四季報」を見てみたのですが、その時点の最新号(春号)の数字は以下の通りでした。

第二回 図2

 その時の「当期」である2003年3月期の経常利益予想は旧予想の77億円から88億円に上昇していました。これは一応「ポジティブな・インパクト」と捉えるに足る数字だと思いました。尚、細かい話は省略しますが、利益予想の変化を評価する時には、経常利益で見るのがいいことが多いように思います。
 ツムラの株価の動きは、大まかには図4の通りですが、もっと細かく見ると図5の表のような感じでした。

第二回 図3

 5月22日の時点までに株価はいくぶん上昇傾向でしたが、この日を含んで3日間くらいの間であれば、600円以下の株価で買うことが十分可能な状況でした。
 次に、ツムラの上方修正に対する投資家の反応が遅れるもっともらしい理由があるかどうかが問題になるのですが、 当時、ツムラは大赤字からの経営再建中で、機関投資家はやや手を出しにくい銘柄になっていました。 「反応が遅れている」つまり、「株価があとから上昇する」可能性が十分にある、とその時に私は判断しました。 この辺の判断の仕方には多少のコツがありますが、出来高もそんなに増えていなかったし、総合的に見て、まだ情報が100%織り込まれていない「可能性が大きい」と思いました。

第二回 図4

 ちなみに、あくまでも「傾向として」ということではありますが、はじめて大幅な上方修正があった銘柄は、そこそこ以上の確率で、引き続きその後も上方修正される傾向があります。 (「利益予想改訂のトレンド効果」と呼ばれる現象です)
 図5に会社四季報ベースでのツムラの利益予想の変化をまとめてみましたが、最終的には経常利益は決算発表前までには101億円にまで上方修正されています。 (実績値は109億円になりました)
 また、投資家は、トレンドからの乖離(最初の大きな上方修正)を軽視する一方、三回、四回と同じ変化が続くと、これを実際の確率的信頼性以上に「トレンドだ」と過大評価する傾向があります。 そういう意味では、利益予想の修正は、単独で評価するのではなくて、過去からの流れを踏まえて評価するべきだといえます。

第二回 図5

 以上のようなことを考えて、確か、新聞を見た翌日に平均595円位で2000株買って、7月の末ごろに910円位で売ることが出来ました。 売る時には、相当に出来高も膨らみ、大手証券が買い推奨のレポートを出すようなこともあったので、「情報はだいたい株価に織り込まれたのではないか」と判断して売ることにしました。
 何となく、みみっちい自慢話をしているようで気が引けるのですが、株式投資の基本動作の説明を含んでいるので、敢えて少々詳しく解説してみた次第です。









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最終更新日  2006年02月08日 00時11分07秒
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