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2007年04月06日
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■モンキー・ポートフォリオとは

 アメリカで古くからよく言われる話に、猿にダーツを持たせて、ウォールストリートジャーナルの株価欄にこれを投げさせ、何十銘柄かでポートフォリオを作ったものの投資パフォーマンスは、人間のプロのファンドマネジャーが運用するミューチュアル・ファンド(米国の投資信託)に負けない(或いは「勝つ」)はずだ、という話がある。有名な話なので、運用業界では、「モンキー・ポートフォリオ」と言うと、無作為抽出で作ったポートフォリオのことだと、話が通じる。「知らない人は、もぐりだ」といってもいいぐらいだろう。

 モンキー・ポートフォリオは、投信に「勝つ」のだろうか、それとも「負けない」のだろうか、或いは、言い伝えに反して「負ける」のだろうか。

 筆者は、長期的には、モンキー・ポートフォリオが「勝つ」が正解ではないかと考えるが、その理由は、二つある。

 一つには、投信は、手数料を取るので、平均的には、信託報酬分くらいは、負けていくのではないかと予想できることで、これは強力な理由だ。内外共に、投資信託のパフォーマンスを調べた実証研究では、「アクティブ・ファンドのパフォーマンスは、ベンチマークに及ばず、その差は、ほぼ運用手数料程度だ」という結果が出ることが多い。

 もう一つは、より積極的な理由だが、一つ前提条件が要る。モンキー・ポートフォリオの銘柄毎の投資ウェイトを、できれば等金額ウェイト(100銘柄なら、1銘柄がポートフォリオの1%)、そうでなければ等株数ウェイト、と考えることだ。この場合、TOPIXやS&P500、MSCIのような代表的なベンチマークは、大きな企業ほど株式時価総額に比例してポートフォリオ内のウェイトが大きくなる時価総額ウェイトなので、ポートフォリオに占める大型株のウェイトが大きくなりやすい。

 しかし、古くから「小型株効果」という言葉があるくらいで、長期的には、小型株の方が、パフォーマンスが良い傾向がある。従って、等金額ウェイト(時価総額の小さな銘柄のウェイトがベンチマークと比較して相対的に大きくなる)や等株数ウェイト(単純な株価の高さがウェイトを決めるが、やはりベンチマークよりは、小型株の比率が大きくなりがちのはずだ)のモンキー・ポートフォリオは、時価総額比例ウェイトのインデックスにやや勝ちやすいはずだし、投信がインデックスに負けがちなのだから、投信に対しては、優勢のはずだと推測できる。

 ところで、猿は、本当に、ダーツを投げることができるのだろうか。また、どの程度上手く投げるのだろう。ダーツを投げることが出来ても、妙に上手くて、同じような場所にばかり投げているとすると、ポートフォリオの業種ウェイトに偏りが出来て、かえって効率の悪いポートフォリオが出来てしまうかも知れない。もちろん、ここでの議論も含めて「モンキー・ポートフォリオ」と言う場合には、ランダムに銘柄を選んだポートフォリオというのが前提条件だ。


■小型株効果はあるか?

 時価総額の小さい企業の方が、投資対象としてパフォーマンスが良い傾向があるという現象は、古くから「小型株効果」として知られている。いわゆる株式市場のアノマリーの中でも、古くから研究されており、有名なものの一つだ。

 これまでにも、2、3年の単位では、日米問わず、時価総額の小さい銘柄が、相対的に、良いときも悪いときもあるが、長期間のデータを採ると良いことが多い。

 小型株効果が存在する理由については、今までに、いろいろな推測や説明がなされているが、一つの説明として有力なのは、小型株は大型株ほど経営が安定していないので、それだけ投資する際にリスクが大きく、投資家が大きなリスク・プレミアムを織り込んで株価形成するので、小型株の方が、パフォーマンスがいいというものだ。

 また、大まかにいって、たとえば巨大企業の成長には、物理的な限界や、製品マーケットの限界、或いは経営能力の限界といった、何らかの成長の限界が考えられるので、企業の規模が、今後短期間の間に更に何十倍にもなるような事態は想像しがたいが、小型株の場合なら、そうしたこともあり得る、というような違いもある。

 そういえば、ざっと20年くらい前に、筆者が始めて投信の運用をするときに、米国株を少々買う気になったのだが、ニューヨーク・ダウの30銘柄から、当時、世界一の時価総額だった、IBMだけを除いた29銘柄を買ったことがあり、IBMが相対的な長期低落傾向に入りかけていたときだったので、ダウに楽勝だった覚えがある。この場合に、IBMの相対パフォーマンスが良くなる可能性もあったわけだが、それは「株価が何倍にもなる」というような形では訪れないだろうから、負ける場合でも、そう怖くない、という意味はある。


■日本株の場合

 もっとも、ここのところの日本株の運用で、小型株効果に期待できるかと考えると、これは、かなりリスキーに感じられる。

 読者もよくご存じのように、現在の日本株市場では、外国人投資家の影響が大きく、外国人投資家は、売るにせよ、買うにせよ、時価総額の大きな株をまとめてトレードするので、大型株がまとめて上下するような、ある種、無機質な株価形成がなされている。

 こういう状況では、企業の規模で勝負することは、小型株効果以前の問題として、市場の上げ下げそのものを当てに行っているような感じになる。

 とはいえ、長い目で見ると、大型株と、小型株の間にある程度のバランス調整が働くことを前提に考えると、やはり、小型株の相対ウェイトを高くして運用することが、長期的には有利なようにも思える。たとえば、2004年、2005年のマーケットのように、新興市場銘柄を中心に小型の株のパフォーマンスが良い場合の相対的な値上がり率は大きいので、長いこと持っていれば、大型株が大きく上がった後でも、小型株が追いついてさらに上を行くことがあるような気もする。

 もちろん、投信の場合、信託報酬は、ファンドマネジャーにとって、競争上大きな重荷だし、日本株を運用するファンドマネジャーから見ると、ニホンザルと日経新聞によるモンキー・ポートフォリオも、たぶん、勝ちにくく、手強いライバルだろうと推測される。





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最終更新日  2007年04月06日 09時57分31秒
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