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山崎元のホンネの投資教室

2006年01月06日
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2005年9月2日

■投資アドバイス、最近の変化

 筆者は、昨年くらいまで、個人のマネー運用にあって、リスクをとってリターンを目指す際の「無難な選択肢」の第一番目として、「TOPIX連動型のETF(上場型投資信託)」の長期保有、という方法を挙げていました。 たとえば2001年10月に出版した「お金がふえるシンプルな考え方」(ダイヤモンド社)では、TOPIX連動型ETFを、"退屈だけれども、教科書的には勧められる"というような書き方で評価してきました。
 日経平均連動型については、2000年4月の銘柄入れ替えで、連動ファンドの投資家は、状況証拠的にみて少なくとも一割以上を損した(そのかわり証券会社の自己売買部門は2000億円以上儲かったと言われています)ので、これを避けて、TOPIX連動型を勧めたわけです。
 しかし、多くの読者もご存じの通り、TOPIXは今秋から「浮動株指数化」して三段階で内容の入れ替えが行われますし、また、浮動株指数化するということは、今後も指数の計算ウェイトが上場企業の株主構成の変化によって変わるということです。
 最近、上記の書籍の改訂作業をしているのですが、改訂版では、TOPIX型も含めて、株価指数連動型のファンドへの投資は当面手控えた方がいいと内容を改めました。アクティブファンドは信託報酬が高すぎて(たとえば年率1.5%)投資しない方がいいというのが近年の筆者の持論なので、株式のリスクをとる場合には、自分で株式ポートフォリオを作るのがいい、という意見をより強く押し出すことになりました。何やら「ネット証券を使ってくれ!」と言っているようで、ちょっと気が引けるのですが、結論としては正しいと思っています(但し、適切に運用していただかなければ、投信を買うよりもヒドイことになりかねませんが)。
 今回は、このパッシブファンドが払う「見えにくいコスト」について、やや詳しくご説明します。


■理由1 コバンザメ投資

 TOPIX(東証株価指数)や日経平均といったパッシブ運用の対象になる指数の内容変化に伴って、これらの指数を運用目標とするパッシブファンドが「ほぼ確実に損をする」現象には、大まかに二つの原因があります。一つめは、指数の内容変更に伴うパッシブファンドの売買が他の市場参加者に読まれることによって起こる「コバンザメ投資」などと呼ばれる投資行動によって起こる不利益です。
 たとえば、TOPIX(東証株価指数)は、東証一部の全上場企業の株式を時価総額ウェイトで持つポートフォリオの価値額として計算されてきました。また、TOPIXに連動するパッシブ運用の資金は、日本全体で十数兆円あるとの試算があります。
 ここで、新たに東証一部に指定替えになる銘柄があるとすると、この銘柄が東証一部の時価総額に占める割合から、この銘柄をパッシブファンドがどれくらいの株数および金額を買わなければならないかを推定することができます。そして、パッシブファンドがこの銘柄を組み入れるのは、この銘柄が東証一部に上場されてから(理想的には上場される時)なので、他の市場参加者は、この銘柄を先回りして買っておけば、東証一部に指定替えされた後にパッシブファンドの買いが入って、株価が上昇した時に売って利益を得ることが出来る公算が大きいと思われます。
 このような投資行動を俗に「コバンザメ投資」(大きな鮫にくっついて餌を得るコバンザメからの連想)などと呼びますが、この種の投資は過去にそれなりの成果を上げてきました。
 この種のコバンザメ投資によって東証一部に上場する予定の銘柄の株価は上昇しがちになり、それでもパッシブファンドはこの銘柄を買わなければならないので、当該銘柄の株価はさらに上昇する可能性があるのですが、こうした買いが一段落した後には、株価は元の水準に戻りやすく、この株価下落はもちろんTOPIXに反映するので、TOPIX連動ファンドの投資家は、運用上、東証一部に指定替えになる銘柄を投資家が普通に評価する投資価値よりも高く買う結果になりやすく、それだけ損をしやすくなります。
 日経平均を目標とするパッシブファンドの場合でも、日経平均の銘柄入れ替えを予想して、除外される銘柄を先回りして売り、新たに組み入れられる銘柄を先回りして買う、といった現象が起こって、結果的にパッシブファンドが損をしやすい構造になっています。
 たとえば、さる、8月25日に日経平均の構成銘柄に加わったファーストリテイリング(9983)の株価は、二週間前の8月11日(日経平均への採用発表前日)には6730円(終値)でしたが、採用発表を受けて上昇し(可能性としてそれ以外の要因もあり得ますが)、入れ替え株価である8月25日の終値には9000円をつけていました(この日の終値が極端な高値になっており、後述する第二の要因の影響も見て取れます)。ところが、入れ替えの翌日の8月26日の終値は反動安と思える8180円でした。 今後の推移を見る必要もありますが、日経平均それ自体は下方圧力を受け、日経平均連動ファンドの投資家はこの影響で損をした公算が大きいと思ます。
 この種のコバンザメ投資を行う主体は、市場に近くて取引コストが小さい証券会社の自己勘定取引が中心ですが、近年は、ネット証券の普及で、個人投資家の委託売買手数料が下がったことで、個人投資家も相当数参加するようになっています。






最終更新日  2006年02月10日 01時43分03秒
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